Bizコンパス

LINE公式アカウントにAIを導入したNTT Comの狙い
2017.12.20

いま求められる“顧客接点の強化”第2回

LINE公式アカウントにAIを導入したNTT Comの狙い

著者 Bizコンパス編集部

AI活用プロジェクトで導入企業側に求められること

 プロジェクトはまず要件定義に必要な情報の収集から始まり、その内容を基に具体的な要件がまとめられました。その後、AIを使ったコミュニケーションの鍵を握る、シナリオの設計や設定が行われています。実際のテスト環境が構築された後、それを使って関係者内で検証を実施、その内容が開発側にフィードバックされてリリースを迎えています。

 新たに追加した機能には、COTOHAを使ったフリーワードによる「AI対話機能」と、いくつかの質問に答えるだけで最適な格安スマホや料金プランをおすすめする「ぴったり診断機能」があります。

 これを実現するシステムはAIエンジンであるCOTOHAを核としつつ、ぴったり診断機能で利用するレコメンドエンジンとコンテンツデータベースを接続した構成です。レコメンドエンジンに採用されたのは、NTTコミュニケーションズが求める要件を満たしたアクセンチュアの「アクセンチュア・レコメンド・サービス(ARS)」です。このARSにより、利用者との自然な対話から真のニーズを抽出し、最適なプランを提案することができるようになりました。また、これらのシステムとLINE公式アカウントを連携させるために、LINEが提供する「ビジネスコネクト」機能を利用しています。

LINE×COTOHAシステム構成概要

 この開発プロジェクトについて、秋友氏は次のように感想を述べました。

 「要件定義では、導入企業側の要望をしっかり組み込んでいかなくてはなりません。またプロジェクトを進める中でも、開発側に任せてしまうのではなく、特にシナリオが決まるまでは導入企業側もしっかり稼働をかけないとうまくいかないと思います。実際に今回は、かなりの回数のミーティングを重ねました」

 特にシナリオ作成は、OCN モバイル ONEの疑問や不安を解消していただき、サービス拡販につなげるために極めて重要なポイントとなります。その検討を進める上で意識したこととして挙げられたのは、利用者にいかにスムーズに購入検討まで進んでいただけるかという点です。

 たとえば今回のプロジェクトの主目的はOCN モバイル ONEの拡販であり、それに結びつくコンテンツとしてぴったり診断機能を用意しています。このぴったり診断機能にフリーワードのコミュニケーションから誘導することもありますが、あまりに診断を勧めるとしつこいと感じ離脱されかねません。そこで診断することが自然なシナリオの場合だけ誘導するといったように、利用者の視点でシナリオが練られました。

 このシナリオ作成について、NTTコミュニケーションズの上三垣英幸氏は「シナリオを作成する際は、コンタクトセンターにおけるオペレーターのトレーニングのようなイメージで作業を進めました。私たちが行ってほしいことをAIに教えて覚えてもらうイメージです」と話します。

 利用者に親近感を持ってもらうために、キャラクターにどのような口調で話させるのかも検討のポイントとなりました。堅い口調では冷たい印象を与えますが、一方で砕けた口調は誤解を招く恐れもあります。今回は友だちと話すような砕けた口調でシナリオを作成し、誤解を招かないようにキャラクターの表情を画像として会話の中に埋め込むといった工夫が行われています。

 利用者にとって使いやすいユーザーインターフェイスユーザーエクスペリエンスにも配慮されたようです。具体的には、画面に表示されているボタンを押すと何が始まるのかがわかるようにデザインを工夫したほか、フリーワードだけでなく選択肢を表示してお客さまに選んでもらう仕掛けを追加しました。お客さまが料金について知りたいといった場面において、料金の何について知りたいのかを選択肢として表示するといった形です。ただし、選択式の会話ではAIらしさが薄れてしまうため、フリーワードとのバランスは慎重に検討が行われています。

 さらに上三垣氏は、「リリース後はCOTOHAのログを分析し、答えることができなかった質問に対して回答を用意したり、あるいは問題のある導線を改善したりするといった取り組みを進めています。さらなるAI精度を高めるためのシナリオのチューニングは、常に継続的に取り組んでいく必要があります」と、運用面における取り組みについても話します。

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