2016.07.06 Wed

変わらないのに新しい、「お茶づけ海苔」の提案

お茶づけ海苔

 ササッとご飯に振りかけ、その上からお湯を注ぐだけで、手軽に飲食店で出されるようなお茶漬けが味わえる、永谷園の「お茶づけ海苔」。誕生から64年経つ今も、永谷園はお茶漬け市場の8割強を占め、長年圧倒的なシェアを維持しています。半世紀を越えて培われて来た技術とノウハウをベースに、いまも新しい楽しみ方を提案し続ける「お茶づけ海苔」、64年間の軌跡を追います。

 

お茶から生まれた「お茶づけ海苔」

 1952(昭和27)年に誕生してから64年、これまで150億食以上を販売し、いまもなお年間2億食以上の販売を誇るロングセラーが、株式会社永谷園の「お茶づけ海苔」です。永谷園は、他のお茶漬けシリーズも加え、お茶漬けだけで240億食以上を売り上げており、これは日本人1人1人が64年間に渡り、年間3食以上永谷園のお茶漬けを食べ続けている計算になります。

 その「お茶づけ海苔」のルーツは、戦前に開発された「海苔茶」にあります。もともと、永谷園の創業家である永谷家は、江戸時代、現在の煎茶の製法を発明した永谷宗七郎を祖とし、代々お茶屋を切り盛りしてきました。

 その9代目にあたる永谷武蔵(たけぞう)は、お茶屋で扱う煎茶を利用し、昆布茶やアイスグリーンティーなど、次々と新しい商品を開発するアイディアマンでした。海苔茶はそうした武蔵の開発商品の1つ。細かく切った海苔に抹茶や食塩などを加えてお湯で溶いて飲む、お吸い物のような食品でした。

 これに改良を加えて、戦後の1952(昭和27)年に「お茶づけ海苔」として発売したのが、10代目の永谷嘉男です。嘉男は戦争から復員後、空襲によって焼けてしまったお茶屋を建て直すために奔走する中で、父の作った海苔茶を利用し、店の看板商品として売り出すことを思いついたのです。

 海苔茶からの改良のポイントは、「お茶づけ海苔」に“あられ”を加えたことでした。永谷家の故郷である京都では、かき餅に少量の塩を加え、お茶をかけた「かき餅茶づけ」を食べる習慣があり、それがヒントとなりました。

 この食感のアクセントとして入れられたあられが、意外な効果も発揮します。当時の包装素材はまだまだ貧弱だったため、海苔が湿気りやすいのが悩みのタネでした。ところが、新しく加えたあられが吸湿剤としての役割も果たしてくれたのです。

 「お茶づけ海苔」のパッケージには、永谷家が一家で好きだった歌舞伎の中で使われる幕をモチーフとした、「赤・黄・黒・緑」の縞模様をデザイン。当初、「お茶づけ海苔」はお茶屋を中心に販売されていたのですが、このカラフルなデザインがお茶屋の店頭で非常に目立ったこともあり、すぐに評判を呼んでデパートでも販売されるようになります。

 販路を拡大し、順調かと思われた「お茶づけ海苔」でしたが、思わぬ落とし穴が待ち受けていました。… 続きを読む

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株式会社永谷園ホールディングスについて
■ 事業内容お茶づけ、ふりかけ、即席みそ汁、その他飲食料品の製造・販売
■ 設立年月1953(昭和28)年4月
■ 本社所在地〒105-8448 東京都港区西新橋2-36-1
■ 資本金35億292百万円(2015年3月末現在)
■ 従業員数1,993名(2015年3月末現在)
■ ホームページ

http://www.nagatanien-hd.co.jp

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