
アドビのデジタルエクスペリエンスソリューション「Adobe Experience Cloud」の「Marketo Engage(以下 Marketo)」をベースとしたMAソリューションで顧客の体験価値を高め、エンゲージメントを高めるアドビのCXM(顧客体験管理)戦略について祖谷考克氏に伺った。
日本は、人とのやり取りより自動化された応答を好む
―― 御社を取り巻く事業環境の変化について
デジタル化で多様なメディアが生まれ、情報量が増大したことにより、企業も個人も欲しい情報は自ら探して入手する形態が一般的になりました。その影響は企業のマーケティングにも大きな影響を与えました。現代の企業は、お客さまを正しく理解し、必要な情報を必要なタイミングで望むチャネルから提供しなければ、メッセージを伝えられません。メッセージが伝わらなければ、お客さまにとって企業は存在していないのと同じです。我々の言葉でいうならば、顧客体験を通じたエンゲージメントを築かなければ、企業の存在意義は見えなくなったということです。
こうした市場環境の変化に、我々アドビは何ができるのか。そもそもアドビはクリエイティブ分野からはじまりましたが、今はデータとコンテンツ、アートとサイエンスを同一プラットフォームで提供する唯一無二の会社となっています。つまり、お客さまを知るためのデータと、お客さまの心を動かすコンテンツの両方を提供し、企業がお客さまとエンゲージメントを築くことを支援しているのです。
―― 企業と顧客がエンゲージメントを築く際のポイントは何ですか
今までは企業が何かを購入するときは、取引のある代理店さんやコンサル会社さん、ベンダーさんに電話をかけたり、営業さんに連絡したりしていましたよね。ですが、今は92%の購入担当者が、まずオンラインで検索することから始めるという調査結果が出ています。
我々が行った調査でも、日本は「コンピュータより人とやり取りしたい」という割合が23%と欧米諸国に比べて極端に低く、コンピュータによる自動化された応答を好む傾向が明らかです。
つまり、日本では、メールやWeb、SNSなどの情報が購入時の意思決定に大きな影響を与えているということです。しかし、デジタルに流れる情報は膨大過ぎて“交通渋滞”が起きがちで、本当に届けたいメッセージを届けることは困難です。“交通渋滞”の中で、お客さまに情報を見つけてもらうには、心を動かすメッセージやクリエイティブが欠かせません。また、必要なタイミングでスッと届けることも重要で、我々はそういったことを含め、顧客体験が最も重要だと考えています。

※出典:消費者のデジタル体験に関する調査結果「Adobe Digital Experience Index 2019」
全世界5000社以上が採用するMAソリューション「Marketo」
―企業と顧客のエンゲージメント築くMarketoについて紹介してもらえますか
Marketoは、… 続きを読む
祖谷 考克(そたに たかよし)
広告会社にてマーケティング領域全般のプロデュース業務に約15年従事。2013年よりアドビに参画、ビジネスコンサルタントとして顧客のデジタルビジネスを推進。2018年、新組織デジタル ストラテジー グループを日本で立ち上げ、経営視点からの中期的なデジタル変革の戦略策定を支援。2019年11月、DXマーケティング&セールスデベロップメント本部 本部長に就任、以降現職
◎情報収集方法
マーケターや顧客、イベントでのコンタクトによる人的ネットワークを重視。フィードを活用して1日数百のポストから必要な情報を拾う。また、気になったら即行動し、直接自分で体験してみる。
◎スキルアップ
常に80%の本気と20%の遊び(余裕)で臨む。どんなタフな状況でも脳のリソースの2割は、次のアクションを起こすために余裕を持たせる。
アドビシステムズ株式会社について |
■ 事業内容 |
ソフトウェアおよび関連サービスの提供 |
■ 設立年月 |
1992年 |
■ 本社所在地 |
東京都品川区大崎 1丁目11番2号 ゲートシティ大崎 イーストタワー |
■ 資本金 |
1億8千万円 |
■ 従業員数 |
約600名 |
■ 業種 |
IT |
■ ホームページ |
https://www.adobe.com/jp/ |