日本人の国民食と言えばカレー。そのカレーの中でも、お母さんのカレーに次いで頭に浮かぶのが、大塚食品の「ボンカレー」という方も結構多いのではないでしょうか。「3分待つだけでおいしいカレーが食べられる」。その魔法のようなレトルトカレーの登場からもうすぐ半世紀。その間大塚食品はレトルト食品のパイオニアとして、業界に先駆け常に新しい「ボンカレー」を市場に送り出してきました。今回は、身近なロングセラー「ボンカレー」の物語をお送りします。

 

時代が要請したボンカレーの誕生

 お湯や電子レンジで温めるだけですぐ食べられるレトルト食品。単身世帯が増え、家族がいても一緒に食卓を囲む機会が減って“個食化”に拍車がかかる日本でいまや欠かせない商品となっています。日本人の食生活を大きく変えるきっかけとなったのが、1968(昭和43)年にレトルト食品として世界で初めて市販された大塚食品のボンカレーです。その後続々と発売されたレトルト食品の種類は、現在500種以上までふくらみ、年間の生産量は30万トンを超えています(日本缶詰びん詰レトルト食品協会調べ)。実はいまもその生産量の約半分を占め、圧倒的な人気を誇っているのが、元祖レトルト商品であるボンカレーが切り開いたレトルトカレーの数々です。

 誕生からもうすぐ半世紀を刻むボンカレーのロングセラー物語は、1964(昭和39)年に大塚グループがカレー粉やルーなどを製造販売していた会社に資本参加し、大塚食品(当時は大塚食品工業)としてスタートしたことから始まります。開発をリードしたのは、2014年11月に亡くなるまで国内外の約170社にも及ぶ大塚グループの総帥として活躍した大塚明彦氏(前大塚ホールディングス会長)でした。大塚氏はボンカレーを手始めに、数々のヒット商品を自らの発案で世に送り出した、アイデアマンとして知られています。

 その大塚氏がたまたま目にしたのが、米国のパッケージ専門誌に掲載されていた軍隊が缶詰に代わる軍用携帯食として、軽くて保存のきくソーセージを真空パックした記事でした。「この技術を応用すれば、お湯で温めるだけで食べられるカレーができるのでは」と考え、開発が進められ1968(昭和43)年、世界初の市販用レトルト食品ボンカレーが誕生しました(阪神地区のみ限定発売)。

 ボンカレーの誕生に時代も味方しました。ボンカレーが発売される昭和40年代半ばころから核家族化が始まり、「(1)一人前入りで、(2)お湯で温めるだけで食べられて、(3)誰でも失敗しないカレー」という3つのコンセプトで開発したボンカレーは、まさに時代の要請に応えた商品だったのです。

 発売の翌年1969(昭和44)年には、アルミ製のパウチへと進化し、賞味期限も2年になり、全国発売となりました。

 

世界初の市販用レトルト食品の開発には難問が山積み

 レトルト食品とは「レトルトパウチ食品」の略で、一般的には袋状のもの(パウチ)に食品を詰め、それを加圧加熱殺菌(レトルト)したもののことです。元々は1950年代に米国で研究が開始され、その後アポロ計画で宇宙食に採用されたことで広く知られるようになりました。

 しかし、市販された商品としてはボンカレーが世界で初めてです。当然のことながらその開発には未知の難問が山積みでした。

 まず開発チームの頭を悩ませたのが、… 続きを読む

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大塚食品株式会社について
■ 事業内容食品・飲料の製造・販売、及び輸入販売
■ 設立年月1955年(昭和30年)5月19日
■ 本社所在地大阪府大阪市中央区大手通3−2−27
■ 資本金10億円
■ 従業員数546名(2014年12月31日現在)
■ ホームページ

http://www.otsukafoods.co.jp

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