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Bizコンパス

DXの潮流、CDOの挑戦
2021.06.11

いま求められる“顧客接点の強化”第36回

JALは新しいナレッジシステムで、次世代のコンタクトセンターを目指す

著者 Bizコンパス編集部

100人を超えるメンバーが関わるプロジェクト

 2019年に、POLARISプロジェクトはスタートしました。現場で働く100名以上のスタッフと一緒になり、アジャイル開発を担当した株式会社JALナビア 旅客営業サポートセンター 国際サポート部の林史恵氏は、当時の苦労を明かします。

 「旧システムでの業務にあたりながら、新システムを作り上げる大変なミッションでした。私を含め現場のスタッフもアジャイル開発は初めての試み。何が正解かわからないなか、『現場のオペレーターと管理者が使いやすいシステム』というのを念頭に置き、手探りで構築に取り組みました」

 EOLを迎える旧システムもあり、納期は延ばせない状態のなかで、日本でも新型コロナウイルスの感染が拡大。メンバーと会うのもままならなくなり、プロジェクトを進めていくことが困難な状況でした。しかし、林氏はそうした状況をさまざまな工夫で乗り越えたといいます。

株式会社JALナビア
旅客営業サポートセンター
国際サポート部
国際チャネル室国際予約サポート第1グループ
グループ長
林 史恵氏

 「このプロジェクトには100人超のメンバーが参加していました。しかし新型コロナウイルス感染症で出社が制限された状況下では、集合して対面での会議などを行うことはできません。そのため最初は、多数のメンバーと遠隔でも円滑なコミュニケーションを実現できる環境の構築に尽力しました。

 そしてEOLまでにプロジェクトを完遂するために、緻密なコンテンツ移行作業計画を立案。メンバーに分担したタスクが予定通り進行しているか、こまめな進捗管理を行いながら、極力手戻りなどが発生しないよう留意しながら作業を進めていきました。

 プロジェクトメンバー全員、現業務を行いながらの取り組みでしたが、メンバーの惜しみない協力もあり、どうにかプロジェクトを成功させることができました」(林氏)

 若林氏は、今回の成功要因を次のように分析します。

 「まずはこれまで蓄積されてきた、ドキュメントにして1万ページ以上に上るコンテンツを精査し、少しずつ要件を固めていきました。この要件に対し、機能やデザイン、UIの改善提案をしていただきながら開発を進めていきました。

 このプロジェクトの成功の要因は、私たちが達成したいことを現場とシステム側のスタッフ、そしてパートナーと共有できたこと。そして、全員一丸となって開発に取り組めたことにあると思います。」

 こうした現場の努力が実り、さまざまなハードルを乗り越え、無事スケジュール通りにPOLARISは本稼働を開始します。

 POLARISの稼働により、従来は分散していたナレッジが1つに統合され、コンタクトセンターだけではなく、空港など国内外の顧客とのタッチポイントで働くスタッフが共通した情報をタイムリーに確認できるようになりました。

 「検索機能が格段に向上したことでお客さまの応対速度が上がりました。一度検索したナレッジを一覧できる“お気に入り機能”は、現場で大変好評です。すべてのタッチポイントで共通した情報を参照できるため、国や地域で存在したローカルのルールも解消されました」(若林氏)

 コンタクトセンターのスタッフと一緒に新システムを作ってきた林氏は、POLARISによって働き方に変革が起きたと評価します。

「どこにいてもPOLARISにアクセスできるのでコンタクトセンターでの働き方が大きく変わったように思います。

 これによって、メンテナンスが格段にしやすくなりました。これまでのシステムでは、アップデートを行う際、出社しなければアクセスできませんでしたが、更改後は自宅でも対応できるようになりました。これはコロナ禍においては非常に大きなメリットになっています」(林氏)

 熊谷氏は、全社員に対して情報を即時にアップデートできるようになったことも大きな変化だと語ります。

 「従来はナレッジを頻繁に書き換える必要はなかったのですが、日々、状況が変化するコロナ禍においては即時に全社員に対して情報をアップデートする必要があります。POLARIS を導入することで一元的に世界共通のナレッジを更新できる仕組みが整いました」

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