AI/IoT技術で状況を認識しマーケティング支援やデジタルサイネージによる接客まで行うサービスロボ「ZUKKU(ズック)」を開発したハタプロの伊澤氏に話を伺った。

 

AI/IoT技術をベースに開発されたサービスロボット「ZUKKU」

―― AIを搭載した「ZUKKU」とは、どんなロボットですか

 「ZUKKU」は、ロボティクスというより通信機器の発想で開発したサービスロボットです。コンパクトなサイズの中に、カメラ、マイク、スピーカー、画像認識センサー、加速度センサー、GPS、モバイルバッテリーを搭載し、SIMカードによる通信機能を持っています。開発した目的は、これまで高価だったAI/ロボティクスを安価に提供し、街の日常を進化させることです。

―― 「ZUKKU」は何ができるのですか

 特別な設定をしなくてもスイッチ1つで稼働し、カメラとセンサーを使って「この時間、この場所に何歳ぐらいの男女が何名いて、どういう表情をしていたのか」といった情報をAIが推定し、その情報をクラウドに収集して分析します。収集した情報をもとに、商品の案内や広告をモニターに映し出すデジタルサイネージとしての機能も備えています。

―― 他のサービスロボットとの違いを教えてください

 これまでのサービスロボットは基本的にヒト形で、コストが掛かったり、メンテナンスが大変だったり、収益に結びつかないとのイメージがありますが、「ZUKKU」は本質的なビジネススキームが異なります。

 「ZUKKU」は、バッテリーを内蔵した手乗りサイズで、飲食店のテーブルや小売店の棚に設置しやすく、多少雑に扱っても壊れません。このサイズに機能も価格もギュッと絞られ、クラウド型デジタルサイネージとしての機能を持つサービスロボットは、世の中にほとんどないと思います。

 

流通・小売りの売場支援や東京都庁の観光ガイドとして採用

―― 具体的には、どのような企業がどういう用途で利用しているのでしょうか

 まだ、β版をリリースして数カ月しか経っていませんが、すでに三越伊勢丹さんやPARCOさん、ヨドバシカメラさん、ヤマダ電機グループのツクモ電機さん、オートバックスさん、東京都庁さんが採用してくださいました。ちなみに東京都庁さんは、国産のサービスロボットを公募して5社選定したのですが、ベンチャー規模で選定されたのは、弊社だけです。

 三越伊勢丹ホールディングスさんは、伊勢丹新宿本店に「ZUKKU」を期間限定で設置しました。玩具売場に設置し、カメラで性別や年齢を認識し、男の子向けと女の子向け、それぞれの年代に合わせたお勧めの商品をタブレットに表示して紹介しました。当初2週間の実験を予定していましたが、高いマーケティング効果があったため、今後本格導入を検討するとのことです。

 PARCOさんは、飲食フロアに設置して飲食店の案内をインタラクティブにする実験を行いました。飲食フロアのサイネージの前に置かれた「ZUKKU」が、来店したお客様の属性を認識し、カップル向け、女性客向けなど、おすすめのレストランをデジタルサイネージに流して案内しています。PARCOさんは、ロボット先進活用企業として知られている会社で、ロボットの良いところも悪いところもご存じですが、「ZUKKU」はこれまでのロボットより小型なのでさまざまな場所に設置しやすいと評価してくださいました。

―― 対象者の属性や好みを判断する際、カメラだけではなく会話などのインタラクティブなやり取りをしているのですか

 現状は、目の前に立っている人の年齢、性別を画像認識だけで推定しています。弊社は、リーンスタートアップ的手法で事業に取り組んでいるので、まず画像認証機能のみでβ版を提供していますが、2月には対話機能を実装し、よりパーソナライズされた情報提供ができるようにする予定です。

―― 都庁では、外国人観光客の案内に使うとのことですが、それは「ZUKKU」が国籍まで推測して異なる言語で対話できるということですか

 将来的には、そのような機能を取り込んでいきます。現時点では、家族連れなのか、女性一人なのか、若いカップルなのか、年配の夫婦なのかを判別し、Web上で同じ年代、性別の人がよく行く観光スポットなどをピックアップして情報を提供しています。

 

安価だからできる1店舗に複数台の設置

―― コストはどのくらいかかりますか… 続きを読む

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伊澤 諒太(いざわ りょうた)
2010年に株式会社ハタプロを創業。2012年に台湾へ進出、IoT電子機器製造業を開始。アジアの戦略拠点として台湾政府直轄の工業技術研究院(ITRI)と提携。事業で培った先端テクノロジーのアセットを活かして、製造業者と協業しさまざまな製品の開発に携わる。2016年に日本の通信会社と共同でIoTジョイントベンチャーを開始。2017年に新規事業としてAI搭載の小型パーソナルロボット「ZUKKU」を展開。
◎情報収集方法
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◎スキルアップ
新しい技術はまず使ってみる。話題のスポットには自分の足で行ってみる。

株式会社ハタプロについて
■ 事業内容・ロボット/車載機器/電子機器の企画/開発/販売・ハードウェア受託・ソフトウェア受託・プロダクトデザイン受託・テレビ/展示会等での装飾・IT/モノづくり教育・試作や製造に関するコンサルティング
■ 設立年月2010年11月8日
■ 本社所在地東京都港区赤坂二丁目16-6
■ 従業員数7名
■ 業種製造
■ ホームページ

http://hatapro.co.jp/

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