DXレポートには、DX実現に向けたロードマップが明示されています。そこでは、2020年までを「システム刷新:経営判断/先行実施期間」、2021~2025年を「システム刷新集中期間(DXファースト期間)」、2025年以降を「デジタル変革後運用期間」と位置付けています。
和泉氏は、2020年のフェーズでは自社におけるDX推進の状況を把握することが重要だと語ります。
「経営者はITのトレンドを把握しており、積極的な提案をしてこない現場に不満を持っている一方、現場は経営がITに対する知見がないと認識しています。双方の隔たりを埋めることが大切です。そこで、経産省は、企業における課題を見える化し、DXの達成度を自己診断できる『DX推進指標』を2019年7月に発表しました。
これは全35の指標をもとに、DX推進の成熟度をレベル0~5までの6段階で評価するものです。DX推進に向けた自社の現状や課題、取るべきアクションについて、経営幹部、事業部門、DX部門、IT部門などの関係者が共通認識を持つことができます。数字の良し悪しよりも、現状を把握して行動へとつなげることがポイントです。なお、約250社からの回答を統計化したところ、現状の平均が(5点満点)1.4、目標の平均が3でした」(和泉氏)
戦略的なDXの推進において、データとデジタル技術の活用は不可欠のものです。その判断基準となる経営戦略とサービスマネジメント は表裏一体の関係にあるといいます。
「これからは経営戦略を指針に、サービスマネジメントで計画を実施し、不具合が出たら修正をかけていくというサイクルが重要になります。今後もDX推進指標によるベンチマーク化を進めながら、みなさんに必要な政策を進めていきたいと考えています」(和泉氏)
DX推進指標をもとに、サービスマネジメント視点で現行のITシステムを見直しながら、ITの軸足を新たなビジネスモデル創出へと伸ばすことが、「2025年の崖」を乗り越えるポイントといえるのではないでしょうか
