いま求められる“顧客接点の強化”(第5回)

中国人旅行者は「QRコード決済」で呼び込め!

2018.03.14 Wed連載バックナンバー

 “爆買い”ブームから数年が経過しますが、いまだ中国からの訪日人数、買物消費額は他国を抑えてダントツのNo.1です。その中国ではキャッシュレス化が進んでおり、現在はスマートフォンを使ったQRコード決済が主流になっています。

 目端の利く国内の百貨店、家電量販店、ドラッグストアなどでは、いち早くQRコード決済に対応することで訪日中国人を店舗に呼び込むことに成功しています。まだまだ現金払いが主流の日本においても、ここにきて大手百貨店のような流通大手だけでなく、上野アメ横商店街の個人商店においても、続々とQRコード決済サービスへの参入を表明。今年が「キャッシュレス元年」となりそうな勢いです。中国人旅行者を呼び込むQRコード決済サービスを導入する上でのポイントを解説します。

 

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訪日外国人の1/4を占める中国人旅行者を狙え!

 海外から日本への観光客は年々増え続けており、2017年には年間の訪日外国人旅行者数は3,000万人に迫る勢いです。

 訪日外国人旅行者の1/4を占めているのが中国人旅行者です。2017年は中国から前年度より100万人近く多い、約735万人が日本を訪れています。一説によると中国では年間1億人が海外旅行に出かけるといわれており、まだまだ訪日旅行者数が急伸するポテンシャルを秘めています。

訪日外国人旅行者と中国人旅行者の推移

 もう1つ中国人旅行者で注目したいのが、旅行消費額(いわゆる日本を訪れて使った金額)です。2017年は、訪日外国人旅行者の旅行消費額の内、中国人旅行者が約4割を占め、買物代消費額に絞ると5割を超えています。さらに宿泊や飲食の消費額でも高い割合を維持するなど、まさに日本にとっては大のお得意さまといえます。

訪日中国人の旅行消費額

 このような中国人旅行者に対して、商品やサービスを売りたいと考えるのであれば、まず日本と異なる独自の決済スタイルを理解しておくべきでしょう。現金払いが主流の日本とは異なり、キャッシュレス化が進んだ中国ではクレジットカードなどでの支払いが主流です。

 さらに中国政府が海外の現金の持ち出しを上限5000米ドル(約60万円)と定めているため、日本を訪れる中国人は必然的に現金以外での決済が必要になります。中国といえばクレジットカードの「銀聯(ぎんれん)カード」が有名ですが、今これに代わって主流になっているのがスマートフォンを使ったQRコード決済です。

 このQRコード決済に対応することは、中国人旅行者を呼び込む起爆剤となり得るのです。

「WeChat Pay」と「Alipay」中国2大サービスの違い

 そもそも、スマートフォンを使ったQRコード決済とは、どのようなものなのでしょうか。

 簡単に説明すると、スマートフォン画面に表示されるQRコードを提示、店舗側の端末で読み取るだけで手軽に決済ができる仕組みです。その場でお客さまの個人口座から引き落とされる方法と、あらかじめチャージした金額が差し引かれる方法があります。

 中国では大手百貨店、量販店はもちろん、コンビニエンスストア、ホテル、タクシーなど、日常のさまざまなシーンでQRコード決済が利用できるようになっています。しかも個人間の送金もできるため、個人経営の店舗、屋台など商売の規模を問わず広く普及している状況です。このように、どこでもQRコード決済ができる環境であるため、財布を持たずスマートフォンだけで生活する中国人も多いといいます。

 現在、中国のQRコード決済サービスで市場を二分しているのは、ECサイト大手 アリババグループの「Alipay(支付宝)」、そしてゲーム、SNS事業などを広く展開するテンセントの「WeChat Pay(微信支付)」です。決済金額のトップはAlipayですが、決済回数はWeChat Payが多いと発表されており、WeChat Payが猛追している状況です。

