2つ目の解決策は、AIによる電話応対そのものの自動化です。
具体的には、Amazon Connectの音声合成機能で顧客に自動で応答し、顧客の発話内容をCOTOHAで音声認識します。その内容に基づいて、ServiceNow経由で各種システム連携を行うことで、人を介さない、電話応対の“完全自動化”を可能にするというものです。
楠木氏はユースケースとして、商品注文センターにおける問い合わせ窓口での活用を挙げました。
「はじめに顧客が電話をかけてくると、Amazon Connectの音声合成が最初に『注文センターへお問い合わせありがとうございます』とアナウンスし、顧客の電話番号と名前を確認します。次に、発話内容からCOTOHAが音声認識をかけ、ServiceNowを介して顧客情報を参照することで本人確認を行います。
続けて、希望商品と個数の確認を行います。注文内容が『PCを1台』だった場合、ServiceNowを介して在庫管理システムなどから在庫状況や発送日を自動で確認。その結果を受けて、Amazon Connectが『PCを1台ですね。お届け日は○月○日になります』と答え、顧客からの最終確認を経て、ServiceNowで発注処理を実行します。お問い合わせから発注までの一連のプロセスが、人を介さずに、完全に自動化できるようになっています」
このAIによる電話応対は、注文内容の変更・交換・返品などにも応用できます。さらに現地へのフィールドサポートの手配など、業種や業態を問わず幅広い電話応対での活用が可能といいます。
「電話の分断されたプロセスを解決するポイントは、AIを“ハブ”として活用し、バックエンドプロセスとの連携を図ることです。これによりデジタルチャネルだけではなく、電話チャネルを含む、すべての顧客接点チャネルをシームレスにつなぎ、業務全体のデジタル化が実現できます」(楠木氏)