DXの潮流、CDOの挑戦
2020.02.12
デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第31回
「事業部もデジタル予算を管理すべき」ビジネスを変えるIT投資を、内山悟志氏が提言
著者 Bizコンパス編集部
目指すべきは、デジタル“ビジネス”トランスフォーメーション
――ITRで調査しているIT投資動向では、2020年のIT投資の伸びが鈍化するとレポートしています。今までのお話からは増加するように思えますが、背景にはどんなことがあるのでしょうか。
内山:このレポートでは、IT部門が管理している予算を対象にしているためです。実情として、IT投資額自体は増えていますが、たとえば事業部門が自主的に投資しているビジネスITなどは含まれていなものがあります。
このように社内の様々な部門でのDXへの取り組みが進んでいくと、経営判断としてのIT投資はますます困難となります。企業の経営層がITリテラシーを高めることはもちろんですが、難しい場合は、CIOやCDOに一定の予算を預けて全権を委ねることも必要です。
日本ではDXは、システムの刷新などの手段が目的として語られることが多いですが、米国でDXは、デジタル活用でビジネス戦略を変えていくための「デジタル“ビジネス”トランスフォーメーション」というニュアンスで語られます。2020年からいかにそういった意識を持ち、準備をスタートするか否かで、この後の数年で企業体力の二極化が進むでしょう。
これからの日本の経営層に必要となるのは、10年、20年先の未来を思い描き、世の中がどう変化し、自社ビジネスをどうDXの波にのせていくかを想像する力です。明確な答えはありませんが、DXで先進的な取り組みをしている企業の事例は参考になると思います。
たとえば経済産業省の「攻めのIT経営銘柄」の選定に私も関わっていますが、特徴的な取り組みの企業が多いです。2020年はこれに代わって「デジタルトランスフォーメーション銘柄(仮称)」の選定もありますので、ウォッチすると良いでしょう。
――本日はありがとうございました。