中国におけるオンライン決済市場シェア

 この2大QRコード決済サービスには、大きな違いがあります。もともとAlipayはECサイトの決済サービスとしてスタートしており、現在は街中の実店舗での決済にも対応していますが、あくまでも決済に特化したサービスです。

 一方でWeChat Payは、チャットや写真共有ができるSNSサービス「WeChat」の延長線上で使える決済サービスです。若者からお年寄りまで、世代に関係なく多くの中国人が利用しており、約10憶人ものアクティブユーザーを抱えるWeChatがベースになっていることが、後発ながらWeChat Payが中国で急成長する要因の1つになっているといえます。

 今では6億人以上に利用されるWeChat Pay、その導入メリットやパートナー選びのポイントを解説します。

決済の効率化&集客ができる「WeChat Pay」

 WeChat Payは、タブレットとWi-Fiなどの通信環境を用意するだけで容易に導入できます。

 申込をしてから納期までの時間は2~3週間ほど。初期費用と決済手数料もわずかで、手軽に利用を開始することが可能です。日本の大型店舗のみならず、個人経営の店舗などにもWeChat Payの利用が広がる背景には、ローリスクで導入できる簡便さがあります。

 第一の導入メリットは、ずばり「中国人旅行者の決済がスムーズになる」ことです。WeChat Payによって、現金のやりとりが不要になるということに加え、中国人は日頃からWeChat Payの決済に慣れているため、店員が中国語を話せなくても決済が簡単にできるようになります。

●WeChat Payの決済の流れ

【店舗側】
 アプリを起動 → 金額を入力 → お客さまのQRコードをスキャン → 支払完了
【お客さま側】
 決済時にQRコードを表示 → QRコードをスキャンしてもらう → 支払完了

 続いてのメリットは、WeChat Payならではのもの。それは、別途、費用が必要になりますが、中国最大手SNSであるWeChatを利用した効果的なプロモーションが行えることです。WeChat内に公式アカウントページを開設し、フォローしたユーザーに対してお得な情報やクーポンの配信、自社Webサイトへの誘因などができるようになります。さらに、再度訪日した際のリピーターとして顧客の囲い込みをすることもできるのです。

 最後のメリットはWeChat Payの購買データを分析して、さまざまな属性のマーケティング情報を収集して販売戦略に活用できることです。WeChat Payを運営するテンセントは、ゲームやECサイト、音楽・映像配信など幅広いサービスを提供しており、すべてのユーザーIDをWeChat上で統合しています。このためWeChat Payの購買データと紐付けて、きわめて詳細かつ的確な属性情報を取得できるようになります。

 このように導入の容易さ、決済の効率化に加えて、効果的なプロモーション、マーケティング活用により、継続的に集客、売上アップを図れる点がWeChat Payの魅力です。

 WeChat Payでは、年に数回、テンセントの負担でユーザーへのキャッシュバックキャンペーンが大々的に行われます。このタイミングに合わせてクーポン配信などのプロモーションを行えば、より大きな効果が見込めます。中国の大型連休に合わせてクーポン配信を行ったところ、クーポン利用の売上額が1億円を超えたケースもあるそうです。

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WeChat Pay成功のカギはパートナー選び

 現在WeChat PayのQRコード決済サービスを提供している代表的な事業者は、中国テンセント社の正規包括代理店としてWeChat関連サービスを日本の企業に提供しているネットスターズ(NTTグループと連携)、新生銀行グループのアプラス、システム・ソフトウェア開発を手掛けるインタセクト・コミュニケーションズなどがあります。

 その他にもインターネットを検索すれば多くの事業者が見つかることでしょう。それぞれに異なるサービスの特長、強みがありますので、パートナー選定の際に役立つチェックポイントをいくつか挙げます。

●目先のコストにとらわれない

 声高に料金の安さをアピールする事業者も存在します。確かに低価格は魅力的ですが、単純にWeChat Payを導入しても思い通りの集客、売上アップは望めません。コストにだけとらわれず、以下に紹介する必要充分なサービスを提供してもらえるのかをきちんと確認したほうがいいでしょう。

