新型コロナウイルスの感染防止のため、テレワークを導入している企業は、以前よりも増えていることでしょう。
しかし、コンタクトセンターに関しては、セキュリティ上の理由から、テレワークが導入されていないケースが少なくありません。どのようにすればコンタクトセンターでもテレワークができるようになるのでしょうか。
NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)の大垣哲也氏によると、その鍵は「ゼロトラスト・セキュリティ」にあるようです。
今回は、NTT Comが開催したセミナー「COVID-19から学ぶ ニューノーマル時代のコンタクトセンターとは」で大垣氏が解説した、テレワークでもゼロトラスト・セキュリティで安全と利便性を両立する方法について紹介します。
オフィスワークも、セキュリティの心配がないわけでない

NTTコミュニケーションズ株式会社
ソリューションサービス部
デジタルソリューション部門
コンサルタント
大垣哲也氏
大垣氏によると、コンタクトセンター業界を取り巻く状況は、新型コロナウイルスの流行前と比べて変化が見られるようです。
「弊社のサービスである『フリーダイヤル』における、コロナ前とコロナ後のコール数の変化を見ると、旅行代理店やタクシー、鉄道業界のコール数は大きく減少しました。
その一方で、自粛により多くの人がステイホームを余儀なくされ、電話会議サービスやECサイトなどのコール数は大きく伸びました。全体的に、非対面、非接触の顧客接点の需要が非常に伸びているといえます」
このようにコンタクトセンターを取り巻く環境が変わりつつある中で、コンタクトセンターで働く人たちの環境は、従来とはそこまで大きく変わっていないようです。
コールセンタージャパンの調べによると、テレワークを導入したコンタクトセンターの割合は、4月時点ではわずか16%でしたが、5月は44%と大幅に増えました。しかし、6月の調査では49%と、数値の伸びが落ち着いてしまいました。
ちなみに日本経済団体連合会(経団連)の調査によると、同団体に加盟する97.8%もの企業がテレワークを導入しているといいます。経団連に加盟する企業のほとんどがテレワークを導入しているにも関わらず、コンタクトセンター業界では未だに半数以上の企業しかテレワークに対応できていないことになります。
「新型コロナウイルスの感染予防対策として、テレワークの対応は必須です。オペレーター採用の観点でも、“在宅勤務可能”という選択肢が用意されていることは、これからの時代に欠かせないポイントといえるでしょう」
なぜコンタクトセンターでは、テレワークに移行する動きが鈍いのでしょうか。その障壁となっているのが、セキュリティです。大垣氏は「コンタクトセンターでは、顧客の個人情報を扱うことも多いことなどから、セキュリティ面での不安を拭いきれず、テレワークに二の足を踏んでいる企業は少なくない」と分析します。
一方で大垣氏は、オペレーターがオフィス内で勤務するからといって、安全が保証されるわけではないとも指摘します。
「新型コロナウイルスの影響で、サイバー攻撃やウィルス、マルウェアの感染例が増加していますが、その原因の8割強が『メール』でした。オフィス内は安全だと思っていても、そのオフィスの中で起動しているパソコンから悪意のあるメールを開封してしまうと、サイバー攻撃を受けてしまう可能性があります。もはや“オフィスで仕事をしているから安全”という状況ではありません」