NTTコミュニケーションズ

Bizコンパス

マーケティングの「今」
2019.12.09

デジタルなトレーニングツールを導入し接客力アップ

日本マクドナルド株式会社 コミュニケーション&CR本部 広報部 アドバイザー 蟹谷 賢次 氏

 アプリでお客さまの声を聞き、タブレットでクルーのトレーニングを行うなどDXを顧客満足度につなげる日本マクドナルド。同社のコミュニケーション戦略について広報部蟹谷氏に伺った。

 

カサノバ代表自ら1年かけて47都道府県で顧客との対話を実施

―― 外食産業を取り巻く事業環境の変化について教えてください

「日本フードサービス協会」によると、2018年における外食産業全体の市場規模は25兆7,692億円で、そのうちレストラン業界が約14 兆円を占めています。2019年の日本マクドナルドの全店売上高は5,500億円を計画しておりますが、レストラン業界の約4%、外食産業全体の約2%のシェアしかないわけですから、まだまだ伸びしろはあると考えています。

―― 顧客の変化をキャッチするためにどのような取り組みをされていますか

 2015年に代表取締役会長のサラ・カサノバが発案・実施した「Mom’s Town Meeting」という取り組みを行ないました。カサノバは1年かけて47都道府県の店舗を自ら訪ね、352人のお母さまと直接対話し「マクドナルドに何を求めているのか」をヒアリングしました。

 あるとき、幼いお子さまを持つお母さまから「ハンバーガーを包むラップに記載されている商品情報を読むQRコードが小さすぎてわからない」とのご意見を受けました。このご意見をいただいたカサノバは、お子さまを持つお母さまにとってアレルギーや栄養情報を知ることはとても重要だとすぐに理解し、直ちにラップのデザインを改良してQRコードを目立つ面に大きく印刷するよう指示しました。お客さまの声を直接伺い会社の戦略に反映させたこの取り組みは、弊社のコミュニケーション活動の根幹をなすものといえます。

―― 47都道府県を回ってヒアリングした結果を事業に反映するまでには相当な時間を要しますね

 確かに、このような形でお客さまの声を伺うには多くの時間が必要です。そこでもっとダイレクトにお客さまの声を伺えるよう、2015年にご利用いただいた店舗へのご意見をその場で簡単に投稿できるアンケートアプリ「KODO」を導入しました。2019年6月時点で累計1,400万件以上ものお客さまからお声が届いています。

 いただいたご意見に対して、店舗ですぐに改善のためのアクションを取ることができるのが特徴です。ある店舗ではKODOを通じて「店内が寒い」との声をいただきました。その原因を分析した結果、常に動き回るクルー(アルバイト店員)は店内が暑いと感じていたのですが、客席に座られているお客さまは寒いと感じていたことがわかりました。そこで空調の温度を上げたところ、ご意見をくださったお客さまから「とても快適になりました」とKODOを通じて声が届きました。お客さまの声を受け取ったクルーたちは、その成功体験が仕事のやりがいとなり「もっといいお店をつくりたい」と、高いモチベーションで仕事に臨むようになりました。

 このように、KODOを通じてお客さまとお店がコミュニケーションを取ることで、お客さまの満足度とクルーの意欲が両方高まるという好循環を全国の店舗に広げていきたいと思っています。

 

ゲーミフィケーションを取り入れたトレーニングツールでクルーのレベルアップを実現

―― 顧客の店舗体験を高めるためにどのような取り組みをされていますか

 お客さまに最高の店舗体験をご提供するためにマクドナルドでは「QSC&V」の向上に取り組んでいます。QSCとは、おいしくて温かい商品をご提供する「Quality(品質)」、スピーディーで心地のよい「Service(サービス)」、食事にふさわしい店舗環境である「Cleanliness(清潔さ)」のことで、これらが結びつくと本物の「Value(価値)」が生まれると考えています。

 マクドナルドのビジネスは多くのクルーによって支えられています。QSCの実現には、クルーの接客力の向上が不可欠で、クルー一人ひとりに高いモチベーションを持っていただくことが重要だと考えております。そこで、2017年から「クルー体験会」という新しい取り組みを始めました。これはお店で働く前に仕事の内容、一緒に働くクルー、店内の雰囲気を知っていただくことで、不安を解消いただく体験の場です。この取り組みは非常に評判がよく、今では春と夏に実施しており、2018年には各回に平均1万5,000人が参加する一大イベントに成長し、採用面で大きな成果が出ています。

 当社は2020年までに営業利益および経常利益で年平均10%以上の成長という高い目標を掲げています。その成長スピードを支えるクルーを育成するべく、先回りして採用とトレーニングを強化しているのです。

―― スピーディーかつ効率的にトレーニング効果を上げる必要がありますね

 クルーのトレーニング効率をあげるために、これまで58種類あった紙のマニュアルをひとつにまとめて「デジタルCDP(クルー・ディベロップメント・プログラム)」というアプリを開発しました。このアプリにはたくさんのトレーニング動画や、業務に必要な知識と技術をゲーム感覚で身につけられるプログラムが用意されています。

 たとえば、レジ業務を学ぶプログラムでは、… 続きを読む… 続きを読む

続きを読むには会員登録が必要です

蟹谷 賢次(かにや けんじ) 東京都出身。1981年に入社し、日本マクドナルド1号店である銀座店に配属される。複数の店舗で店長を務め、スーパーバイザーを経験したのち、1993年に社長室広報部に配属、一貫して広報業務に携わる。2007年4月から2019年9月までは部長として広報部を担い、2019年10月からは同部アドバイザーに就任。 ◎情報収集方法 通勤時のネットサーフィン、新聞各紙、週末朝の情報番組 ◎スキルアップ わかったふりをしないこと。新聞記事で理解できなかった用語、資料で訳せなかった英単語などは、必ず調べ直して自分の知識にする。
日本マクドナルド株式会社について
■ 事業内容 ハンバーガー・レストラン・チェーンの経営並びにそれに付帯する一切の事業
■ 設立年月 2002年07月01日(持株会社制移行時に新設)
■ 本社所在地 東京都新宿区西新宿6-5-1 新宿アイランドタワー
■ 資本金 1億円
■ 従業員数 2,208名(2018年12月31日現在)
■ 業種 サービス業
■ ホームページ

http://www.mcdonalds.co.jp/

閲覧ランキング

創業事業を売却し顧客視点へ転換を図る新生ワークス

1

創業事業を売却し顧客視点へ転換を図る新生ワークス

株式会社ワークスアプリケーションズ

デジタルなトレーニングツールを導入し接客力アップ

2

デジタルなトレーニングツールを導入し接客力アップ

日本マクドナルド株式会社

企業と顧客のエンゲージメントを築くCXM(顧客体験管理)

3

企業と顧客のエンゲージメントを築くCXM(顧客体験管理)

アドビシステムズ株式会社

SHARE

関連記事

閲覧ランキング

創業事業を売却し顧客視点へ転換を図る新生ワークス

1

創業事業を売却し顧客視点へ転換を図る新生ワークス

株式会社ワークスアプリケーションズ

デジタルなトレーニングツールを導入し接客力アップ

2

デジタルなトレーニングツールを導入し接客力アップ

日本マクドナルド株式会社

企業と顧客のエンゲージメントを築くCXM(顧客体験管理)

3

企業と顧客のエンゲージメントを築くCXM(顧客体験管理)

アドビシステムズ株式会社