2014.08.05 Tue

老舗ジーンズブランドを救った“プレミアム”戦略

リーバイ・ストラウス ジャパン株式会社 代表取締役社長 齋藤 貴 氏

世界的なジーンズブランドに訪れた危機

 140年以上もの間、世界中で支持され続け、ジーンズの代名詞的なブランドともなっている「Levi’s(リーバイス)」。この老舗ブランドを世界110カ国以上でビジネス展開する米国リーバイ・ストラウス社の日本法人が、リーバイ・ストラウス ジャパンだ。

 リーバイスの歴史は、“ジーンズの生みの親”と呼ばれるドイツ人、リーバイ・ストラウスから始まる。1853年、アメリカ・カリフォルニアの金鉱で働く人々のために、リーバイ・ストラウスが丈夫な作業用パンツを作ったことがきっかけだった。以降、ジーンズの歴史とともに世界中にファンを増やし、愛され続けてきた。

 日本法人が誕生したのは1982年。盤石なブランド力を武器に、日本でも長年安定した経営を続けてきた。社長の齋藤も「栄枯盛衰が激しいアパレルの歴史の中で、これだけ人々に愛され続けているブランドというのは稀有な存在でしょう」と自信を見せる。

 しかし、同社は数年前に大きな経営上のピンチを迎えていた。

 リーマン・ショック後のデフレ不況の波が押し寄せていた2000年代後半、新興のSPA(生産機能を持ったアパレル専門店)などが、より低価格ブランドのジーンズを次々と国内市場に投入するなど、アパレル業界も低価格競争の真っ只中にあった。同社もそうした商品に対抗してディスカウント戦略をとらざるを得なくなったが、結果として2010年には35億円もの赤字を経常するという厳しい経営状況に陥っていたのだ。

 そんな同社を救ったのが、2010年8月にやって来た齋藤が打ち出した「プレミアム戦略」だった。

 

象徴となる商品が安売りされるブランドは、客から絶対に尊敬されない

 当時を振り返って齋藤は言う。

「ショッピングセンターに行くと、リーバイスの原点とも呼ぶべき『501』がディスカウントセールの目玉商品として山積みになっていたんです。あちこちの店に在庫が溢れており、売っても売っても儲からない状況にありました。そして何よりも危惧したのが、このような売り方をしていたのでは、せっかくのブランド力が失われてしまうということでした」

「501」は、1890年代に誕生した、最初のロットナンバーを付けたリーバイスの看板製品である。業界で「世界中のジーンズの原点」「定番中の定番」「永遠のスタンダード」などといった評価を受ける501は、ブランドの枠を超えてジーンズそのものを象徴する存在だ。生涯にわたって501にこだわり、頑なに履き続けるようなコアなファンも数多い。それだけに、投げ売りのように扱われる501の姿を見て、齋藤は強い危機感を抱いたのである。

「501というアイコン商品が安売りの目玉にされてしまうようなブランドは、お客さまから絶対に尊敬されない」──齋藤は社員に強く言い聞かせた。そしてすぐさま、… 続きを読む

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齋藤 貴(サイトウ タカシ)

東京都生まれ。一橋大学卒業後、東レ株式会社入社。その後エイボン・プロダクツ経営企画部長、ロエベ・ジャパン株式会社マーケティング・ディレクターなどを経て2000年バリー・ジャパン株式会社代表取締役社長、05年株式会社ファブリカ(ラコステ)代表取締役社長を歴任。10年からリーバイ・ストラウスジャパン代表取締役社長。就任後はリーバイスのリブランディングを開始。プレミアムブランド化を進め、業績低迷を打開する。

リーバイ・ストラウス ジャパン株式会社について
■ 事業内容衣料品の輸入・製造・販売。米国リーバイ・ストラウス社の日本法人として、ジーンズを中心とするメンズ及びレディース・ウェア「リーバイス」ブランドのビジネスを日本国内で展開。2004年JASDAQ上場。
■ 設立年月1982年11月
■ 本社所在地東京都港区南青山1-1-1新青山ビル 西館19階
■ 資本金52億1,360万円(平成24年11月30日)
■ 従業員数369名(うち正社員87名)
■ 業種アパレル
■ ホームページ

http://www.levistrauss.co.jp/index.html

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