現在、多くの企業がITを活用して、新しいビジネスを創出したり、企業の競争力を高める、デジタルトランスフォーメーションに取り組んでいます。
デジタルトランスフォーメーションのためのプロジェクトでは、デジタル推進部門や事業部門が主導役となり、情報システム部門は関わらないケースが目立ちます。しかし、こうしたデジタル化には大きな課題があるとIDC Japan株式会社の寄藤幸治氏は指摘します。
その課題とはどのようなものか、そしてデジタルトランスフォーメーションに対して、情報システム部門がどうかかわるべきかについて伺いました。
デジタルトランスフォーメーションを推進する企業は半数以上!
1980年代に普及したメインフレーム、1990~2000年代のLANとインターネット、クライアント/サーバーシステムに続く、第3のプラットフォームとして調査会社のIDC Japan株式会社(以下、IDC Japan)が位置づけているのが「モバイル」「ビッグデータ」「クラウド」「ソーシャル」の4つの技術です。さらにIDCでは、これらの技術に「AI」や「IoT」「ロボティクス」「ブロックチェーン」といった技術が組み合わさることで、企業のイノベーションが加速する、いわば第3のプラットフォームの第2章の幕が開けたとしています。
第3のプラットフォームの台頭と、
イノベーションアクセラレーターの出現

昨今では、このような新たな技術を取り込んでビジネスを変革する、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」に取り組む企業は少なくありません。IDC Japanが国内の中堅規模以上の企業を対象に、企業におけるDXプロジェクトの進行状況を調査したところ、すでに何らかを実施、あるいは試験や実証実験を行っているとした企業がそれぞれ約1/3に達しました。
DXに取り組む国内企業は規模を問わない

それでは、このデジタルトランスフォーメーションを実現する上では何が重要になるのでしょうか。IDC Japanの寄藤幸治氏は次のようにポイントを語りました。
「デジタルトランスフォーメーションの重要な要素として、まず1つ目に挙げられるのはビジネスプロセスの変革です。“改善”ではなく、あくまで“変革”ですので、大きく変えることが鍵になります。2つ目はITでビジネス価値を創出し、組織として競争力を強化すること。3つ目は第3のプラットフォームの4つの技術、そしてAIやIoT、AR/VRといった『イノベーションアクセラレーター』と呼ばれる技術を使うこと。そして私自身が最も重要だと考えているのはデータの活用です」