もうひとつ、AIの実践的な活用例としてユニークだったのは黒板メーカーである株式会社サカワと中西氏のグループが共同開発した「Josyu(ジョシュ)」です。これは先生の声をデータ化してAIが解析、授業に生かしていくというソリューションです。
授業AIアシスタントJosyu(ジョシュ)のデモシーン

このJosyuを使うと、先生が話した言葉がすべて音声認識されて黒板上に表示されるほか、キーワードが黒板の右に羅列されます。たとえば「徳川家康が関ヶ原の戦いに勝ち、1603年に江戸幕府を開きました」と話すと、「徳川家康」や「関ヶ原の戦い」「江戸幕府」といった言葉がキーワードとして抽出されるというわけです。このキーワードの中からいずれかを選択し、徳川家康であれば「豊臣秀吉」など、関連するキーワードを表示、さらに人物であればその人物画を表示するといった機能もあります。
「Josyuを使えば、先生が話している内容を用いて黒板の内容を作ることができるほか、授業のデータをすべて保存することもできます。こうしたツールを活用すれば、学校の授業自体も変わっていくのではないでしょうか」
このようにAIの活用事例をいくつか解説した中西氏は、最後に「少し前までのAIは、さまざまなデータを統合し、そのデータの表す事象間の相関を見出す『データ統合』、そしてデータから要因や重要な点を抽出する『特徴選択』といった認識に重点が置かれていました。今後はそこから踏み出し、与えられたデータが何を表しているかを読み解く『文脈理解』、さらにはデータをもとに新たな『コンテンツ生成』に進んでいくでしょう」と語ります。
認識から文脈理解、創造性へ

現在、AIの適用領域は確実に広がりつつあり、少し前までは想像できなかった用途でも使われるようになっています。デジタルトランスフォーメーションをさらに進めていくためにも、このようなAIの最新動向をキャッチアップし、自社のビジネスへの適用を積極的に考える取り組みを進めるべきでしょう。
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