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リーダーに聞く
2019.03.11

ロボアドバイザー「THEO」を支える元証券マンの分析力

株式会社お金のデザイン 代表取締役社長CEO 中村 仁 氏

なぜTHEOは、素人でもプロでも資産運用できるのか

 2016年、日本初・独自開発の“資産運用ロボアドバイザー”として誕生した「THEO(テオ)」が、今年2月で3周年を迎えた。

 THEOは、株式会社お金のデザインが開発した、AIを活用した投資一任運用サービスである。ユーザーの年齢や収入などを参考に、世界のETF(上場投資信託)から、ロボアドバイザーが最大約30種類のETFを組み合わせ最適なポートフォリオ(投資資産の組み合わせ)を提案し、自動で運用する。

 特筆すべきは、そのハードルの低さだ。マイナンバーと本人確認書類さえあれば、口座開設の申し込みは約3分、オンラインで完了する。さらに、たとえ投資が未経験の人でも、資産運用が容易にスタートできるよう、最小投資額はわずか「1万円」から始められる。運用者数は68,000人にのぼり、うち約半数が投資未経験者という(2019年2月28日現在)。

 代表取締役社長CEOの中村仁(なかむら じん)は、THEOのメリットについて、「プロが行っている資産形成の手法を、素人でも簡単に実現できる」点にあるとしている。

「THEOのユーザーの半数は、これまでに資産運用の経験がなかった方々ですが、それ以外にも、私たちは機関投資家向けのチャネルも持っており、プロの投資家の方々の金もお預かりしています。THEOには“資産の成長”や“リスクヘッジ”といった、ユーザーが本質的に求めている目的や機能を、自動的に導き出す運用手法を取り入れています。そのため、プロでもアマでも、どちらに対しても最適な資産運用が提案できます」

 中村がお金のデザインに入社したのは、THEOがスタートした2016年のこと。それ以前は、エリート証券マンとして順風満帆な生活を送っていた。なぜ中村は、証券マンの肩書を捨て、新興のフィンテック企業に転職したのか。そして、THEOをはじめとするフィンテックサービスを通じて、何を成し遂げようとしているのだろうか。

 

早々にサッカー選手としての限界を知る

 1981年にこの世に生を受けた中村は、転勤族だった父親の都合で、関東、関西、海外に移り住む暮らしを送った。ただ、場所は変われど、一貫してサッカーに打ち込み続けた。

「3歳から9歳まで過ごしたベルギーでは、外国人向けの学校ではなく、現地の学校に通っていたので、地元の子ども達と一緒にサッカーの練習や試合をしていました。サッカーを通じて現地に溶け込めたので、フランス語も英語も話せるようになったのはよかったですね」

 高校は全国高校サッカー選手権の常連校である関西の学校に進学し、そこでも当然のようにサッカー部に所属。プロサッカー選手を目指しつつ、生徒会長や文化祭実行委員長も務めるなど、学校の中心人物として活躍した。

 しかしながら、毎年数多くのサッカー推薦で入学してくる先輩・同期・後輩の実力は高く、さらに高校からプロに進む仲間を見て、自分がプロサッカー選手になるには極めて厳しい状況だと知る。

 アスリートとしての限界を知った中村は、将来の夢をプロサッカー選手からジャーナリストに変更し、関西大学でマスメディアについて学ぶ。

 大学3年時には休学して、ボストンに留学。昼間は語学、そして夜間はMBAコースで経営学を学んだ。やがて、ジャーナリストとしてではなく、起業家として活躍することを思い描くようになる。

「授業だけで一日のほとんどを占める多忙なスケジュールでしたが、家に帰ってからも貪るように経営学の本を読み漁りました」

 

結果よりも、プロセスを調べれば成果は残せる

 大学卒業後は、起業を見据え、ベンチャー企業への就職を考えていた。しかし、大手企業に身を置いてみるのもアリかと思い、就職ランキングの最上位から試験を受けていった。結果、ほとんどの企業から内定を得る。錚々たる企業の中から、中村は野村證券への就職を決断する。

「面接時に、“自分はこんなことをやりたいんだ”と少々生意気に主張していたのですが、それに対して、どこの企業も『一緒にやってみよう』とか『君ならやれるよ』といった優しい返事をくれました。

 しかし、野村證券にだけは“青二才が何を言っているのだ、やれるものならやってみろ”といった感じで、挑発的な対応をされました。負けず嫌いな自分は、『ならやってやろうじゃないの』と火がついてしまいましたね(笑)」

 いざ野村證券に入社すると、中村の負けん気はフルに発揮されることとなる。飛び込み営業で次々と新規顧客から口座開設を勝ち取り、10ヶ月で213件を開拓するという、同社の新入社員の売上記録を塗り替えてしまった。

 この記録はその後、しばらくして塗り替えられたが、実はそれを成し遂げたのは、中村が直接指導した2名の新人によるものだった。中村が育成した新人は、口座開設数の“1、2フィニッシュ”を決めており、さらに自らもトップの営業記録を維持し続けていった。

 中村がこうした好成績を維持できた背景には、… 続きを読む… 続きを読む

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中村 仁(なかむら じん)
関西大学卒業後、野村證券に入社。支店営業後、野村資本市場研究所ニューヨーク事務所にて金融業界の調査を実施。帰国後、営業企画部にて営業戦略の立案、世界中の金融業界の調査を行う。その後、京都支店にてウェルスマネジメントを担当。2016年4月お金のデザインに入社、2017年3月に代表取締役社長就任

株式会社お金のデザインについて
■ 事業内容 投資運用業および投資助言・代理業ならびに第一種金融商品取引業、確定拠出年金運営管理業
■ 設立年月 2013年8月1日
■ 本社所在地 東京都港区赤坂1-9-13 三会堂ビル1階
■ 資本金 3,590,214,142円
■ 従業員数 51名(2019年1月現在)
■ 業種 金融・証券
■ ホームページ

https://www.money-design.com/

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