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ニッポンのロングセラー
2017.03.01

未来を思い描くブランド『カロッツェリア』の現在地

カロッツェリア

 人工知能を搭載したハイテクカーに乗った主人公が、さまざまな事件を解決していくテレビドラマ「ナイトライダー」は、1980年代にアメリカで放送され大ヒットしました。ハイテクカーの愛称はキット。自ら言葉を操り、離れていても呼べば自動運転で主人公のもとに駆けつけ、一緒に悪の組織と戦う頼もしい相棒です。「ナイトライダー」が日本でも放送されると、「あんなクルマがあったらいいな」と少年たちを夢中にさせました。

 同じ頃、「『ナイトライダー』のキットのようなクルマをつくりたい」と本気で考えた大人たちがいました。1986(昭和61)年、パイオニアが国内市販向けカーオーディオのブランドとして立ち上げた『carrozzeria(以下、カロッツェリア)』の製品開発プロジェクトチームです。

 「カーナビ」という名もなかった1990(平成2)年、世界で初めて市販向けのGPSカーナビゲーションを発売し、その後も次々と先進技術を投入しながら夢の実現へと歩を進める『カロッツェリア』のわだちを辿ります。

 

星に導かれた『カロッツェリア』の未来

 『カロッツェリア』の歴史は、その前身にあたる「Lonesome Car-boy(以下、ロンサム・カーボーイ)」までさかのぼります。1980年代のパイオニアには「ロンサム・カーボーイ」という市販向けカーオーディオのブランドがありました。同ブランドの製品にオーディオ以外の機能も取り入れ、さらに進化させたものを作ろうと新カテゴリーであるナビゲーションシステムの開発がはじまりました。

 当時の日本は、高度経済成長とともにマイカーが急増。東京では渋滞が深刻な問題となり、混雑する車に阻まれ、消防車が現場にたどりつけないといった事件まで起きていました。その中で、ドライバーが渋滞を回避するために予定と違う道を選んだ際にも、迷うことなく目的地に連れていってくれるナビゲーションシステムが求められるようになり、パイオニアは、そこに商機があると考えました。

 パイオニアがカーナビの開発を進める上で注目したのが、米ソの緊張緩和とともに民生利用が始まったアメリカの衛星測位システム「GPS」です。当時、車体などに取り付けたセンサーから位置を特定するジャイロ技術を応用したカーナビは、既に誕生していました。一方、人工衛星で位置を特定するGPSを利用したカーナビは、大手自動車メーカーなども研究に取り組んでいましたが、まだ市販化されていませんでした。

 というのも、GPSの電波をとらえる受信機の価格は、当時1台200万円もするクルマ本体よりも高額なもので、それを市販向けのカーナビに転用するには、大幅なコストダウンが必要でした。パイオニアはそこにチャンスを見出し、GPSの民生利用を推進するアメリカの企業と合弁会社を立ち上げます。

 同時に、それまで紙だった地図の電子化にも着手。当時、日本の地図業界で2番目の規模を持っていた「北海道地図」と手を組み、日本全国をカバーする電子地図の制作を開始しました。

 

「70万円以上も!?」の壁を乗り越えて… 続きを読む… 続きを読む

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パイオニア株式会社について
■ 事業内容 カーナビゲーション、カーオーディオ/AVシステム/スピーカー、スマートループ、地図ソフト、FA機器、スピーカーデバイス、PC用BDドライブ、セットトップボックス、有機EL照明、医療・健康機器関連、サイクル関連、HVTスピーカー、部品・EMS事業
■ 設立年月 1947(昭和22)年5月8日
■ 本社所在地 〒113-0021 東京都文京区本駒込2-28-8 文京グリーンコート
■ 資本金 917億3,100万円
■ 従業員数 17,046名(連結ベース:2016年3月末)
■ ホームページ

http://pioneer.jp

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