戦略的Webサイトを目指す企業が知っておくべきこと(第3回)

グローバル企業のWebサイト運営の課題を解決するDXP

2018.09.05 Wed連載バックナンバー

 いまや企業のWebサイトは単なる情報提供にとどまらず、企業戦略の中で重要な役割を担う存在となっています。そうした中、コンテンツをどのように管理するかが重要な課題となっていますが、多くの企業が未解決のままサイトを運営しています。

 これらの課題を一気に解決し、かつ攻めのマーケティングツールにもなり得るWebサイトを実現するソリューションとして注目を集め始めたのが「DXP」です。このDXPについて、そして既存のWebサイトにおける課題を解消するためには何をすべきかについて解説します。

 

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「DXP」とは

「DXP」とは「デジタルエクスペリエンスプラットフォーム」の略称で、デジタルエクスペリエンスを一貫して管理、提供、最適化するためのプラットフォームです。デジタルエクスペリエンスはユーザーがWeb上で体験する全てのプロセスのことで、想定されるシーンは顧客や取引先はもちろん、社内の従業員にも当てはまることと言えます。

 質の良いデジタルエクスペリエンスはユーザーの購買意欲を促進し、Webサイトにおけるユーザー満足度を高める役割を果たしているため、ユーザーにさらなるアクションを起こさせるための大変重要な要件の1つと言えるでしょう。

デジタルマーケティングを見据えたWebサイト改革

 企業から顧客や取引先に対する情報提供において、現在インターネットが主要な流通経路となっているのは間違いないでしょう。それに伴い、企業はインターネット上で公開するためのコンテンツを多数提供していますが、一方でそれらのコンテンツが適切に管理されていないケースが多いようです。

 コンテンツが適切に管理されず、断片化した状態のまま放置されているような状況では、ビジネスのデジタル化を推し進める上で大きな足かせとなる恐れがあります。たとえば昨今、マーケティング手法として効果が高いと言われているデジタルマーケティングにおいて、Webサイトに訪問したユーザーごとに動的にコンテンツを切り替える「パーソナライゼーション」という機能がありますが、闇雲にコンテンツを追加している状況ではこのパーソナライゼーションに対応することは困難でしょう。

 さらに、すでに多くの企業で顕在化している課題としては、グローバル企業におけるWebサイトの運営が挙げられます(下記図参照)。特にビジネスを展開する海外現地法人ごとに個別にWebサイトを運営している場合、各国がオリジナルで制作されるため、国や地域によってデザインやコンテンツに大きな差が生じてしまい、ブランドの確立における大きな障壁となりかねません。また海外現地法人によってはWebサイト運営のためのリソースを十分に確保することができず、コンテンツのアップデートやセキュリティ対応がおろそかになっているケースも珍しくないでしょう。

Webサイトのグローバル化に伴う課題

 また、タッチポイントの多様化も意識すべきです。従来の情報提供はWebサイトを中心に行われてきましたが、今後はスマートフォンのアプリやデジタルサイネージ、あるいはスマートウォッチなど、さまざまなタッチポイントで顧客に情報提供することが求められます。この際、Webサイトでの利用のみを想定してコンテンツを制作していては、タッチポイントごとにコンテンツを作り直す必要に迫られます。

 このような課題の解決策として、昨今注目されているのが「DXP(Digital Experience Platform)」です。

DXPとして数多くの大企業が採用するAcquia Cloud

 DXPについて、ガートナーでは「幅広い利用者に、さまざまなデジタルタッチポイント上の情報やアプリケーション群へ、安定的かつ安全に、パーソナル化されたアクセスを提供」するものと定義しています。DXPに属するソリューションでは、それを実現するためにコンテンツ管理や多様なタッチポイントへの対応、ユーザーごとのパーソナライゼーションなどの機能を提供します。

 コンテンツ管理に絞って考えた場合、従来そのための機能を提供してきたのはCMS(Contents Management System)と呼ばれるソリューションであり、さまざまなプロダクトが広く使われてきました。しかしながらWebサイトの役割が変遷し、マーケティングオートメーションの普及によってWebサイトの役割が拡大しつつある現在、管理ツールに対してより幅広い機能が求められるようになりました。そうしたニーズに対応するソリューションとしてDXPが登場したという流れです。

 このDXPに分類されるソリューションの1つとして、昨今存在感を高めているのが「Acquia (アクイア)」です。これはオープンソースのCMSであるDrupalを開発したDries Buytaert氏がCTOを務める、アクイア社が提供するクラウドサービスであり、Drupalのエンタープライズ版となります。アクイア社はDXPの領域におけるガートナーのマジッククアドラントにおいて、マイクロソフトやオラクル、SAPと並んで“チャレンジャー”に位置づけられています。

 アクイアはマルチサイト/多言語に対応し、高品質(SLA99.95%)・高セキュリティなプラットフォーム(GDPR準拠クラウド)を採用、複数サイトを単一プラットフォーム上に構築でき、ワークフロー、パーソナライズ、DAM等を標準で有しており、早期に低コストでサイト構築が可能となります。また、アクイアを採用することにより更新作業等でWeb専門知識が不要となり、従来より大幅なランニングコスト削減が見込めます。

