日本で市場規模を広げているジャンルの1つに「家事代行サービス」がある。

 もともと家事代行サービスは、香港やシンガポールなどをはじめとする国々では一般的なサービスではあるが、日本では普及していなかった。しかし2000年頃になると、日本でも家事代行サービスが誕生。経済産業省の資料によれば、家事代行サービスの市場規模は2011年度が811億円、2012年度には約20%増となる980億円市場に増加し、やがては約6,000億円の市場に成長すると予想されている。

 日本で家事代行サービスのさきがけとなった会社が、株式会社ベアーズである。1999年に東京でハウスクリーニングを行うサービスとして東京に誕生した同社は、今ではベビーシッターや高齢者支援、料理代行サービスも扱うようになり、サービスエリアも全国5大都市を中心に拡大している。

 そのベアーズを、代表取締役である高橋健志氏とともに支え続けてきたのが、妻であり、取締役副社長である高橋ゆきだ。家事専門の大学「家事大学」の学長を務め、人気テレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS系)で、ヒロイン役の新垣結衣さんの家事・掃除指導を監修した彼女だが、現在のような“家事のプロ”になるまでには、さまざまな紆余曲折があった。

 

ナイーブな子供時代を救った父の言葉

 高橋は、写真家の父親と起業家の母親のもと、東京・杉並区で生まれ育った。母親は、お腹の中にいるころから男の子だと思い続けていたこともあり、男の子のような恰好をして育てられた。

「人形遊びなどしたこともなかったですね。メンコとか“ドロケイ”、ちゃんばらごっこなんかを男の子たちに混ざって遊んでいました」

 小学校の頃は、学級委員長や代表委員などのリーダー的な役割を常に担い続けた。いじめっ子がいれば注意し、いじめられている子どもには手をしのべた。

 強い正義感を持つ高橋だったが、決して心が強いわけではなく、むしろナイーブだった。中学に入ると、人の感情の機微の影響を異常に受けてしまい、悩んだり、落ち込んでしまい、胃痛に悩まされるようになる。

 正義感と繊細さをアンバランスに持ち合わせる高橋を心配した父親は、あるときこんな言葉を投げかけた。

「明日の太陽はだれにも必ず昇ってくる。だから時に立ち止まり反省することはあってもメソメソしたり悲しんでいる時間はもったいない。人生はあっという間だからね、後悔しないように前を向いてしっかり自分らしく歩め!そして、必ず他人のために生きられる人間になるために、自分を大切にするんだよ」

「この言葉に本当に救われました」という高橋は、以後、父の言葉のとおりにいままで生きてきたという。

 

現実主義者とロマンティストの2人が織りなすハーモニー

 大学に進学すると、入学式で出会った健志氏と交際をスタートし、結婚。大学卒業後は、それぞれ日本で会社勤めをしていたが、やがて海外のビジネスを学ぶために、2人で香港に移住する。この時2人は、中流階級の家庭が、メイドサービスを積極的に利用していることに驚いた。

 その後、健志氏はアメリカへ留学。高橋は二児の子育てのために日本に帰国したが、… 続きを読む

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高橋ゆき
東京生まれ。株式会社ベアーズ専務取締役を経て、2016年、取締役副社長に就任(現任)。主にブランディング、マーケティング、新サービス開発、人財育成を担当するほか、家事代行サービス業界の成長と発展を目指し、2013年、一般社団法人全国家事代行サービス協会設立以来、副会長を務める(現任)。経営者としても、各種ビジネスコンテストの審査員、コメンテーター等を務める。

株式会社ベアーズについて
■ 事業内容家事代行サービス、ハウスクリーニング、キッズ&ベビーシッターサービス、高齢者支援サービス、ホテル清掃サービス、マンションコンシェルジュサービス、オフィス・店舗・ビル清掃サービス
■ 設立年月1999年10月
■ 本社所在地東京都中央区日本橋蛎殻町1-34-5
■ 従業員数385名(うち正社員202名、契約社員・パートアルバイト183名)(登録スタッフ数:5,200名)※2017年9月末時点
■ ホームページ

https://www.happy-bears.com/

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