NTTコミュニケーションズ

Bizコンパス

DXの潮流、CDOの挑戦
2020.02.19

デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第32回

先端企業のCDOが語る「DXがもたらす脅威と可能性」

著者 Bizコンパス編集部

大企業は有力なスタートアップに選ばれなければならない

 議論は「自社以外の力との連携」というテーマに移ります。味の素の福士氏は前述のアミノインデックスを例に、協業の可能性を示します。

「アミノインデックスは、認知症のリスクを診断できるように開発を進めているのですが、認知症の市場規模が当社だけでは太刀打ちできないほど大きい。他企業や医療機関などと連携し、味の素ならではのサービスを提供することで、ようやくこの市場に参加する資格が得られると考えています。課題も多いが、チャンスも非常に大きいはずです」

 東京海上HDでは協業するスタートアップ選定のためのラボを世界各地に置いています。

「先ほどお話したように従来の保険の役割は縮小していくため、役割を変えていく必要があります。これまでのような事故後の補償だけでなく、事故が起きる前に保険金を使えないかなど、いくつかアイデアはあるのですがどうやって実現するのか。

 この点においてスタートアップとの連携を視野に入れています。協業相手選定のためのラボを東京はもちろん、シリコンバレーや台湾などに設置しています」

 一方、スタートアップ企業ストックマークの創業者でもある林氏は大企業との協業について見解を述べます。

「大企業がスタートアップから選ばれる立場にならないといけないと考えています。国内市場が縮小する中、有力なスタートアップからは逆にスカウティングされているのが実態なのではないでしょうか」

 優れたテクノロジーを持ったスタートアップは引く手あまたです。大企業も現在の姿に満足することなく、イノベーションを起こし続けなければ、効果的な協業は望めないのかもしれません。

 DXを推進し、成果を出すのは簡単ではありません。先駆者として登壇している各社のCDOも試行錯誤しながら、DXを進めてきました。東京海上HDの住氏はこれまでの苦労を振り返ります。

「2016年ごろにデジタル戦略の責任者になりました。右往左往した結果、ようやく方向性が定まったのが2018年です。そこに至るまで本当に悩みましたし、いろいろな失敗も繰り返しました。もし、そのような状況にあってもぜひ前進を続けていただければと思います」(住氏)

 味の素の福士氏はDXの進め方について、次のようなアドバイスを送ります。

「企業変革をするとき、『目的は何か』というコンセンサスを固めることが大事です。テクノロジーを使うことにより、端的に言えば『今まで見えなかったものが見える』ようになります。目的をはっきりさせて、データを使い見えないものをはっきりさせれば、おのずと取り組むべき方向性がわかるはずです」(福士氏)

 デジタルディスラプターや、それに負けまいと多くの企業がDXを進めています。取り組みが遅れれば、自社のビジネスが大きな損害を受けかねません。競争に打ち勝つためには、福士氏の助言通り、目的を明確にしたデータ活用を行うことはもちろん、住氏のように悩みながらも前進することが大切だといえそうです。

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