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リーダーに聞く
2019.05.28

自動で衣類を畳む「IoTタンス」は、時短だけでなく夫婦喧嘩防止に効果あり

株式会社ASTINA 代表取締役 儀間 匠 氏

 2018年10月、幕張メッセで開催されたIT技術とエレクトロニクスの見本市「CEATEC JAPAN 2018」にて、家具でもあり、家電でもあり、ロボットでもある不思議な製品に注目が集まった。自動で衣類を収納する、IoTを搭載したタンス「INDONE」(インダン)だ。

 INDONEのコンセプトは、家事の負担を減らし、家族の笑顔を増やす「新しい家具」。本体に設置されたカゴに、乾燥済みの衣類を入れるだけで、衣類を自動で畳み、仕分けながら、本体内に収納する機能を備えたタンスだ。同イベントで公開されたINDONEはあくまでもプロトタイプであるが、そのコンセプトは話題を呼び、発売前にも関わらず、多くのメディアで取り上げられた。

 しかし、INDONEを開発した株式会社ASTINAは、家具メーカーでも家電メーカーでもなく、2017年に誕生したばかりの、ロボット・IoTデバイスの設計・開発・コンサルティング企業である。

 なぜそのようなベンチャー企業が、「衣類を自動で収納するIoTタンス」という独特な製品を作ろうとしたのだろうか。同社創業者であり代表取締役を務める儀間匠に話を聞いたところ、その背景には、彼が幼い頃から積み重ねてきた「日常サイズのものづくり」に対するこだわりがあった。

 

ミニ四駆もサンダーバードもバイクも大好きなものづくり少年

 儀間が生まれ育った大阪府堺市は、商人の町であるとともに、ものづくりが盛んな町でもある。そんな土地柄もあってか、儀間自身も物心ついた頃には自然とものづくりが好きになっていた。共稼ぎ、かつ一人っ子という家庭環境もあり、就学前にはダンボールを切ったり、折り紙を折ったりして遊ぶことが多かった。

 小学校に上がると、子どもたちの間でミニ四駆ブームが到来。儀間はマシンの組み立てやチューンナップ、そしてレースに夢中になる。さらに、ラジコンカーやプラモデル全般にものめり込んでいき、小学校高学年には、1960年代に流行したSF特撮人形劇「サンダーバード」の世界を模した巨大なジオラマを、一年をかけて制作したりもした。

「サンダーバードという作品は、私よりもかなり上の世代の方のほうが馴染み深いでしょう。私は地元のテレビ局が再放送していたのを観ていました。いつも通うおもちゃ屋さんに大きく目立ったサンダーバードのジオラマの箱があったので、見かける度に“大作”にチャレンジしてみたいという思いが強まっていって、いつしか購入していました」

 中学に上がる直前にはパソコンにもハマり出した。日本におけるインターネット黎明期も後半に差し掛かっていた時期で、回線料金の安い「テレホタイム」で毎晩のようにネットサーフィンを楽しんだ。それに加えて、パソコンのハードウェア自体にも興味を持ち、ミニ四駆の時と同様に、本体を分解していじったり、パーツを追加して楽しんだ。

 実は儀間にはスポーツ少年の側面もあり、小学校から高校まで、卓球のクラブチームに所属し続けた。しかし、高校の頃にバイクが好きになると、以降はものづくりの世界に完全に没頭することになる。

「バイクに触れるようになって、改めて機械の面白さに気付かされました。地元のバイク部品工場でアルバイトもしました」

 高校卒業後の進路もものづくりだった。兵庫県尼崎市にある産業技術短期大学に進学し、機械工学を専攻する。同校は鉄鋼業界の調査・研究を目的とした「一般社団法人日本鉄鋼連盟」が設立した大学であることから、“鉄”に関する教育には特に力を入れていた。同校で優秀な成績を収めた儀間は、2011年、大手鉄鋼メーカーの新日本製鐵へ就職する。

 

オタク業界を騒がせたあのIoT機器は難産だった

 新日本製鐵に入社すると、儀間は生産設備の設計・改良の業務に従事する。広範囲でいえばものづくりの世界ではあるが、これまで儀間が趣味で触れてきた世界とは全く異なり、そのスケールは大きかった。

「部品1つ1つをレッカー車やクレーン車などで運ばねばならないなど、とにかくダイナミックなものづくりでした。新日本製鐵は教育体制がとても充実していたので、私自身もスケールアップさせてもらえたなと感謝しています」

 しかし、新日本製鐵で壮大なスケールのものづくりに携わったことで、儀間は自分が本当にやりたいことが何であるかに気づく。それは、… 続きを読む… 続きを読む

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儀間 匠(ぎま たくみ)
1988年生まれ。大阪府出身。新日本製鐵(株)にて設備設計・改良業務に携わった後、Gatebox(株)に創業メンバーとして参画。ハード部門責任者として開発・量産管理を担当。特許技術3件を発明。2017年3月(株)ASTINAを創業。主にIoT/ロボット製品の開発・コンサル事業を請負い、顧客は大手メーカー、スタートアップ等多岐に渡る。"ふだん使いのロボティクス"を掲げ、自動で優しく衣類を折り畳むタンス「INDONE」を開発中。

株式会社ASTINAについて
■ 事業内容 製品開発のコンサルティング・デザイン・設計・試作
■ 設立年月 2017年3月27日
■ 本社所在地 東京都千代田区外神田2丁目13-4千代田ビル3F
■ 資本金 18,500,000円
■ 従業員数 6名(うち正社員5名)
■ 業種 製造業
■ ホームページ

https://www.astina.co/

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