社長自ら「悪の親玉」役を演じる狙いとは

 ネット業界に詳しい人なら、個人向けレンタルサーバー「ロリポップ!」や、ハンドメイドマーケット「minne(ミンネ)」、ブログサービス「JUGEM(ジュゲム)」といったサービスの名を聞いたことがあるだろう。これらのサービスを展開する企業が、GMOペパボ株式会社だ。

 同社はこうしたサービスに加え、社内のイベントを積極的に催している点でも知られている。たとえば、社内のプレゼンテーション大会「P-1グランプリ」や、スタッフが部署や職種を飛び越えてチームを作り、新しいサービスを作る「お産合宿」は毎年の恒例行事となっている。

 さらに新卒説明会では、役員も含めたスタッフが毎年体当たりのパフォーマンスを披露。2016年にはヘビメタバンドのライブを行い、2017年は「採用戦隊ペパレンジャー」というヒーローショーを行った。劇中の「悪の親玉」役には、代表取締役社長である佐藤健太郎自身が演じるというこだわりっぷりだ。

 佐藤がこうした社内イベントを積極的に行う背景には、企業理念である「もっとおもしろくできる」を実践する狙いがある。

 「“もっとおもしろくできる”という企業理念を実現するには、提供するサービスはもちろんのこと、会社そのもの、あるいは働き方なども含めてよりおもしろく楽しく改善していかねばなりません。会社説明会も、何より自分達が面白いなと思えるような内容にしています」

 

Web掲示板で起きた運命の出会い

 佐藤の故郷は南国・鹿児島だ。父親は建設会社を経営しており、その背中を見て育ったことで、いつしか“自分も会社を起こしたい”と考えるようになったという。父親がつくったチームで小学校から中学校までサッカーに打ち込む一方、生徒会も率いるような活発な少年だった。自身も目立ちたがり屋で、「クラスのムードメーカー的な存在だった」という。

 父親の仕事の影響で工業高校に進学した佐藤は、そこで初めて本格的にコンピューターに触れることになる。もっとも、中心となったのはパソコンではなく、携帯用の小型コンピューター(ポケットコンピューター)であり、測量計算などのためプログラミングも行った。そしてこの頃から、有名人のWebサイトなどを見て、憧れを抱くようになった。

 福岡の大学に進学すると、経営工学を専攻し、土木知識を活かした起業を目指し始める。それと同時に個人でレンタルサーバーを借りてオリジナルのドメインを取得。自らがプログラミングしたWebサイトの運営にのめり込んでいったのだった。

 佐藤のビジネス人生を決定づけた出会いは、在学中に訪れた。福岡在住者による個人Webサイトばかりを集めたリンク集の掲示板で、サラリーマンの傍ら、個人でレンタルサーバー「ロリポップ!」を運営していた家入一真氏と出会ったのだ。両者は相互のWebサイトをリンクし、掲示板でやり取りを重ねるうちに、近所だったことから直接会うなど親交を深めていった。

 そして大学卒業直前の2003年1月、家入氏からの誘いに応じてGMOペパボの前身であるpaperboy&co.(ペーパーボーイアンドコー)の立ち上げに参画する。設立時のメンバーは家入氏、佐藤を含めわずか3人だった。

 「家入さんから“会社を起こすんだけど来ないか?”と声をかけられて、ああ面白そうだなと。ほとんどノリでしたが、迷いは一切ありませんでした」

 

数々の社内イベントはクリエイターを育てるため

 paperboy&co.は設立当初から順調なスタートを切った。佐藤自身は「当時は明確な理念やビジョンがあるわけではなく、ノリと勢いで突っ走っていた感がある」と語るものの、「ロリポップ!」は、月額600円(当時)から個人ドメインによるWebサイト運営ができるという手軽さや自由度の高さが人気を呼び、会員数は続々と拡大。それと歩調を合わせるように、社員も急激に増えていった。

 2004年には東京に本社を移転し、東京と福岡の二拠点体制となった。両拠点の間では、Webで情報共有し、テレビ会議やチャットツールといったインフラを設け、双方の顔が見えるように配慮した。仕事とは関係のないやりとりも、特に会社として制限を加えなかった。

 「パートナー(社員)によるSNS等の発信も自由なので、普通に友達付き合いになるといったケースも多かったですね。福岡から東京に遊びに行くついでに、ふらっと会社に立ち寄ったりするパートナーもよくいましたし、プライベートでは福岡に旅行に行くから一緒に遊ぼうなどということもよくあったようです」

 そんな中、2009年3月に、佐藤は同社の代表取締役社長に就任することになる。家入氏はレストランやカフェの立ち上げ、クリエイターとしての活動など、社外の仕事で忙しくなり、会社とは距離を置くようになっていたためだ。佐藤は既に会社の実務を任されていたため、社長に就任したからといって特に業務に大きな変化があったわけではないが、1つだけ大きな変化を加えることにした。

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佐藤 健太郎(さとう けんたろう)
1981年、鹿児島出身。大学在学中からレンタルサーバー「ロリポップ!」の運営を手伝い、03年にGMOペパボの前身である有限会社paperboy&co.の立ち上げに参画。社長室長や経営企画室長を歴任し、2008年に上場準備責任者として上場を果たす。09年より代表取締役社長に就任。現在国内最大のハンドメイドマーケット「minne」の躍進を牽引している。

GMOペパボ株式会社について
■ 事業内容ホスティング事業、EC事業、ハンドメイド事業、コミュニティ事業
■ 設立年月2003年1月10日
■ 本社所在地東京都渋谷区桜丘町26番1号 セルリアンタワー
■ 資本金1億5,967万円(2016年12月末現在)
■ 従業員数243名(2016年12月末現在)
■ 業種インターネット関連
■ ホームページ

https://pepabo.com/

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