グローバルDXを支える高品質なプラットフォーム「Acquia」の主な機能

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アプリやAIスピーカーなど、幅広いタッチポイントに対応

 アクイアにおいて日本市場を担当するDarren Watkins氏は、Acquia Cloudを活用することでWebサイト運営におけるさまざまな課題を解決できると説明します。

「多くのお客さまに共通する課題として、市場に投入する速度を加速させたいというものがあります。既存のCMSでは導入やセットアップに多くの時間や労力が必要となるため、成果はなかなか現れません。一方Acquia Cloudは「Time To Market」をコンセプトにPaaSとして提供されているので、迅速に導入して開発を進めることが可能です。さらにオープンソースで開発が進められていることから、機能拡張などのためのモジュールがコミュニティによって数多く開発されています。これらを利用することで迅速にプラットフォームを構築することができます。実際、ある日系企業の北米向けWebサイトの構築では、通常は早くても6カ月、標準で1年ほどの期間が必要なところ、わずか4カ月でリリースに至りました」

 スケーラビリティの高さも、アクイアのアドバンテージとして挙げられました。実際、世界的なスポーツイベントの公式サイトのプラットフォームとしても採用されており、極めてアクセス数が多いWebサイトでも安心して使えることを証明しています。

 各機能をモジュール化したデッカプルド・アーキテクチャを採用し、柔軟に機能拡張を行えることもAcquia Cloudの特長です。これによりさまざまな機能を拡張できますが、その一例として幅広いメディアへのコンテンツ提供が挙げられます。多くのCMSと異なり、Acquia Cloudではコンテンツ管理とコンテンツを表示するプレゼンテーション部分が分離しているため、モジュールを追加することでスマートフォンのアプリやカーナビ、さらには昨今話題となっているAIスピーカーなどへコンテンツを送出することが可能です。

 Darren Watkins氏が「Webサイトのコンテンツを顧客ごとに最適化するパーソナライゼーションは、最近になって本格的に投資を行う企業が増えています。すでに先進国ではいくつもの事例があり、今後パーソナライズは大きなトレンドとなるのではないでしょうか」と述べるように、顧客ごとにコンテンツを切り替える手法は着実に広まりつつあります。これについても、Acquia Cloudはパーソナライズのための「Acquia Lift」、そしてオーケストレーションツールの「Acquia Journey」で実現しています。

Webサイトにおけるグローバルガバナンスを確立するために

 グローバルを見据えたWebサイト運営を可能にするための機能が備えられていることも見逃せません。クラウドサービスであるAcquia Cloudは、複数国、複数地域の大規模な要件にも柔軟に対応できるキャパシティを備えているほか、当然ながら多言語にも対応しています。これにより、グローバル全体でAcquia Cloudを使用してWebサイトを運営することが可能です。

 このグローバル対応において、もう1つ注目すべき機能が「Acquia Cloud Site Factory」です。これについて、Darren Watkins氏は次のように説明しました。

「Acquia Cloud Site Factoryでは、本社でソースコードを一括管理します。その上でWebサイトを構築し、各国・各地域に展開することが可能です。これにより、海外の現地担当者はシステムの開発やコンテンツを一から制作する手間が省け、ある程度本社で出来上がったコンテンツを最終仕上げするだけ、あるいは現地の状況に合わせて適宜コンテンツを更新するだけ、と作業を効率化することが可能となり、スピードとガバナンスを両立することが実現できます。また本社で機能の追加やセキュリティ上の設定変更を行った場合、それがすべてのサイトに同時に適用される仕組みも備えています」

 こうしたメリットを生かすことにより、Acquia Cloudを使って現状のWebサイト上のコンテンツを適切に整理し、次のステップでAcquia Cloud Site Factoryの機能を使ってグローバル全体で統合的にWebサイトを運営する環境を整えるといったことが可能でしょう。

Darren氏が述べたDXP「Acquia Platform」の特長をまとめた動画

Acquia Platform

 

 ただし、実際のDXPの導入にあたっては全体最適の視点が求められ、そのためにはさまざまなノウハウが必要となります。ユーザーに質の良いDX(デジタルエクスペリエンス)を提供するには、Webサイトが安心・安全であること、データの管理・保護等が適切に実施されていること、Web上でユーザーのプロセスが快適に進み次のアクションが取りやすいことなどが必須条件になってきます。それらを実現するためには、パートナー選定が重要な鍵となります。NTTコミュニケーションズグループでは、以下のような付加価値と共に、お客様へWebトータルソリューションをご提供しています。

・Webサイト構築・運営の経験が豊富
・Drupal等のCMSの構築実績が多数
・セキュリティ対策のメニューが充実
・アクセスピークに合わせてスケールアップが容易にできるクラウド基盤を提供
・デジタルマーケティングのノウハウ保有
・各国の法令や規制、あるいはローカルマーケティング視点でも強力サポート

 いずれにしても、デジタル・トランスフォーメーションの時代において、Webサイトはビジネスにおいて極めて重要なポジションを担います。グローバル全体でユーザーエクスペリエンスが統一できていない、Webサイトを核としたデジタルマーケティングに取り組みたいなどと考えているのであれば、ライバルに遅れを取る前にアクションを起こすべきでしょう。

 

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Bizコンパス編集部

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