2015.10.20 Tue

大震災時も機能する社内体制を――再保険会社の使命

日本地震再保険株式会社 取締役社長 入江 正道 氏

 「日本地震再保険」という企業名を耳にしたことがあっても、事業内容まで知っているという人は、業界関係者以外はほとんどいないだろう。しかし同社は、日本で暮らす我々にとって、非常に関係の深い企業なのだ。

 同社の事業内容を把握するには、まず地震保険の仕組みについて理解しておく必要がある。個人が加入する一般的な地震保険(家計地震保険)は、契約者へ確実に保険金を支払えるよう、政府と損害保険会社、そして日本地震再保険の三者で再保険制度(いわゆるセーフティネット)が組まれている。契約者から預かった保険料は損害保険会社から切り離され、政府と日本地震再保険で管理・運用されている。

 つまり同社は、日本における再保険制度の中心的な存在なのである。政府や損保会社との再保険手続きを行うとともに、契約者から預かった保険料の管理・運用を行うという、日本で唯一の家計地震保険の再保険会社なのだ。

 そんな同社を率いる社長の入江は、損保会社での豊富な実績を誇る人物だ。加えて、新組織の立ち上げや大規模合併での橋渡し的存在という貴重な経験を有する人物でもあった。

 

度重なる転校経験で身に付けた環境適応力

 1952年、神戸市で生まれた入江だが、父親は転勤が多く、小学生時代は和歌山市、山口県岩国市、柳井市、大阪府池田市、そして中学生時代は神戸市および和歌山市と、実に小学校4校、中学校2校もの転校を繰り返した。

「やっと友達になれたと思ったら転校でお別れというパターンの連続でした。だから私には、悲しいことに竹馬の友がおりません。ただ、何度も転校したことで、新たな環境にも溶け込みやすい性格になったと思います。そのためか社会人となった後にも、新しい企業や組織に順応するのが苦になりませんでしたね」

 高校まで関西と中国地方を転々としていた入江だが、慶應義塾大学法学部に進学し、初めての上京を経験する。大学では会社法のゼミに所属し、当初は総合商社への就職を目指していた。しかし、親しい友人が交通事故に遭い保険金を受け取ったことから、それまでよく知らなかった損害保険に興味を抱き、調べれば調べるほど、仕組みの面白さにはまっていった。

「損保業界では、1,000分の1を表す“パーミル”という単位がよく使われるんです。なぜかと言うと、たとえば未曾有の大地震など、千年に何回か起きるか起きないかといった事象までを保険の対象として取り扱うからです。 そうしたあらゆる森羅万象をビジネスとし、また社会・人のために役立つ損保の世界に惹かれて、この業界で働こうと決意しました」

 

度重なる転校経験で身に付けた環境適応力を、ビジネスで活用

 1976年、大正海上火災保険(現・三井住友海上火災保険)に入社した入江は、ほぼ3年ごとに部門を変わるという、小中学校時代と似たような経験を重ねていった。結果、36年の在籍期間中に、実に13カ所もの部門を経験したのである。

 なかでも特に思い出深いのが、… 続きを読む

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入江 正道(イリエ マサミチ)
1952年、神戸市生まれ。1976年慶應義塾大学法学部を卒業後、大正海上火災保険(株)(現・三井住友海上火災保険)に入社。営業推進部課長などを経て、統合推進室統合推進担当部長に就任し、三井海上火災(株)と住友海上火災保険(株)の合併に携わる。合併後の三井住友海上火災保険(株)では執行役員東北本部長、専務執行役員関東甲信越本部長などを歴任し、2012年6月に日本地震再保険株式会社取締役社長に就任、現在に至る。

日本地震再保険株式会社について
■ 事業内容国内唯一の地震保険の再保険専門会社。政府、損害保険会社との再保険手続きを行うとともに保険料の管理・運用を行う。
■ 設立年月1966年5月30日
■ 本社所在地東京都中央区日本橋小舟町8-1 ヒューリック小舟町ビル4階
■ 資本金10億円
■ 従業員数29名
■ 業種損害保険業(正味収入保険料:1,089億円、総資産:6,401億円)
■ ホームページ

http://nihonjishin.co.jp/

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