今、日本で急成長を遂げている業界のひとつが「家事代行サービス」である。単身世帯や共働き世帯の増加によって需要は徐々に増加し、経済産業省では約6,000億円規模の市場が拡大すると見込まれている。

 そんな家事代行業界の中で、“業界最安値”を謳う1時間1,500円でサービスを展開しているのが「タスカジ」だ。低料金の理由には、家事を頼みたい人と、「タスカジさん」と呼ばれるハウスキーパーが、タスカジのサイトを通じて個人間契約をする点にある。つまり、家事代行サービスをシェアリングエコノミーのビジネスモデルで提供しているのだ。

 現在、「タスカジさん」の登録者数は4万5,000人。利用者数は年々増加しており、供給が追いつかなくなるほどという。

 創業者であり、代表取締役を務める和田幸子は、どのようにして「シェアリングエコノミーで家事代行サービスを行う」というビジネスモデルに行き着いたのか。その道のりを聞いた。

 

20代で「50代で起業」を決意

 和田は1975年、兵庫県川西市で生まれた。子供の頃はピアノ、水泳、公文式の教室などに通ったが、どれも熱中するほど好きにはなれなかった。

 そんな和田が唯一、夢中になれたのが、両親と一緒に行う工作だった。“何もない所から何かを生み出していく”好奇心やチャレンジ精神は、この頃から芽吹いていた。

「ほしいものは自分で作る家庭でした。父はオーディオマニアで、大きなスピーカーを自作していましたし、母も裁縫道具のセットを、空き箱を使って作ってくれたりしました。私も自動で動く仕掛けのあるボックスを作って楽しんだりしていました」

 高校の頃になると、将来の仕事としてシステムエンジニアに興味を抱くようになる。家族で関東地方に引っ越したこともあり、大学は横浜国立大学経営学部の会計・情報学科に進学する。

「経営学を学びながら、キャリアについていろいろ考えました。当時は“女性が世の中で働く”というロールモデルになる人がいなかったので、女性が一生働くにはどうすればいいかという、漠然とした不安や疑問がありました」

 不安を抱えたまま就職活動の時期を迎えた和田は、ある一冊の本と出会う。それは大手電機メーカーに勤め、部長にまでなった男性が、50代で起業した物語だった。

「その時、『20歳そこそこの自分では起業は無理だけど、そうか、50代になって起業するのも面白そうだな』と直感的に思いました」

 将来の起業を胸に抱いたまま、和田は富士通に入社。かねてから夢だったシステムエンジニアとして働く。

 

何かをやり遂げるには、人生をかけるほどの熱意や使命感が必要である

 起業のタイミングは、50代よりもずっと早く訪れた。2005年、企業派遣制度を活用し、慶應義塾大学経営管理研究科へ留学すると、同級生10名と共に、情報共有できるカレンダーサービスを提供する会社を起業した。

 しかし、このチャレンジは敢えなく頓挫する。… 続きを読む

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横浜国立大学経営学部卒業後、富士通に入社しシステムエンジニア、新規事業開発などを担当。フルタイムワーキングマザーとしての課題認識に基づき、2013年に起業。家事代行マッチングサービス『タスカジ』を運営。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了。現在は、地方自治体や企業などとの新しい取り組みや、教育機関をはじめとした講演活動など、活動の幅を広げ、「核家族から拡大家族へ」を合言葉に日々奮闘中。日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2018「働き方改革サポート賞」受賞。

株式会社タスカジについて
■ 事業内容多彩な家事スキルを活かして働くハウスキーパー(タスカジさん)と、家事をお願いしたい人とをシェアリングエコノミーでつなぐ1時間1500円からの家事代行サービス。利用者数4万人。日経DUAL【家事代行サービスランキング2017】第1位
■ 設立年月2013年11月
■ 本社所在地東京都港区芝2-26-1 iSmartビル301
■ 資本金非公開
■ 従業員数15人
■ 業種ITサービス

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