●プロモーションを提案してもらえるか

 WeChatのユーザーを利用した効果的なプロモーションが行えることが、WeChat Payの大きな特長であることは先に述べた通りです。自社の商品やサービスに合わせて、店頭のPOPからSNSでの公式アカウント開設まで、効果的な販促プランを提案してもらえるかは必ず確認しましょう。

●キャッシュフローは安心できるか

 銀行口座に紐付けされ、口座残高がある場合のみ決済が成立するサービスだからといって、必ずしも安心とは限りません。決済の締日や支払日の確認はもちろん、大手銀行などの信託口座を採用しているかもチェックすべきです。これにより安全・安心な資金保全ができるようになります。

●通信環境のサポートをしてもらえるか

 ごくまれに店頭でWeChat Payが使用不能になることがあります。原因の大半は通信機器、通信環境のトラブルです。こうしたITインフラ面のサポートを行い、安定した通信品質を維持できるかも、パートナー選びにおいては重要な条件のひとつです。

●マルチ決済に対応できるか

 新たな決済サービスを導入するにあたって「マルチ決済対応」は必須の条件です。中国人旅行者向けには、WeChat Payだけでなく、多くの中国人が利用する「銀聯(ぎんれん)」カードへの対応も必要でしょう。また、今後日本でも日本人向けQRコード決済サービスが普及することを考えると、NTTドコモの「d払い」など、新しいサービスも取り込める決済システムを検討しましょう。

●導入実績は豊富か

 これまで、どのような企業や店舗にWeChat Payを導入した実績があるかも重要な選定ポイントです。大手の店舗や施設に導入されていれば、それだけ信用に値するパートナーと言えます。自社のケースに近い事例があれば、導入によってどのような効果がもたらされるのかを把握することもできます。

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WeChat Pay導入までのステップ

 中国以外では世界初となる、新千歳空港ターミナルビルのWeChat Pay旗艦空港化をサポートしたNTT東日本を例に挙げて、WeChat Payの導入ステップを解説します。

 NTT東日本およびNTTグループは、WeChat Payment筆頭代理店であるネットスターズ社と提携し、大手百貨店や上野アメ横商店街などの流通企業および地域に根付いた店舗様を中心に、10,000店舗以上へ導入しています。

 まず導入前には、店舗側の負担なども踏まえ、導入スケジュールを設計します。新たな決済システムを導入することになるので、豊富な導入事例をもとに決済オペレーションを支援します。導入時には、各店舗へ展開可能な操作マニュアルや導入研修によってスムーズな展開をサポートします。導入後は、年中無休で対応可能なヘルプデスクや、Q&Aの提供によって現場の負担を軽減することが可能です。

ネットスターズ&NTTグループのサポート体制

 店舗に必要なWI-Fiなどのネットワーク環境の整備を一元的に任せられるのも、NTTグループならではです。店舗でiPad等のタブレットを用意するか、レシート印刷も可能な専用決済端末を導入することもできます。この専用端末はNTTドコモのd払いに対応予定であるほか、将来的にさまざまな決済サービスにも対応していく予定です。

ネットスターズ&NTTグループによるWeChat Pay 提供構成イメージ

 その他、NTTグループとネットスターズによる提供には、以下のような強みがあります。

・ 三井住友銀行の信託口座を利用しているので安心
・ マルチ決済で新たな決済サービスにも対応
・ 公式アカウント運用や広告作成などプロモーションを支援

 今年、2月15日からの1週間は中国の伝統的な祝日、春節祭(旧正月)でした。繁華街や観光地で多くの中国人旅行者を目にした方も多いのではないでしょうか。おそらく、次に中国人旅行者が大挙して日本を訪れるのは桜が開花する4月、そして5月1日(労働節)から始まるゴールデンウィークです。これからパートナーの選定を行っても、まだ充分に間に合います。中国人旅行者を呼び込むチャンスを見逃す手はありません。

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Bizコンパス編集部

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