オペレーターの知識やスキルに依存しない体制構築のため、馬場氏がA社に提案したのは、音声認識とAIを組み合わせた知識支援システムの効果検証(PoC)からのスタートでした。
「A社さまへのヒアリングの結果、オペレーターごとの知識やスキルのばらつきを解消することで、応対時間の短縮、応対品質の平準化、回答率を向上させたいというご要望を伺いました。そこで、「オペレーターとエンドユーザーの通話音声を分析する」「マニュアルやホームページ上から検索している各種情報を応対中のオペレーターの画面上にFAQ形式で表示する」というシステムを提案。ただシステム提案をするだけでは、A社さまの課題が解決しないのではないかと考え、効果検証(PoC)から始めることにしました。
PoCでは、音声認識の精度や回答の正答率、UIなどの観点から、システムの有効性を26ケ月にわたって検証。特に金融業界ならではの専門用語の認識精度を上げるために、登録辞書のチューニングには時間をかけ、一定の成果が出たことで本格実装が決まりました」(馬場氏)
これによって生まれたのが、音声認識による通話のテキスト化とAIによる通話の解析で、通話内容に合った回答をオペレーターに表示する「アドバイザー(オペレーター)自動知識支援システム」です。