オンライン医療事典「MEDLEY」は、約600人もの医師たちが、疾患情報や医薬品、最新治療の情報などをインターネットで提供するサイトで、患者にとって医療に関する正しい情報源となることを目指している。

 このMEDLEYを運営するのが、2009年に誕生した株式会社メドレーである。同社で代表取締役医師を務める豊田剛一郎は、MEDLEYの意義について「医療知識のバックグランドがあまり無くても、困ったときにちゃんと病気や薬について知ることができるように、という気持ちで情報を提供しています。“困ったらまずMEDLEYを見る”という文化をつくることが目標です」と語る。

 豊田自身、脳外科医として医療の現場で活躍した医師である。しかしなぜ豊田は、医療の現場で直接患者を診療せず、企業の代表として医療サイトなどのサービスを展開しているのだろうか。

 

文武両道の少年を医療界に導いた運命の本

 1984年、東京都北区・駒込で生まれ育った豊田は、まさに文武両道を絵に描いたような少年時代を過ごした。小学生の頃からサッカーに夢中で毎日のように練習に励みながらも、国内有数の進学校として知られる開成中学・高等学校に進学。同校でもサッカー部に所属し、高校ではキャプテンを務めた。

 そんな豊田が医学部志望を決意したのは、受験も近い高校3年の夏であった。脳研究者の池谷裕二氏と、クリエイターの糸井重里氏の対談本「海馬─脳は疲れない」を読み、脳に対する興味が沸き起こったのである。

「科学全般に興味があったので、それまで科学のどの分野に進むかは決めかねていました。しかし、この本と出会ったことで、脳の仕組みの面白さや凄さに感動して、脳に関わる仕事がしたいと思うようになり、医学部を目指そうと腹を決めました」

 志望どおり東京大学医学部への進学を果たし、医学実習生として様々な診療科をまわるなかで、外科医としての臨床と研究を両立できる脳外科医となることを決意。医学部卒業後、聖隷浜松病院での初期臨床研修やNTT東日本関東病院脳神経外科での研修、脳医学の臨床の現場を経験したあと、最先端のフィールドで脳医学の臨床と研究に携わるべく、アメリカ・ミシガン州デトロイトの病院「Children’s Hospital of Michigan」に留学する。

 米国では医師資格を取得するとともに、小児脳の研究に従事する。脳の電気活動を外科的なアプローチで分析する研究内容で、豊田が書いた英語論文は米国学術雑誌の表紙を飾った。

「英語の発音記号の1つ1つについて、患者が話す時に脳がどういう働きをするかといった研究を主に行っていました。それが解明できれば、例えば声を失っても話せるようになるかもしれません。実際に見ることができる義眼や脳で考えたとおりに動かせる義手をつくるのが、脳研究者としての夢でした」

 

米国留学を1年で切り上げさせた「もう1つの夢」

 米国で順調に脳医学を研究していた豊田だったが、この留学をわずか1年で打ち切ってしまう。その裏には、留学する以前に豊田が胸に秘めていた、もう1つの夢があった。… 続きを読む

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株式会社メドレー代表取締役医師。東京大学医学部卒業後、脳神経外科医として国内の病院に勤務。その後渡米し、ミシガン小児病院にて脳研究に従事する。日米での医師経験を通じて日本の医療の将来に対する危機感を強く持ち、医療を変革するために臨床現場を離れることを決意。マッキンゼー・アンド・カンパニーにて主にヘルスケア業界の戦略コンサルティングを経験後、2015年2月より株式会社メドレーの共同代表に就任。オンライン医療事典「MEDLEY」、オンライン診療アプリ「CLINICS」などの医療分野サービスの立ち上げを行う。2018年1月に、書籍「ぼくらの未来をつくる仕事」を上梓。

株式会社メドレーについて
■ 事業内容医師たちがつくるオンライン医療事典「MEDLEY」https://medley.life/、オンライン診療アプリ「CLINICS(クリニクス)」https://clinics.medley.life/、医療介護の人材採用システム「ジョブメドレー」https://job-medley.com/、介護施設の口コミサイト「介護のほんね」
https://www.kaigonohonne.com/ など、医療ヘルスケア分野の課題解決に向けたサービスを展開する。
■ 設立年月2009年6月
■ 本社所在地東京都港区六本木7-17-7 新六本木ビル7F
■ 資本金非公開
■ 業種医療・インターネット
■ ホームページhttp://www.medley.jp/

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