NTTコミュニケーションズ

Bizコンパス

2020年は予算をどう使うべき?内山悟志氏が「5つのITトレンド」で解説
2020.02.05

デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第29回

2020年は予算をどう使うべき?内山悟志氏が「5つのITトレンド」で解説

著者 Bizコンパス編集部

「基幹系クラウドファースト」が常識に

内山:最後のキーワードは、「基幹系クラウドファースト」です。システムを情報系と基幹系で分けたとき、これまでは顧客管理など情報系のシステムでクラウドを使うことが多かったですが、今後は基幹系システムでもクラウドを使う動きが加速するでしょう。勤怠管理や経費精算など、部分的にはすでにクラウドサービスを利用するケースが増えています。

 この流れはERP(統合基幹業務システム)にも波及しており、SaaS型サービスの利用やパッケージをIaaS上に構築する比率が高まっています。これからERPを再構築する場合、まずクラウドで実現できないかを検討し、要件が合わないなどクラウド運用が難しかったときにオンプレミスを選択するという順序になるでしょう。

 この領域でインパクトが大きかったのは、経済産業省が公表した「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~」です。このレポートでは、ブラックボックス化したレガシーシステムから脱却しないまま2025年を迎えると最大で年12兆円に及ぶ経済損失が生じる、というメッセージを打ち出しました。「2025年の崖」というキーワードは経営層に刺さり、「社内システムの変革は、IT部門ではなく経営課題」という認識が広がりました。

――ERPに関しては、SAP ERPの保守サポートが切れる「2025年問題」もあります。これらを踏まえたとき、企業は2020年に何をすべきでしょうか。

内山:2025年のリプレースを考えるのであれば、「今からでは遅い」くらいの危機感を持つべきです。SAP ERPの刷新プロジェクトは通常2年程度はかかりますし、その前段階で現状の棚卸しや要件の検討などの時間がさらに必要です。

 人材確保の問題もあります。2025年に向けて多くの企業がERPの刷新プロジェクトを進めると、それに対応できるコンサルタントやエンジニアが不足し、人材の奪い合いになる可能性があります。プロジェクト開始が遅れるほど、そうした人材の確保にも頭を悩ませることになりかねません。

――ERPのクラウド移行で、注目している事例はありますか。

内山: ある化学メーカーでは、5,000名以上のユーザーが利用する人事、会計、サプライチェーンを含む基幹業務システムを、検討開始からわずか約1年でクラウドに移行しています。

――ここまでの5つのキーワードで、昨今話題の「5G」が挙げられなかったのが意外でした。

内山:5Gは、工場での制御や医療分野などさまざまな業種に大きなメリットをもたらし、社会を変える可能性を秘めた技術です。しかし、企業が投資の対象として本格的に検討を始めるのは2年後ぐらいではないでしょうか。各分野で検証などは行われると思いますが、本格導入はもう少し先になるでしょう。

――ありがとうございました。後編では、内山さんが多くの企業でコンサルティングを行っている「デジタルトランスフォーメーション(DX)の潮流」について伺います。

SHARE

関連記事

受付業務を自動でこなす、“ヒトに近い”チャットボットが登場

2021.05.07

いま求められる“顧客接点の強化”第34回

受付業務を自動でこなす、“ヒトに近い”チャットボットが登場

専門誌編集長が語る、コロナ禍でのコンタクトセンターのリアル

2021.04.28

いま求められる“顧客接点の強化”第33回

専門誌編集長が語る、コロナ禍でのコンタクトセンターのリアル

三菱ケミカルHD浦本CDO「製造業DXは、現場改善と全体変革の“両利き”で加速する」

2021.04.23

INDUSTRY REVIEW~業界有識者が「DXの現在と未来」を語る第10回

三菱ケミカルHD浦本CDO「製造業DXは、現場改善と全体変革の“両利き”で加速する」

コロナ禍の「会えない」はセールス・マーケティングの変化をどう加速させたか

2021.04.19

ニューノーマル時代にビジネスはどう変わるのか第27回

コロナ禍の「会えない」はセールス・マーケティングの変化をどう加速させたか

【激白】NTT Comの“危機感”とDX事業の勝ち筋

2021.04.15

IT&ビジネスコラム第1回

【激白】NTT Comの“危機感”とDX事業の勝ち筋

横河電機が推進する“インターナル”と“エクスターナル”両輪でのDXとは

2021.04.14

デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第64回

横河電機が推進する“インターナル”と“エクスターナル”両輪でのDXとは

岸博幸氏が語る「スマートシティは“課題先進国”日本を変革する処方箋になる」

2021.04.07

ニューノーマル時代にビジネスはどう変わるのか第25回

岸博幸氏が語る「スマートシティは“課題先進国”日本を変革する処方箋になる」

味の素社のDX戦略「規模を追う経営から、DXで社会を変革するパーパス経営へ」

2021.04.02

デジタルトランスフォーメーションの実現へ向けて第63回

味の素社のDX戦略「規模を追う経営から、DXで社会を変革するパーパス経営へ」