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リーダーに聞く
2018.12.25

「生体認証」の可能性に賭けた元営業マンが描く未来

株式会社Liquid Japan 代表取締役 保科秀之 氏

 指紋や声紋、目の虹彩や静脈など人間の生体の情報を、IDやパスワードの代わりの認証に用いる「生体認証」技術の開発と普及が本格的に進んでいる。

 株式会社Liquidも、そうした認証テクノロジーをビジネスとする企業のひとつである。同社は画像解析やビックデータ解析を用いた生体認証技術の開発・提供をする企業で、2017年にリリースされた、指認証だけで銀行取引が利用できるイオン銀行の“キャッシュカードも暗証番号もいらないATM”の開発に携わったことでも知られている。

 Liquidがこうした認証技術を開発・製品化できた背景には、生体認証が普及していない頃から、その可能性を信じ続けた人たちの存在がある。Liquidグループで日本事業を統括する、株式会社Liquid Japan代表取締役の保科秀之も、その一人である。

 

結果を残し続けた若手営業マンがふと感じた「物足りなさ」

 1984年、保科は東京都大田区で、鉄工所を経営する一家の下に生まれた。父親は昔気質の職人兼経営者で口数は少なかったが、気前の良い一面もあり、従業員からは家族のように慕われていた。子どもの頃から父を手伝っていた保科は「いつか自分がこの工場を継がなければならないな」と考えていた。

 将来の経営者を目指し、高校卒業後は成城大学の経済学部経営学科に進学。大学で学ぶうち、『絶対に経営者になる』という思いはいっそう強まった。しかし、大学2年頃から就職活動を始める。

「経営者と一口にいってもいろんなタイプがあります。自分はどういう経営者になりたいのかを考え、父のような中小企業の経営者もいますが、もっと大企業の優れた経営を見ておくべきだと思いました」

 就職活動では、独自に業界ごとの収益率ランキングを作成。業界を問わず上位5位までの企業にひたすらエントリーシートを送った。そのなかで、エントリーシートが書きやすい企業と書きにくい企業があることに気づいた。書きやすいと感じたのは、IT企業とコンサルティング会社。それ以外の企業は書きづらく、かつ落選率も高かった。そこで、ターゲットとなる企業をエントリーシートが書きやすい企業に絞り、最終的にIBM(日本アイ・ビー・エム)から内定を得る。

 IBMでは中小企業担当の営業部を自ら希望し、広島事業所に配属された。当時の広島事業所には“自由にやっていいぞ”という風土があり、保科は水を得た魚のように営業活動を行った。多くの同期が、東京配属で先輩付きの見習い期間を過ごす中、保科は現場で実践的な経験を積み重ねたことで、新人研修で抜群の成績を修める。2年目以降は東京に戻り、大手の企業の営業を担当することになった。

 6年目の2013年、保科はIBMを退職。ソフトウェアテスト専門会社のベンチャー企業の株式会社SHIFTに転職する道を選ぶ。

「もともと学生時代から大まかなキャリアプランを考えていました。まず大企業に入り5年ほど勤め、大企業でしっかり経営を学び、その後、急成長しているベンチャー企業に入社、その後、父親の会社を継ぐのか、自分で会社をつくるのかを決める、と計画していました」

 SHIFTでは、SI業界担当の営業マネージャーとして、約2年間トップ営業として走り続けた。結果、売上は入社前の2倍になり、マザーズ上場にも貢献した。たった2年間だったが、かなり濃縮な時間を過ごすことになった。経営にも携わったことで、保科は大きな充実感や達成感を得た。

 その一方で、「物足りなさ」も感じるようになっていた。… 続きを読む… 続きを読む

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保科秀之(ほしな ひでゆき)
2007年4月、日本アイ・ビー・エム(IBM)株式会社に入社し、主に新規の大企業担当の直販営業として、クライアントの課題解決のための提案営業(主に数千万円~数億円のSIプロジェクト)に従事。その後、2013年2月にソフトウェアテスト専門会社の株式会社SHIFTに入社し、SI業界担当の営業マネージャーとして、トップ営業として走り続け、売上2倍成長やマザーズ上場に貢献。2015年9月、株式会社Liquidに入社し、日本事業を統括する株式会社Liquid Japanの代表取締役に就任。日本を代表する大企業の直販営業として、次世代生体認証・決済サービス「Liquid」を提供し、世の中をより便利・より安全にしていくために猛進している。

株式会社Liquid Japanについて
■ 事業内容 生体認証サービスの開発・提供
■ 設立年月 2015年4月3日
■ 本社所在地 東京都千代田区大手町1-6-1大手町ビル
■ 業種 IT・情報処理サービス

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