2019.02.04 Mon
事故が起きる前に予防する、保険会社の逆転の発想
万一の事態が起きる前に世界中で蓄積した知見と技術を駆使してリスクヘッジする事業戦略コンセプト「ACTIVE CARE」と、サイバーリスク対策についてAIG損保の阿部氏に伺った。
事後対応という保険のイメージを逆転する事前のリスクヘッジ策
―― サイバーリスクに関する近年の傾向について教えてください
AIG損保は、サイバー攻撃に対するリスクを総合的に補償する「CyberEdge」という商品を、2013年に販売開始しました。当時は、サイバー攻撃という単語を日常的に耳にする機会は多くなかったのですが、この5年で状況は一変しました。その背景には産業構造の変化があります。たとえば、これまで製造業などの業種ではインターネットの活用はそれほど多くありませんでしたが、昨今ではIoTの活用など、ネットワーク化が当たり前になってきています。その結果として、サイバーリスクへの備えが重要なテーマになってきています。
これは日本に限った話ではなく、海外でも同様です。こうした環境下で、お客さまである企業にお伺いすると、サイバーリスク対策における最も大きな課題は「自社のサイバーリスクの評価が難しい」ということでした。
このようなニーズに対して、自分達ができる「ACTIVE CARE」は何かを考えていった結果、グローバルで展開している「サイバーリスク分析・診断サービス」の導入に至りました。「ACTIVE CARE」とは、保険会社の強みである事業リスクに関する情報と知見を活用して、お客さまを取り巻くリスクを未然に防ぐというAIG損保の事業戦略コンセプトです。サイバーリスクに関していえば、新たなリスクが日々増大する中、お客さまの事業環境を調査し、どこにリスクがあるのか可視化し、分かりやすくお伝えすることで、従来のように事故後の保険金支払いだけではなく、そもそも事故が起きない状況つくる後押しができればと考えています。
―― 「ACTIVE CARE」は、商品ではなくコンセプトなのですね
そうです。我々が扱うすべての商品に適用される事業戦略コンセプトです。ときには、それが商品の切り口になったり、リスクコンサルティングになったり、情報提供になったりするわけですが、それらすべてが「ACTIVE CARE」だと捉えています。
―― 「CyberEdge」は、どのような商品ですか
サイバー攻撃等により、情報資産が漏洩してしまった場合の損害賠償金や争訟費用、インシデント対応のためのIT、法務、危機管理広報など各種専門家への費用、ネットワーク中断による遺失利益等を補償する商品です。現行商品はこれらが基本補償となっていますが、サイバーリスクについてはリスクそのものが日々変化していますので、新たなリスクに対して随時アップデートをしていく必要があると考えています。
「CyberEdge」の補償内容
AIGだからできる世界中の知見を活かしたリスク予防策
―― 「ACTIVE CARE」によるコンサルやサービスは、ITベンダーのサービスとバッティングしませんか… 続きを読む
阿部 瑞穂(あべ みずほ)
慶應義塾大学経済学部を卒業後、映画配給会社に入社し、国際部門にて映像コンテンツの調達・国内配給に携わる。2007年に現AIG損害保険株式会社(旧AIU損害保険株式会社)に入社後は、経営保険業務部にて、会社役員賠償責任保険(D&O保険)や、業務過誤賠償責任保険(E&O保険)等、専門性の高い保険商品のアンダーライティング、商品開発等業務に携わる。2013年にはサイバー保険の日本市場導入をリードする。2018年12月より経営保険部の責任者として、AIGグローバルでの知見を活用しながら、リスクコンサルティングを通じたActive Careを推進している。
◎情報収集方法
Webメディア、ラジオ
◎スキルアップ
雑誌や小説など仕事に直接関係ない本を雑食で読み視野を広げる
AIG損害保険株式会社について | |
■ 事業内容 | 損害保険業 |
■ 設立年月 | 1946年 |
■ 本社所在地 | 東京都港区虎ノ門4丁目3番20号 |
■ 資本金 | 137億円 |
■ 業種 | 保険業 |
■ ホームページ |