昨年夏に刊行されたビジネス書「40歳が社長になる日」(幻冬舎)が人気となっている。これは、日本を代表するような大企業であっても、若い世代が社長に選ばれる日がまもなく来る、ということを予測したビジネス書である。

 本書の著者は、株式会社プロノバの代表取締役社長であり、アステラス製薬や丸井グループなど、数々の企業の社外取締役も務める岡島悦子。岡島は「日本に”経営のプロ”を増やす」ことをプロノバのミッションに掲げ、経営チーム強化コンサルタント、ヘッドハンター、リーダー育成のプロとして、経営のプロが育つ機会(場)の創出を目指している。

 「社外取締役の仕事は個人としてお引き受けしていますが、本質的にはプロノバの仕事と一体化しています。従来の社外取締役のイメージよりも、相当深くまでそれぞれの会社にコミットしていると思います。多くの企業でサクセシッョン・プランニング(後継者育成計画)のお手伝いもしていて、10年先の社長をどう育てるべきか、人材の配置まで一緒にやらせていただいています」

 

名簿を読むのが大好きな小学生

 1966年、東京都大田区に生まれた岡島は、幼少の頃から人が大好きな子供だった。小学校ではクラス名簿を穴が開くほど読み込み、友人の住んでいる場所や親の職業といった属性情報をよく覚えていた。

 人付き合いも好きだった。祖父母の家はアメリカ交換留学生を受け入れた“日本第一号”であり、岡島もそこへよく遊びに行った。常に外国人がいる環境のなか、臆することなく会話していたという。

 「子どもの頃からとにかく人に興味があって、“人フェチ”と言っても過言ではないです。親の友人や上司なども、すべて顔と名前がわかるほどでした」

 台湾のアメリカンスクールでの寮生活を送った岡島は、筑波大学の国際関係学類に帰国子女として入学。三期生として国際経済と国際政治を学んだ。大学卒業後は、三菱商事に総合職として入社。男女雇用機会均等法の施行3年目であり、新卒総合職の同期約150人中、女性は岡島を含めて2人だけ。上の年代を見ても、女性の総合職は数人だけだった。

 会社も女性の活用に試行錯誤していた時代だったが、岡島は当時を「機会は平等で、恵まれていました」と振り返る。最初に配属された部署では、M&Aに関連した企業財務分析などを行い、M&Aやベンチャーキャピタルへの投資も経験。そこで投資家やアナリスト、各企業のCEOやCFOとの交流を深めていった。

「会社の周囲もびっくりするぐらい、自社を含めてさまざまな企業のトップと話をする機会をもたせてもらいました。経営者が何を考え、どのように行動するのかを若手時代に目の当たりにできたのは、今思えばラッキーでした」

 その後、ロンドン、ニューヨークの子会社に出向し、帰国後は600社ほどの小会社・関連会社の連結決算の仕事に携わった。日本企業が国際会計基準へと移行し始めた時期でもあり、こうしたキャリアを経て、企業の財務や経理の仕組みが本質的に理解できるようになったという。

 

企業の価値は、規模の大きさや安定性だけではない

 順調にキャリアを積んでいった岡島だが、その一方で、自分は「プロ」として今後どういう道に進んでいくべきか、悩みもあった。

 そうした状況から脱するべく、海外のビジネススクールに留学することを決意。社内の選考試験に挑み、32歳の時、社内試験に合格。念願だったハーバード大学経営大学院(HBS)へのMBA留学を果たした。

 岡島はこの留学で、価値観が… 続きを読む

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岡島悦子(おかじま えつこ)
1966年、東京都大田区生まれ。筑波大学国際関係学類卒業、ハーバード大学経営大学院修士課程修了(MBA)。三菱商事、ハーバードMBA、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、2002年、グロービス・グループの経営人材紹介サービス会社であるグロービス・マネジメント・バンク事業立上げに参画、2005年より代表取締役。2007年、プロノバ設立、代表取締役就任。 2014年よりアステラス製薬株式会社 社外取締役、株式会社丸井グループ 社外取締役。2015年よりランサーズ株式会社 社外取締役、株式会社セプテーニ・ホールディングス 社外取締役。2016年より株式会社リンクアンドモチベーション 社外取締役。

株式会社プロノバについて
■ 事業内容経営・組織開発コンサルティング、次世代経営者抜擢・育成支援事業
■ 設立年月2007年6月
■ 本社所在地東京都新宿区西新宿6-15-1-3910
■ 資本金750万円
■ 業種コンサルティング
■ ホームページhttp://www.pronova.co.jp

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