松本 吉正(まつもと よしまさ)
1960年生まれ。1983年に山洋電気入社。海外営業部部長、執行役員、営業本部本部長、常務執行役員を経て、2011年に現任の取締役、2018年に同じく現任の常務執行役員に就任
◎情報収集方法
営業の現場で人と会う。社内の営業本部とマーケティング部から情報を聞く
◎スキルアップ
社内のEラーニングと、年間教育訓練制度を活用して外部研修を受講
クーリングシステム、パワーシステム、サーボシステムで世界市場に存在感を発揮する山洋電気。5G、IoT時代に成長が期待される同社の戦略を常務執行役員の松本氏に伺った。
ロボットや5G通信の時代を迎え、期待が高まる3つの主要事業
―― 御社のビジネスを取り巻く市場環境の変化についてお聞かせください
当社にはクーリングシステム、パワーシステム、サーボシステムという3つの主要事業があり、それぞれ冷却ファン、UPS、サーボモータ・アンプなどを生産しています。
クーリングシステム事業では、新たな通信規格5Gの登場によりマーケットが大きく変化すると予想されています。5Gが実用化されることになるとひとつの基地局でカバーできるエリアが狭まるため、今後は新たな基地局の開設が予想されます。また、既存基地局の交換機や整流器も刷新され、冷却ファンの需要が高まり、多くのビジネスが生まれると見込んでいます。
―― 5G時代に求められるクーリング製品の機能は何ですか
新しい基地局は深い山の中に設置されることも考えられるため、防水性や低消費電力が求められます。山間部での保守作業は大変ですから、当社ではIoTを利用して筐体や冷却ファンの状態を遠隔地から把握し、ファンの回転速度をコントロールする製品も提供しています。
また、5G時代になると自動運転も本格化します。自動運転の車体に搭載される機器は熱を帯びやすいため、ここでも冷却ファンが必要になります。さらに5G時代では、データ通信量が増えるのでデータセンターにサーバーやストレージが増設されますから、やはりクーリング製品の需要が高まるでしょう。
―― クーリングシステム事業は見通しが明るいようですが、そのほかの事業はいかがでしょうか
防災・減災に向けて政府が国土強靭化を打ち出す中、パワーシステム事業は非常時における電力供給のあり方を重視しています。台風15号で千葉県に大規模停電が発生した際には、パワーシステム事業で開発している移動電源車が活躍しました。
また、UPS(無停電電源装置)に関しては,現在,鉛蓄電池の使用が主流になっていますが,当社ではより使用時間が長くサイズもコンパクトなリチウムイオン電池を採用したモデルを開発しました。この装置は,製品寿命が長く、屋外に設置しやすいラインアップもあるため、踏切や信号機、河川の監視カメラなどインフラのバックアップ用にも使用されています。国土強靭化が進む中、こうした新しい市場が生まれています。
話は変わりますが、太陽光発電システムの分野では売電価格の低下により、自宅や自社で発電した電気をそのまま利用したいという自家消費の要望が増えています。発電した電気を変換して蓄電し、商用電力もつないで双方を利用するシステムもパワーシステム事業の新たなマーケットになると考えています。
―― サーボシステム事業の市場はいかがですか
省人化需要が強まる中、ロボットの需要が増えており、製造分野にとどまらず、医療分野でも活躍するようになりました。またIoTやAI化が進むと、半導体需要が増加するため、半導体製造装置も増えてきます。当社のサーボモータは、こうしたロボットや、半導体製造装置に採用されているので、こちらも今後の成長が期待されます。
全拠点をネットワークでつなぎ、リアルタイムな情報で競争を勝ち抜く
―― 世界市場では新興国メーカーとの競争もあると思いますが、競争優位を築くために、どのようなマーケティング戦略を展開されますか… 続きを読む
松本 吉正(まつもと よしまさ)
1960年生まれ。1983年に山洋電気入社。海外営業部部長、執行役員、営業本部本部長、常務執行役員を経て、2011年に現任の取締役、2018年に同じく現任の常務執行役員に就任
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山洋電気株式会社について | |
■ 事業内容 | 冷却ファン、冷却用システム等の開発・製造・販売。無停電電源装置、エンジンジェネレータ等の開発・製造・販売。サーボモータおよび駆動装置コントロールシステム等の開発・製造・販売 |
■ 設立年月 | 1936年12月 |
■ 本社所在地 | 東京都豊島区南大塚3-33-1 |
■ 資本金 | 99億円(2019/3/31時点) |
■ 従業員数 | グループ 3,480名(2019/3/31 時点) |
■ 業種 | 電気機器 |
■ ホームページ |
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