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ニッポンのロングセラー
2015.06.03

“緑茶戦争”を生き抜いたお茶は世界を目指す

お~いお茶

 1989年の発売以来、現在までトップシェアを維持し、常に緑茶飲料の世界でイノベーションを起こしてきた「お~いお茶」。コンビニの棚に所狭しと並ぶお茶の中から、なぜ人は「お~いお茶」に手を伸ばすのでしょうか!? 今回は日本人には欠かせないお茶のロングセラーに迫ります。

 

激烈な“緑茶戦争”を生き抜くロングセラー

 世界で初めて缶入りの緑茶飲料を発売してから、今年で30年。「お~いお茶」のブランド名で知られる伊藤園は、その間ずっとシェアナンバー1を維持(伊藤園調べ)して、緑茶飲料のパイオニアとして市場を切り拓いてきました。現在日本の緑茶飲料の市場規模は4,000億円余りと言われています。伊藤園は2013(平成25)年実績でそのうちの1,413億円を売り上げ、35%のシェアを占めています。

 緑茶飲料の市場が一気に膨らんだのは、他のメーカーがペットボトル入りの緑茶販売に力を入れ始めた、つい最近のことです。2000(平成12)年には2,000億円ちょっとしかなかった緑茶飲料の市場は、4年後の2004(平成16)年にはその倍の4,000億円を突破。一気に市場が拡大し、現在に至るまでメーカーは激しい“緑茶戦争”を繰り返してきました。

 現在は健康志向から注目が集まる「トクホ」(特定保健用食品)を巡って各メーカーが競い、“第6次緑茶戦争”と呼ばれる戦いの真っ最中です。伊藤園の「お~いお茶」は、この間もシェアトップの地位を一度も譲ることなくロングセラーの道を歩んできました。

 伊藤園の前身は茶葉を販売していた「フロンティア製茶株式会社」(昭和41年設立)という会社です。量り売りが主流だった当時の茶葉販売に、いまでは当たり前となったパッケージ(包装)した茶葉を初めて登場させたのが、この会社でした。1968(昭和43)年に業界トップの売上げを記録した同社は翌年称号を「伊藤園」に変更。順調に成長します。

 しかし、1970年代に入ると缶入りのコーヒーや炭酸飲料の隆盛で若年層を中心に“お茶離れ”が急速に進み、茶葉市場は一気に落ち込み始めました。食の西洋化も進む中、「和」の文化であるお茶を絶やしてはいけないという使命感もあり、伊藤園はアウトドアでも飲める緑茶の飲料化を10年以上に渡って研究しました。そして1985(昭和60)年、ついに誕生したのが、世界初の緑茶飲料である「缶入り煎茶」です。

 1989年にはブランド名を「缶入り煎茶」から「お~いお茶」に変更。以降、飲料と茶葉(リーフ)、2つの分野で多くの商品を世に送り出してきました。現在その商品数は飲料と茶葉合わせて70種類以上。毎年、新たな商品を7~10種類投入して、「緑茶飲料と言えば『お~いお茶』」と言われるほど、そのブランド名を高めてきました。

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『缶入り煎茶』から「お~いお茶」への改名

 世界初の缶入り緑茶である「缶入り煎茶」は、煎茶という言葉がわかりにくいことから、発売から4年目の1989(平成元)年に「お~いお茶」というブランド名に“改名”され、より親しまれるようになりました。このユニークな名前は、1970年代から茶葉商品のテレビCMで使っていたフレーズ。新国劇の名優だった島田正吾さんが「お~いお茶!」とおっとりした口調での呼びかけを商品名として採用したものです。

 “改名”の際には「緑茶」が一番耳慣れているという調査結果もあり、商品名として採用したらという意見もありましたが、当時は「緑茶はタダで飲めるもの」というイメージが強いこともあって、結局はこの名前に落ち着いたそうです。お茶をひと口飲んだ時にホッと安心することにも通じる、このホンワカとした呼び名があってこそ、「お~いお茶」は長く人々に愛され続けているのかもしれません。

 

緑茶飲料を常にリードしたイノベーター

 世界初の缶入り緑茶開発で最大の障害になったのは、酸化をどう防ぐかということでした。緑茶を缶に詰めようとすると、上部にあるわずかなスペースに残った酸素と緑茶に含まれるカテキンなどが反応して、お茶が褐色に濁り、香りを損なう原因になっていました。伊藤園は缶に蓋をする直前に窒素を吹きかけ、この酸素をうまく取り除く技術を独自に開発。この「T-N(ティー・ナチュラル)ブロー製法」が現在に至るまで、「お~いお茶」の品質を支える根幹の技術となっています。

 一方で、緑茶飲料に最適な茶葉のブレンドと、それを何度の温度でどれくらいの時間抽出すればおいしいお茶を生み出せるかという研究も根気よく続けられていました。… 続きを読む… 続きを読む

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株式会社伊藤園(ITO EN, LTD.)について
■ 事業内容 清涼飲料(緑茶・烏龍茶・紅茶・野菜・果実・コーヒー・その他)の製造・販売、緑茶の製造・販売、烏龍茶および紅茶の輸入・販売、健康食品の製造・販売
■ 設立年月 1966(昭和41)年8月22日
■ 本社所在地 東京都渋谷区本町3−47−10
■ 資本金 1,199億1,230万円
■ 従業員数 5,339名(2014年4月30日現在)
■ ホームページ

https://www.itoen.co.jp

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