2017.09.27
人工知能(AI)はビジネスにどう活用されるのか第10回
自動回答するAIでCS向上を図るSMBC日興証券
著者 Bizコンパス編集部
蓄積したノウハウをスムーズに移植、オペレータの働き方改革も実現
同社は2017年5月にLINEのチャットサービスの追加機能として、COTOHAの本格運用を開始します。LINEのチャットサービスの利用者のうち約7割の顧客が、オペレータではなく、まずAIチャットボットを選択するといいます。「気軽さが売りのチャットが、AI活用によりさらに気軽に利用できるようになったと手応えを感じています」と稲田氏は強調します。
運用開始前に行う応答シナリオの設定作業も、COTOHAが備える「スロット」という独自の機能によって非常にスムーズに行えたといいます。「こういうお問い合わせがあったら、この中から回答を選択していくという分岐設定が非常に容易です。これまでコンタクトセンターで蓄積してきた対応ノウハウを、余すことなく移植することができました」(稲田氏)。このスロット設定は、表現の“揺れ”も吸収することが可能。例えば「口座を作りたい」と「株式投資を始めたい」など、同じ意図で表現が異なるお問い合わせについても、しっかりと認識して、適切な回答を行うことができます。
加えて、コンタクトセンターの働き方改革の推進につながったとします。AIチャットボットの導入により、お問い合わせの一部を自動で回答することができるようになりました。
「お客さまは、いつでもお問い合わせができる上、オペレータ不在でも一定水準の回答品質を維持できます。それを受けて、オペレータの勤務時間を1時間短縮したほか、祝日対応も廃止しました。ワークライフバランスの充実を図ることで、オペレータのモチベーションアップが期待できます」と稲田氏は説明します。