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リーダーに聞く
2020.09.28

アプリを活用し“捨てるは善”を変革する社会起業家

みなとく株式会社 代表取締役社長 沖杉大地氏 氏

 まだ食べられるのに廃棄される「食品ロス」は、日本だけで年間推計約612万トン(※1)、世界で約13億トンにのぼり、人間のために生産された食料の3分の1が廃棄されている(※2)。この憂慮すべき事態をテクノロジーの力で解決するべく奮闘しているのが、沖杉大地氏が立ち上げたみなとく株式会社である。学生時代に世界の実情を見聞し、旅行会社エイチ・アイ・エスの創業者であり実業家の澤田秀雄氏の薫陶を受けた沖杉氏が、サービス開始からわずか1年で食品ロス販売数が9万食を超えるビジネスを実現した背景には、挫折と失敗からの学びと、世界を変えたいという高い志があった。

(※1)出典:平成28年度推計(農林水産省・環境省)
(※2)出典:国連食糧農業機関(FAO)「世界の食料ロスと食料廃棄(2011年)」

 

アフリカで出会った少女の笑顔が社会課題と向き合うきっかけ

 学生時代、目的もなく世界を旅していた沖杉は、アフリカで「Give me Money」と声を上げて駆け寄る子どもたちと出会う。いつもはポケットに入っているお金を渡していたが、そのときはお金の持ち合わせがなく、たまたま持っていたクッキーを渡すと、その少女は目をキラキラさせて「いいの?」と尋ね、食べた瞬間笑顔を輝かせた。その様子を見た周りの子供たちも、沖杉にクッキーをねだり満面の笑顔で食べはじめた。

 「お金を渡してもThank youと言って走り去るだけなのに、クッキーをあげたときは、本当に心からの笑顔を見せてくれ、そのとき自分の中に何かグッとくるものがありました。食べるものがないとは、いったいどういうことなのか、真剣に考えるようになったのは、それからです」

 大学卒業後、世界を見聞した経験を生かすべくエイチ・アイ・エスに入社。2015年に澤田秀雄会長が、未来の日本を背負って立つ経営者・政治家を育てることを目指して設立した「澤田経営道場」に1期生として参加する。澤田会長の薫陶を受けながらの座学を1年間重ねた後、ハウステンボス内の寮に住み込みながらの実習が行われ、沖杉は園内の土産物屋で半年間、店舗経営を任された。

 「店舗で働くベテランのパートの方々に、『座学で学んだ戦略によれば、こう陳列すれば売れる』と偉そうに理論を振り回し、その挙句売れなかったわけですから、呆れられるのも当然です。僕が『なぜ売れないんだ』と悩む姿を見せれば見せるほど人心は離れ、売上げが落ち込みました。どん底でもがいていたとき、『経営者は嘘でもいいから明るく元気に』という澤田会長の言葉を思い出し、藁にもすがる思いでスタッフに明るく接するようにしたところ、売上げが上向き前年度を超えるようになりました。志を前に置き、リーダーが突き進む姿を見せれば、周りは付いてくることを、理屈ではなく体で学びました」と振り返る。

 

農家・消費者のためとお題目を掲げつつ、実利に走り事業が頓挫

 実習で長崎の農家を回った際、曲がったキュウリやなどの規格外野菜が廃棄されている実情を目にし、以前から考えていた食品ロス問題とリンクした。これぞ自分がやるべき仕事だと目覚め、道場を卒業した2017年に同期生を誘って、みなとく株式会社を立ち上げ規格外野菜の販売に着手した。

 規格外野菜を消費者へ直接安価に販売すれば、生産者にも消費者にも喜ばれ、食品ロス削減につながると意気込んで事業に取り組んだが、ある日、取引先の農家から呼び出しを受ける。… 続きを読む… 続きを読む

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沖杉 大地(おきすぎ だいち)
2012年、学生時代にバックパッカーで世界一周の旅をする道中で海外と日本の食の不均衡に疑問を持つ。2007年、大学卒業後、株式会社エイチ・アイ・エスに入社。2015年に澤田経営道場に参加。道場終了後の2017年にエイチ・アイ・エスを退職し、みなとく株式会社を設立、代表取締役社長に就任。規格外野菜ビジネスを手掛けた後、2019年2月に販売期限切れ商品を扱う小売店と消費者をマッチングする「No Food Loss」アプリをリリース。

みなとく株式会社について
■ 設立年月 2017年4月3日
■ 本社所在地 東京都港区虎ノ門4-1-1神谷町トラストタワー5F エイチ・アイ・エス内
■ 資本金 4,200千円
■ 業種 情報通信業
■ ホームページ

https://www.nofoodloss.com/

※本記事は2020年9月時点の情報に基づき作成されています。

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