9年連続国内ERPシェアNo.1(※)のワークスアプリケーションズは、HR事業を分社化・売却して新体制で再スタートを切った。生まれ変わった同社の戦略を吉田氏に伺った。
※出典:株式会社富士キメラ総研 ソフトウェアビジネス新市場 2011-2019年版
HR事業を売却して新たなスタートを切ったワークス
―― HR事業売却の背景と現在の事業体制について教えてください
弊社は1997年にHR事業のパッケージ開発からスタートし、その後AC(アカウンティング)やSCM(サプライチェーンマネジメント)、EC(イーコマース)へ事業を拡大し、国産ERPパッケージベンダーとして地位を確立してきました。業種・業態を問わず企業に必要とされる多種多様な業務要件や商習慣を汎用化「標準機能」とし、複雑な業務プロセスを持つお客様にも追加コスト不要で、多くのの要望を取り入れてアップデートを行う「お客様の声で成長し続けるERP」というコンセプトを掲げたERPパッケージは、9年連続で国内シェア1位になるなど、お客様から高い評価をいただきました。
分岐点となったのは2014年です。この年、弊社は社運をかけてクラウドネイティブな次世代ERP「HUE」の開発に着手しました。その実現に向けてエンジニアを大量採用するなど、膨大なリソースを投入しましたが計画通りに進まず、最終的には開発方針の変更を余儀なくされてしまいました。ほかにもさまざまな要因が重なり財務が悪化していく中、中核事業のHR部門を分社化し売却し、その売却代金でAC/ SCM領域でのERPパッケージ開発を継続する決断にいたりました。現在はその売却が完了し経営も持ち直し、新体制で再スタートを切ったところです。
―― 現在の主力事業について教えてください
HR事業は売却しましたが、我々は会計領域の「AC Suite」、SCM領域の「SCM Suite」、グループウェア・ポータルの「ArielAirOne」という強力なプロダクトを有しております。今後はこれらのプロダクトを中心に事業展開を強化していきます。まずは、既存のお客様にきちんとサービスをデリバリーすることが最優先課題だと考えています。
高い利便性をうたった次世代ERP「HUE」の完成には少し時間がかかりますが、AC領域では2020年に大規模案件が稼働していますし、SCM領域も数年以内に大型案件が本格稼働する予定です。グループウェア・ポータルも継続的に収益化ができていますので、見通しは明るいと考えています。
―― 新生ワークスは何を目指すのでしょうか
以前はパッケージ屋という意識が強く、営業はパッケージ・ライセンスを売ることばかり考えていました。それ自体が問題とはいえませんが「うちのパッケージを入れればROEがこんなに上がります」とか、「運用コストを大幅に削減できます」とか、製品コンセプトや製品イメージに偏った営業トークで受注してしまうことが少なくありませんでした。その結果、詳細な業務用件を十分に整理しきらないまま購入したお客様から「イメージと違う」とトラブルに発展することがありました。
新体制でスタートを切るに当たり、同じ轍を踏まないよう… 続きを読む
株式会社ワークスアプリケーションズについて | |
■ 事業内容 | 大手企業向けERPパッケージソフトの開発・販売・サポート |
■ 設立年月 | 1996年7月 |
■ 本社所在地 | 東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル19階 |
■ 資本金 | 114億9,100万円 |
■ 従業員数 | 3,430 名(連結) ※2019年10月時点 |
■ 業種 | IT |
■ ホームページ |
カテゴリランキング
カテゴリランキング