このようにデジタルトランスフォーメーションと情報システム部門の関係について説明した寄藤氏は「情報システム部門は古いITを運用する過去の組織で、“レガシー”になりつつある。そういった見方をしているデジタル関係者は多い」と述べます。
しかし、ITとデジタルが個別のものとして扱われ、情報システム部門とデジタル推進部門、あるいは事業部門が個別に投資を行えば、データの利活用やインフラの構築が個別最適となり、新たな問題が生じかねません。実際、デジタルトランスフォーメーションに積極的な企業ほど、個別最適を問題視していると寄藤氏は説明します。
「他社よりデジタルトランスフォーメーションが進んでいると考えている、半数以上の企業が課題として挙げたのは『組織をまたがるデジタルプロジェクトの統合』でした。おそらく、先進的な企業はマーケティングや営業など、さまざまな領域でデジタルプロジェクトが進められています。そういったプロジェクトが増え、結果として部分最適になってしまっているのです。本当はプロジェクト同士が連携することでもっと価値を生み出せるのではないか、あるいは投資の無駄が生じているのではないかといった課題を感じているのではないでしょうか」
DX推進企業では、DXプロジェクトの全体最適が課題となる

さらに寄藤氏は、業務部門が独自にIT予算を持って執行することについての課題について尋ねたアンケートの結果を紹介しました。
「デジタルトランスフォーメーションを全社戦略テーマとしてすでに実践している企業では、『データの社内散在による非有効活用』を課題として挙げた企業の割合が高くなっています。つまりデジタル先進企業は、データを活用するという意識が高く、デジタル関連のプロジェクトを進める上でデータをうまく使えないのはもったいない、そういった気持ちが生まれているのではないでしょうか」
DX先進企業ほど、データの非有効活用への懸念が大きい
