カシオ計算機株式会社の腕時計「G-SHOCK」は、「落としても壊れない時計」をコンセプトに誕生し、1990年代に日本でブームとなりました。しかし、その熱狂が冷めるのも早く、数年後には出荷台数がピーク時の3分の1まで激減します。そのG-SHOCKがここ数年、ピーク時の出荷個数を毎年更新する復活劇を見せています。

 世界を舞台にG-SHOCKがブームとなった理由とは、そして一度落ち込んだ人気を復活させた裏にはどんな秘策があったのか。その謎をひもときます。

 

実用性が高く評価、アメリカで火が付く

 「落としても壊れない時計」をコンセプトにした「G-SHOCK」が誕生したのは、1983(昭和58)年のこと。1980年代当時、腕時計は薄く、衝撃に弱く取り扱いに注意を要する製品が一般的でした。そうした中で、厚みがあって見た目にも頑丈なG-SHOCKは、時計業界の常識と一線を画す異色の存在でした。

 この開発の中心になったのが、カシオのエンジニアである伊部菊雄氏です。ある日、伊部氏は両親からプレゼントされた大事な腕時計を、誤って腕から落とし、バラバラに壊してしまいます。壊れた時計を目にした伊部氏の頭に、「落としても壊れない腕時計」というコンセプトが浮かんだのです。

 1981(昭和56)年に、開発コンセプトとして「落下強度10メートル・防水10気圧・電池寿命10年」という“トリプル10”を掲げ、プロジェクトがスタートしました。伊部氏をはじめ8人が集まった開発チームの名前は「PROJECT TEAM TOUGH」。しかし、タフさを精密機械の腕時計で実現するには、ひと筋縄ではいかないことばかりでした。

 開発段階でまだプロジェクトが秘密裏に進んでいた当初、伊部氏は試作品を作っては会社の3階にあったトイレに向かい、こっそりとその窓から落として強度を検証することが日課となっていました。落下させては「ああ、また壊れている!」と失敗を繰り返し、作った試作品の数は300個を超えたといいます。「衝撃吸収用にゴムを付ければいい」と考え、10メートルからの落下に耐えられるようにゴムを付けていったところ、大きさがソフトボールほどまでになり断念したこともありました。

 そんないくつかの試行錯誤の末にたどり着いたのが、… 続きを読む

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カシオ計算機株式会社について
■ 事業内容デジタルカメラ、時計、電卓、電子辞書、電子楽器、電子文具等の開発・営業
■ 設立年月1957(昭和32)年6月1日
■ 本社所在地〒151-8543 東京都渋谷区本町1-6-2
■ 資本金48,592百万円
■ 従業員数2,677名(単体)
■ ホームページ

http://casio.jp

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