コンデナストは、サンダーピア氏に「VEVO」の経験を生かして、各ブランドのビデオコンテンツを制作するミッションを与えました。
「コンデナストは紙媒体を扱う出版社なので、ビデオコンテンツに関するスキルセットを持つ人材がいませんでした。そこで、私はテクノロジーと事業開発のスキルセットを持つ人材を採用し、別会社を設立しました。この会社で『VOGUE』や『GQ』などのブランド専用ビデオ配信ネットワークを整備し、毎日マーケターやアドバタイザーに向けてビデオコンテンツを配信しました」
2014年10月、この業績が評価されてサンダーピア氏はCDOに任命されました。CDOの役割について、サンダーピア氏は以下のように話します。
「CDOはオンラインとオフライン両方のスキルセットが求められる非常にチャレンジングな仕事です。CDOはコンシューマがマーケットにどのような期待値を持っているかを理解し、社内では戦略家でありつつオペレーター、教育者、伝道者、投資家としての役割を果たし、実利主義で変革をもたらさなければなりません」
サンダーピア氏は、コンデナストのDX推進には、社内に約20あるブランドの共通プロセスを統合するシステムを構築するとともに、ブランドの独自性を生かす戦略を実践しました。
「社内には約20のブランドがあり、それぞれビジネスモデルは違いましたが、自社ネットワークを整備し、バックエンドの管理システムを統合しました。また、ブランドごとにバラバラだったマーケットプレイスもひとつに集約しました。これにより、今まではブランドごとにアクセスが必要だった状態が、1回ですべてのブランドにアクセスできるようになりました。こうした改善の結果、アクセス数が飛躍的に伸び、月間ユニークユーザー数が1億2000万人を超えました。
システム統合により、ユーザーの視聴から購買までのライフサイクルデータをすべて収集・分析できるようになり、これをテクノロジーパートナーに提供し、売れ筋商品をターゲットに届けられるようUIを改修しました」
コンデナストには、ファッションから旅行、食料品まで、さまざまなカテゴリのブランドがあり、各ブランドは消費者と独自の関係性を築いていました。サンダーピア氏は、ブランドの特性を生かすことが収益増につながると判断し、各ブランドに独自のビジネスを実践する機会を与えました。
「広告収入に加え、プレミアム会員向けの有料コンテンツの課金収入、Eコマースの収入など、それぞれのブランドが複数の収益源を得ることができました。各ブランドが独自にビジネスを展開するようになった結果、共通プラットフォームの上で何度も何度も収益を得られるようになり事業は大きく成長しました」