最初のユースケースは、顧客接点が電話メインの場合で、FAQの活用により、オペレーターが本来対応すべきコールに集中できる状況を整備しつつ、同時に応対チャネルの最適化およびあふれ呼問題の解消を目指した施策です。こうした取り組みを進める上で、まず考えなければならないのは顧客をどうやってFAQページに誘導するかでしょう。
もちろん、FAQの存在を知らない顧客であっても、自社のWebサイトを見たり検索エンジンでキーワード検索したりすることで偶然FAQページにたどり着ける可能性はありますが、そうした顧客はごくまれで、ほとんどの人がこれまでと同様に電話をかけてくると考えられます。そのようなユーザーを、うまくFAQページに誘導する動線を考えなければなりません。
また、FAQでは解決できない課題を抱えている顧客の場合、無理にFAQページに誘導すればフラストレーションを蓄積することにもなりかねません。そのため、まず前段で顧客の課題を認識して適切に振り分ける必要があります。そこで活用したいのが自動音声応答(IVR:Interactive Voice Response)です。
顧客からの問い合わせの内容はコンタクトセンターによってさまざまですが、その中には顧客自身で自己解決できる内容も少なくないでしょう。IVRを使えば、問い合わせの内容を前段で振り分けることが可能であり、自己解決できるものについてはFAQページに誘導するという動線を描くことで、オペレーターの負担軽減や業務効率の向上を図れます。
・顧客をスマートにFAQページへ誘導
FAQページへの誘導方法ですが、電話口でURLを伝える方法は決してスマートとは言い難く、また顧客のITリテラシーが高くない場合、URLを伝えても確実にFAQページにアクセスしてもらえるとは限りません。そこで検討したいのがSMS(ショートメッセージサービス)の活用です。
SMSは多くの携帯電話サービスに組み込まれている、テキストメッセージを送信できる機能です。IVRで振り分けた結果、顧客自身での自己解決が可能と判断できれば、発信に使われたスマートフォン宛にFAQページのURLを記載したテキストメッセージを送信します。顧客は記載されたURLをタップすればWebブラウザが開いてFAQページが表示されるという流れです。
このSMS機能を使って顧客をFAQページに誘導するガイダンスを制作する際、顧客目線で内容を考えることも意識すべきポイントです。たとえば問い合わせの電話に対してFAQページへ誘導するSMSを送信する際、そこへアクセスすることが顧客にどのようなメリットをもたらすのかをしっかり伝える、あるいは一方的にSMSを送信するのではなく顧客の同意を得る。こういったところまでしっかり意識すれば、顧客満足度はさらに高まるでしょう。
ここまで解説したIVRやSMS送信を実現するためのサービスとして、NTTコミュニケーションズで提供しているのがナビダイヤルです。「0570」+6桁の専用番号で発信できるナビダイヤルは、オプションとしてIVRやSMS送信機能が用意されています。これを利用すればIVRで問い合わせ内容を振り分けつつ、問い合わせ内容に応じてSMSを送信するといった仕組みを容易に整えられます。また通話料金は発信者負担であり通話コストを抑えられること、高価な設備の準備や工事が不要であることもメリットです。
顧客接点が電話メインの場合

・チャットボットで顧客を適切なコンテンツに誘導
このように、IVRやSMSを使えば顧客の問い合わせ内容を振り分けてFAQページに誘導できます。とはいえ、それによってFAQページにアクセスできたとしても、顧客が自身の課題解決に必要な情報が掲載されたページへアクセスできるとは限りません。特にFAQの項目が増えてコンテンツの数が膨大になれば、必要な情報にアクセスすることが難しくなります。そこで検討したいのがAIを使ったチャット機能の提供です。
FAQを提供する際、検索機能を設けている企業は少なくありませんが、検索キーワードと掲載されているコンテンツの内容が一致しなければヒットしないといった課題があり、検索しても解決策が見つからないといったことが少なくありません。しかしAIを活用して顧客が入力した質問の意味を理解し、適切な回答に導くことができれば、FAQの有用性を大いに高められます。
そのような用途で活用できるのが、AIチャットボットです。セマンティック検索を行うAIエンジンにより、キーワードではなく質問の意味を解釈し、適切な答えを顧客に提示することが可能になります。またキーワードではなく自然な文章で検索を行えるため、顧客にとってもわかりやすいでしょう。
このように、ナビダイヤルのIVR機能を活用して顧客の問い合わせ内容を振り分け、自己解決できるものであればSMSでFAQページに誘導、さらにFAQページではAIチャットボットを活用して適切なコンテンツに導くといった形を整えることができれば、顧客満足度を低下させることなくコンタクトセンター業務の効率化を図ることができます。