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ニッポンのロングセラー
2015.12.16

病院から家、そして世界へ!広がる「減塩しょうゆ」

減塩しょうゆ

 誕生から今年でちょうど50年をむかえたキッコーマンの減塩しょうゆ。東京大学医学部の要請を受け、病院向けに開発された減塩しょうゆは、健康志向の高まりとともに一般家庭にも浸透しています。

 半世紀にわたり日本人の健康を支えてきたロングセラーの秘密に迫ります。

 

東大医学部の依頼から始まった減塩しょうゆの歴史

 キッコーマンの「減塩しょうゆ」が誕生したのは、1965(昭和40)年のことでした。1950年代後半に東京大学医学部から「塩分の少ないしょうゆを開発してほしい」という依頼があったのがきっかけです。当時日本では高血圧症や循環器疾患の患者数が増え始めており、塩分摂取量を制限されている患者のために、東京大学医学部は開発を依頼したのです。それまでも「薬用しょうゆ」と呼ばれるものが薬局などで販売されていたのですが、塩分と一緒にしょうゆのうま味や香りも失われていたため、”おいしさ”にはほど遠いものばかりだったという事情もあります。

 現在減塩しょうゆと表示できるのは、しょうゆ100g中、食塩量9g以下のものと食品表示法で定められています。通常のこいくちしょうゆは100g中約17.5gの塩分が含まれていますので、これを約半分に減らすことで減塩しょうゆがつくられています。

 最初キッコーマンは、しょうゆを出汁で薄めて塩分を減らす製造方法を考えます。しかし、これでは煮炊きに使うとしょうゆ独特のうま味や風味が失われることがわかり、試行錯誤の末に「脱塩方式」の製造方法にたどり着きました。「脱塩方式」とは、海水から食塩を製造するイオン交換樹脂膜を応用して塩分を取り除く方法です。簡単に説明すると、通常のこいくちしょうゆを濾して塩分だけを抜き取る製法のこと。これによりしょうゆ本来の風味や香りをそこなわずに減塩したしょうゆを完成させることができました。ちなみに、この製法は発売以来変わっていません。

 当初、薬事法の関係で「保健しょうゆ」という名称で販売されていた減塩しょうゆは、東京大学医学部付属病院に納入されて以降、慶応義塾大学病院など全国各地の病院へと納入先を一気に広げ、塩分摂取量制限のための味気ない食事に苦しんでいた多くの患者さんに喜ばれたといいます。なお、発売から2年後の1967(昭和42)年に、保健しょうゆは「減塩しょうゆ」へと改称されました。

 

“病院”から一般家庭へ徐々に広がる活躍の場

 ところで、1日の塩分の目標摂取量はどのくらいなのでしょうか。厚生労働省が国民の健康保持・増進を目的として5年ごとに改定する「日本人の食事摂取基準」では、これまでは18歳以上の男性で1日9g未満、同じく18歳以上の女性で1日7.5g未満と定められていました。

 しかし2015(平成27)年に、その中で定められている塩分の目標摂取量が引き下げられ、18歳以上の男性が… 続きを読む… 続きを読む

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キッコーマン株式会社について
■ 事業内容 しょうゆ、しょうゆ関連調味料、食品、酒類、飲料などの製造及び販売
■ 設立年月 1917(大正6)年12月7日
■ 本社所在地 〈野田本社〉〒278-8601 千葉県野田市野田250、〈東京本社〉〒105-8428 東京都港区西新橋2-1-1
■ 資本金 11,599百万円
■ 従業員数 5,912名(2015年3月31日現在)
■ ホームページ

http://www.kikkoman.co.jp/

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