住宅のショールームに建築予定の住まいを立体的に体験できるVR(バーチャルリアリティ)システムを導入した狙いについて、住友林業 営業推進部の林知明氏が語る。
実寸大の住宅イメージを視覚化するVRシステムを開発
―― 近年の戸建住宅市場の動向を教えてください
戸建て住宅市場は人口減少の影響により縮小傾向にあると言われています。また、これまで主流だった住宅展示場における集客が減少傾向にある一方で、Webでの資料請求が増加する傾向がみられます。
―― 住宅ショールームにVRシステムを導入した理由は何ですか
住宅展示場での集客に加えて、こちらからもお客さまに積極的にアプローチし家づくりを知っていただく必要があると考えたことが大きな背景です。その課題を解決するために、どの世代のお客さまがどこにいるのかをリサーチし、興味を持ってもらう効果的な戦術を打っていく必要があると考えました。リサーチの結果、近年の低金利の影響もあり若い世代の一次取得層が増えていることがわかりました。そこで、デジタルネイティブな若い世代にアピールする手法の1つとしてVRシステムを導入することにしたのです。
―― VRシステムをどのように使うのですか
建築する住宅の設計図をもとにした立体画像をVRで視覚化し、お客さまに完成時の住宅のイメージを体験していただくとともに、図面とお客さまの思い描く住宅のギャップをなくしイメージ通りの住宅を建てることを支援します。
現在、お客さまに体験していただけるVRシステムは2種類あります。1つは、VRゴーグルをかけていただき、360度の視野で実寸大の住宅を体験するシステムです。コントローラーを操作して、バーチャルな家の中を自由に動き回れます。
もう1つは、3Dプロジェクタを使って実寸大の住宅を大型スクリーンに映し出すシステムです。縦・横、約 3 メートルの大きさでイメージを投影し、壁面と床面を継ぎ目なく表示することで、住宅の中に入り込んだかのようなリアルな感覚を体験できます。こちらのシステムは3Dめがねを着用し、お子さまも含めた家族数人で同時に体験できます。
VRシステムを使うメリットは、部屋の広さや奥行き、壁や床の色、キッチンなど設備や間取りの変更、時間帯別の日光の入り方など、お客さまの要望に応じた室内環境をリアルタイムかつ実寸大で確認できることです。
VRのポイントはスケール感
―― VRシステムの開発は、いつ頃から取り組まれていたのですか
1985年にCAD開発を開始し、設計、構造、積算、性能、法規など多方面にわたる住宅に関する技術開発を進めてきました。これまでにもパソコン上に3Dの住宅イメージを表示し、マウス操作で疑似的に室内を閲覧できるシステムはありました。これを発展させ、実際の建物イメージをよりリアルに体感していただくことを目指し、2014年にVRの取り組みをはじめました。
当初は、パソコンのスペックや機材の購入などが思うように進みませんでした。しかし、2016年になると「VR元年」といわれるようになり、ハイスペックな機材が容易に入手可能になるとともに、お客さまの関心が高まり開発が進み、ようやく実用レベルに達しました。
―― 開発にあたって苦労したことは何ですか… 続きを読む
住友林業株式会社について | |
■ 事業内容 | 資源環境事業/木材建材事業/住宅事業/生活サービス/海外事業 |
■ 設立年月 | 1948年2月20日(創業1691年) |
■ 本社所在地 | 東京都千代田区大手町一丁目3番2号 |
■ 資本金 | 27,672百万円 |
■ 従業員数 | 17,802名(連結)2017年3月期 |
■ 業種 | 建設業 |
■ ホームページ |
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