Bizコンパス

リーダーに聞く
2019.10.21

宇宙ベンチャーが「画像」ビジネスを始めた理由とは

株式会社アクセルスペース 代表取締役CEO 中村 友哉 氏

「宇宙ベンチャー」と呼ばれる企業が、世界中で次々と誕生している。

 従来の宇宙プロジェクトといえば、NASA(アメリカ航空宇宙局)やJAXA(宇宙航空研究開発機構)のように、国の機関が主導して進めるものだった。しかし最近では、技術の発達により、ロケットや人工衛星などを用いてビジネスをする企業が、世界中で登場している。

 日本における代表的な宇宙ベンチャーの一つが、株式会社アクセルスペースだ。同社は東京大学・東京工業大学で生まれた超小型衛星技術を原点とするベンチャー企業として、代表取締役CEO の中村友哉氏が2008年8月に設立。超小型の人工衛星を低コスト・短期で開発し、設計・製造から打ち上げ・運用までワンストップで引き受けられる点を強みとしている。

 実はBizコンパスでは、2013年にも中村氏に話を聞いている(前回取材時の記事)。当時はまだ小型衛星を打ち上げたことすらなかった同社だが、無事に打ち上げられたのだろうか? 宇宙ベンチャーの第一人者である中村が歩んだ、2013年以降のストーリーを聞いてみた。

 

人工衛星は何本も上がっていた

 先程も触れた通り、2013年に掲載した時点のアクセルスペースは、まだ「超小型人工衛星を2013年中に打ち上げする予定」という段階だった。しかし同年、予定通りに、気象情報会社であるウェザーニュースから受託した自社開発の超小型衛星の打ち上げに成功している。

 そして翌2014年には、東京大学を中心とする産学連携プロジェクトの一環として開発に携わった超小型人工衛星「ほどよし1号機」も打ち上げられている。

 ほどよし1号機は、地球観測(リモートセンシング)を目的とした、1辺約50cmの立方体形状の人工衛星である。人工衛星としては小型ではあるが、アクセルスペースが開発した衛星としては、これまでで最も大きい。

「もともと学生の実験から始まったプロジェクトですので、世間的には実用的ではないというイメージを持たれがちでした。しかし、我々は、たった60kgぐらいしかない超小型衛星であっても十分に役に立つのだということを実証したかった。そのために技術を磨いてきたという自負があります」

 2017年には、ウェザーニュース社の超小型衛星2号機も開発。この衛星は、ベースとなったほどよし1号機と同じサイズだが、いくつかの実験的なミッションを担っている。

「2号機は、曇天の多い北極海において、GPSの電波の反射状況を分析する役割を担っています。地上と海上の状況を、天候にかかわらず把握できる新しいセンサーとして実験をしています」

 これらの実績が認められ、いよいよ我が国おける宇宙利用事業の総本山であるJAXAからも声がかかり、小型実証衛星1号機の開発を受託。日本の宇宙開発史上、ベンチャー企業がJAXAから衛星を受注したのはこれが初となる。

 この小型実証衛星1号機には、国内の民間企業や大学、研究機関が開発した衛星搭載用コンポーネントが搭載されている。2019年1月18日午前9:50、鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所よりイプシロンロケット4号機にて打ち上げられ、現在では定常運用を続けている。今後は、衛生に搭載されている7つの実証テーマの実験を順次進めていく予定となっている。

「当社では、この衛星の設計開発、製造および打ち上げ後の運用までを担当しています。ここまで任せてもらえたのも、これまでの実績を認め、信頼してもらえた結果であると誇りに思っています。

 小型実証衛星1号機の本体重量は200kgと、アクセルスペースが手掛けてきた人工衛星の中では規格外の大きさで、それだけに苦労も多かったですが、この経験は我々にとって大きな資産となりました。特に国の機関であるJAXAと我々ベンチャーの開発手法の違いを学べたことは、ぜひ今後に活かしていきたいと思っています」

 

衛星開発だけでは、宇宙は“普通の場所”にはならない

 このように人工衛星の開発を進めているアクセルスペースだが、これとは別に、「画像」を用いた新たなビジネスもスタートさせている。… 続きを読む… 続きを読む

続きを読むには会員登録が必要です

中村 友哉(ナカムラ ユウヤ)
1979年、三重県生まれ。東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻博士課程修了。在学中、超小型衛星XI-IV、XI-V、PRISMの開発に携わる。卒業後、同専攻での特任研究員(大学発ベンチャー創成事業)を経て、2008年にアクセルスペースを設立。

株式会社アクセルスペースについて
■ 事業内容 超小型衛星等を活用したソリューションの提案、超小型衛星及び関連コンポーネントの設計及び製造、超小型衛星の打ち上げアレンジメント及び運用支援・受託、超小型衛星が取得したデータに関する事業
■ 設立年月 2008年8月
■ 本社所在地 東京都中央区日本橋本町三丁目3番3号 Clipニホンバシビル2階・3階
■ 資本金 45億3686万円(資本準備金を含む)
■ ホームページ

https://www.axelspace.com/

閲覧ランキング

宇宙ベンチャーが「画像」ビジネスを始めた理由とは

1

宇宙ベンチャーが「画像」ビジネスを始めた理由とは

株式会社アクセルスペース

デザイン思考でネット証券を変革する異端の経営者

2

デザイン思考でネット証券を変革する異端の経営者

カブドットコム証券株式会社

富士そば創業者・丹道夫が従業員を大事にする理由とは

3

富士そば創業者・丹道夫が従業員を大事にする理由とは

ダイタンホールディングス株式会社(名代 富士そば)

ナイアンティック日本法人社長が語る、ポケモンGOの狙い

5

ナイアンティック日本法人社長が語る、ポケモンGOの狙い

株式会社ナイアンティック

SHARE

関連記事

閲覧ランキング

宇宙ベンチャーが「画像」ビジネスを始めた理由とは

1

宇宙ベンチャーが「画像」ビジネスを始めた理由とは

株式会社アクセルスペース

デザイン思考でネット証券を変革する異端の経営者

2

デザイン思考でネット証券を変革する異端の経営者

カブドットコム証券株式会社

富士そば創業者・丹道夫が従業員を大事にする理由とは

3

富士そば創業者・丹道夫が従業員を大事にする理由とは

ダイタンホールディングス株式会社(名代 富士そば)

ナイアンティック日本法人社長が語る、ポケモンGOの狙い

5

ナイアンティック日本法人社長が語る、ポケモンGOの狙い

株式会社ナイアンティック