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マーケティングの「今」
2020.10.26

「日本調剤 オンライン薬局サービス」を全国へ展開

日本調剤株式会社 常務取締役 深井 克彦 氏 事業開発部 次長 木村 慶彦 氏

 2020年9月1日、全国の店舗で「日本調剤 オンライン薬局サービス」を運用開始した日本調剤の常務取締役深井氏と事業開発部次長木村氏に、新サービスの特徴や開発の背景を伺った。

 

コロナ禍をきっかけに医療業界・調剤薬局業界のDXが進む

――調剤薬局の業界事情

深井 日本の医療業界は諸外国と比べ、明らかにICT化で遅れを取っています。私どもは保険点数化される以前から「電子お薬手帳」を開発し、業界に先駆けてデジタル化に取り組んでおりますが、国内には約6万軒の調剤薬局があり、その約半数を占める個店あるいは1人薬剤師の店舗ではデジタル化を進めづらい状況です。そのような状況下でコロナ禍が起き、2020年4月10日に厚生労働省が発出した通知により、時限的措置ながら電話やオンラインでの服薬指導・診療が認められました(0410対応)。これが医療業界のデジタル化を加速するきっかけになるかもしれないと考えています。

 2020年9月1日に解禁されたオンライン服薬指導に加え、2022年に予定されている電子処方箋の全国運用、さらに2025年に向けた地域包括ケアシステム構築を、私どもは大きな好機と捉え、お薬に関することはすべて薬剤師が担える体制づくりを着実に進めていきたいと考えています。

 特に、これからは医師の診断が必要だった医療用医薬品が一般用医薬品へどんどん転換されていきますから、薬剤師は処方箋がなくても症状を適切に判断し、安全に服用いただくための服薬指導を行い、国民の健康を支える役割が求められます。将来的に薬剤師は、パーソナルトレーナーのように患者さまに寄り添う専属の薬剤師となり、お薬があればそこに薬剤師がいる世界をつくりだせたら、と考えています。

――これからの薬剤師は服薬指導にとどまらず、バイタルデータを取得して健康を管理したり、ライフスタイルの提案をしたりといった役割が求められるのかもしれませんね

深井 その役割を果たすには、もっと薬剤師の質を高める必要があります。医療行為を行わないまでも、糖尿病や高血圧などの生活習慣病はもちろん、網羅的な知識を習得することが求められます。こうしたニーズに対し、現在、私どもは実践的な臨床経験を学ぶために、病院に産休者が出た際に職員を派遣して経験値を高め、薬剤師の質を高める「社外ジョブチャレンジ」という取り組みを行っています。この取り組みは3年目を迎え、これまでに100の病院に対し累計190人ほどのの薬剤師を送り出しています。

――御社は、先進的な取り組みを自社だけではなく、他の医療機関にも広げようとされているところが、素晴らしいですね

深井 日本調剤にしかできないことがあるとの思いで、さまざまな取り組みをしてきました。現在注力しているのは薬学管理の分野で、2020年6月に国内初の高度DI ウェブプラットフォーム「FINDAT(ファインダット)」サービスを開始しました。これは信頼性の高い情報源から網羅的に収集した医薬品情報(DI:Drug Information)を中立的に評価し、WEB上で提供するサービスです。例えば、私どもが海外の文献を査読して得た医薬品情報を、医療機関で参照いただく。そうすることで私どもだけではなく薬剤師の全体の質も上がっていくことを目指しています。これは日本調剤の枠を超え、薬剤師の知識と経験を集約し、適正な薬物治療に貢献する取り組みです。

――「FINDAT」の運営主体は御社ですか

深井 私どもですが、情報の中立性を担保するために、私ども以外の医師、看護師、薬剤師、薬剤師会、医療経済学者、弁護士の先生で組織した第三者委員会に監査をお願いして運営しています。

 

全国の店舗で自社開発のオンライン服薬指導サービスを開始

――御社では、以前から特区でオンライン服薬指導の実証に取り組まれていましたが、そこで得た知見や課題をサービス開発にどう生かしたのでしょうか

木村 2018年11月から愛知県、2019年12月から千葉市の国家戦略特区でオンライン服薬指導の実証を開始しました。愛知県では離島の患者さまを対象にしましたが、その下準備は大変でした。と申しますのも、離島は場所によって電波状態が大きく異なるからです。特に、内陸部は電波が届かないエリアが多く、住居によっては家の外と中で電波状態が異なることもありました。その電波状態を見極めるため、スマートフォンを手に島を歩いて事前に確認しました。

 服薬指導を受ける患者さまにはご高齢の方もいらっしゃいますから「ここを押してくださいね」「こういう感じでつながりますよ」と操作方法を説明する必要がありましたが、慣れてくれば通常の服薬指導と何ら変わりはなく、むしろ患者さまとの距離が近くなったとの感触を得ました。オンライン服薬指導を受けられた患者さまとは、今もお話しする機会があり、「コロナ前にオンラインを経験していて本当によかった」とのお言葉をいただいています。

――スマホさえ使えない高齢者へのサポートは大変ではないですか… 続きを読む… 続きを読む

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深井 克彦(ふかい かつひこ)
1994年、日本調剤入社。2008年に取締役薬剤本部長に就任、2015年6月に常務取締役薬剤受託部長となり、2019年1月から常務取締役に就任、以降現職
◎情報収集方法
ネットメディア、専門情報誌、定期的にメディアや業界の人と意見交換
◎スキルアップ
若い人たちと接する。共通の話題としてドラマ、ファッション、アイドルなど多様な情報を吸収

木村 慶彦(きむら よしひこ)
2005年、日本調剤入社。店舗薬剤師、教育情報部、管理薬剤師、エリアマネージャーを経て、2017年に事業開発部へ異動。2020年に事業開発部次長に就任、以降現職
◎情報収集方法
ネットメディア、日経新聞、業界誌、オンライン診療等に関わるIT企業から情報収集
◎スキルアップ
「ジョハリの窓」を実践。いろいろな人と会い自分から話しかけ理解を深める

日本調剤株式会社について
■ 事業内容 保険調剤薬局チェーンの経営
■ 設立年月 1980年3月
■ 本社所在地 東京都千代田区丸の内1-9-1グラントウキョウノースタワー37階
■ 資本金 39億5,302万円
■ 従業員数 4,904名(連結 2020年3月期)
■ 業種 小売
■ ホームページ

https://www.nicho.co.jp/

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