イチロー氏が打ち込んできた野球、NTTが取り組んできたITが1つになり、いま「スマートスポーツ」という新たなスポーツ観戦の楽しみ方が生まれようとしています。
MLBとNTTは、2019年9月4日にパートナーシップ契約を締結。10月7日にNTTのURV(Ultra Reality Viewing)技術を活用したライブビューイングの実証実験を実施しました。トロピカーナ・フィールドで行われた、タンパベイ・レイズ対ヒューストン・アストロズの試合のデモをワイド画面で見たイチロー氏は「これは良くない!」と意外な声を上げました。
「だって本物よりきれいじゃないですか。誰も球場に行かなくなりますよ(笑)。でも、際どいクロスプレーもじっくり見られて、好きな選手だけを追いかけて見ることもできるわけですから、野球観戦の可能性は広がるでしょう。
ただプレーヤーの立場からすると、一挙手一投足を見られているようでプレッシャーではありますね(笑)」
URV技術とは、複数の4Kカメラ映像を12Kなどの超ワイド映像に結合し、遠隔地にリアルタイムで伝送するNTTの超高臨場感メディア同期技術です。通常のカメラでは撮影できない広視野角かつ高精細の映像やロスレス音声をリアルタイムに生成・伝送する技術、会場中に任意の音場(音の空間)を作り出す高度な音響再生技術などによって、観客はスポーツコンテンツをスタジアムやフィールドで観戦しているかのような臨場感で視聴できるようになります。ちなみに、URVはNTT独自の新たなライブ・エンターティンメント技術「Kirari!」をベースに開発されています。

NTTのR&D特別アドバイザーに就任したイチロー氏は、今後の抱負を語ります。
「NTTとMLBの連携により、新たなスポーツ観戦の夢が広がっています。僕も自分にしかできないことを模索しながら、NTTとともに野球などスポーツ全般を盛り上げていけるように頑張っていきます」
テクノロジーの活用により、スポーツ観戦の在り方は変わりつつあります。今回紹介したURV技術によって、スタジアムに足を運ばなくても現地と変わらない臨場感でスポーツ観戦が楽しめるようになりました。
NTTではMLBとの提携を皮切りに、今後、さまざま分野でスマートスポーツの楽しみ方、新たなFX(ファンエクスペリエンス)の創造を進めていく計画です。イチロー氏の知見とNTTの技術は、これからもスポーツ観戦に新しい選択肢を与えてくれることでしょう。