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リーダーに聞く
2013.09.10

“日本初”から“日本発”へ、進化するコーチング

株式会社コーチ・エィ 取締役社長 鈴木 義幸 氏

株式会社コーチ・エィ、取締役社長、鈴木 義幸

日本のリーダーのメンタリティーに合わせて誕生した「システミック・コーチング」

 「コーチング」という言葉が日本のビジネス界でよく聞かれるようになったのは今世紀に入った頃からだ。「コーチ」と「クライアント」との対話を通じて、クライアント個人が自ら成長し、問題の解決やスキルの向上を図ることを主眼とするコーチングは、この10年ほどの間に日本企業の間に着実に根付いてきた。

 このコーチングの浸透に日本で最初に成功したのが、コーチ・エィだ。現在、プロとして認定された100名以上のコーチが在籍する、世界でも類を見ないグローバル・コーチング・ファームとして成長した同社は、設立から15年の間に1,700社以上でコーチング・サービスを展開してきている。

 同社が特に重きを置き、これまで豊富な実績をつくってきたのが、企業の“リーダー”に対する「エグゼクティブ・コーチング」である。エグゼクティブを起点として、組織全体の能力開発までも可能とする「システミック・コーチング」という手法は、組織改革のソリューションとして、海外でも注目されている。

株式会社コーチ・エィ、取締役社長、鈴木 義幸「コーチングは、元々アメリカでのスポーツコーチングをモデルとして開発されました。エグゼクティブ1人の能力をコーチ1人が高めるというものですね。アメリカ企業で“CXO”などの肩書を持つエグゼクティブは、自身がプロフェッショナルとして企業を渡り歩くことが多いですから、“自分のため”にポケットマネーでコーチを付ける人も多いようです。一方、日本のエグゼクティブの場合はまだまだ組織への帰属意識が高く、コーチを付ける場合も会社のお金でつけることがほとんどということもあり、『コーチングによって得た成果を組織のために生かさねば』と自然に考えるようなメンタリティーがあります。そんな日本でエグゼクティブ・コーチングを行ってきた経験を通して我々が独自に編み出した手法が『システミック・コーチング』なのです。その目標は、リーダーがコーチングから受けた影響を、その部下を含めた全員の成長にまで波及させ、組織全体にインパクトを与えることにあります。企業が競争力を高めるためには、リーダー個人の成長と合わせて、組織の能力もまた向上する必要がある、というのが私たちの考えです」

 

カウンセラーとコーチ、2つの職業経験を通してコーチングの本質をつかむ

 鈴木は大学卒業後、外資系の広告代理店に就職し、メディアプランナーとして2年間勤務。その後、アメリカの大学院に留学し臨床心理学を専攻、修士課程を終了しテネシー州の公的機関でカウンセラーを務めた。現在、コーチ・エィの代表取締役会長である伊藤守から「一緒に日本でコーチングの会社を立ち上げないか」と声がかかったのはこの頃だ。鈴木は留学以前、伊藤が講師を務めるコミュニケーションのトレーニングに参加しており、渡米後もパソコン通信で情報交換するなど交流が続いていたのだ。

 こうして1997年、日本初のコーチ養成機関として、コーチ・エィの前身コーチ・トゥエンティワンが設立された。

 コーチングは、クライアントの目標達成にむけて組織でどんなことが起きているのか、自分の周りの人間関係はどうなっているのか、自分のリーダーシップは周りの人たちにどのような影響を与えているのかといったことを関係者へのインタビューやリサーチ、アセスメントを通して棚卸しながら、多様な視点をもって対話するプロセスだ。

株式会社コーチ・エィ、取締役社長、鈴木 義幸「潜水艦を想像してもらえば理解しやすいでしょう。潜水艦は視界のない水中を航行しますから、ソナーを使って周囲の状況を把握しますよね。音波を発信してそれが何かにぶつかって跳ね返ってくるのを感知することで、進路を決めていくわけです。エグゼクティブというのはこうした周囲からの『フィードバック』を得にくい立場にあります。何か行動を起こした際に、それが周囲にどういった影響を与えているのか、または、与えてしまっているのか、といったことは直接部下などに聞かなければわかりません。しかしプライドが邪魔してなかなか聞くことができないんです。そうなると独断で突き進んでしまい、裸の王様のような形で失敗に陥りやすいのです。いわば、潜水艦がソナーを使わずに航行するようなものですからね」

 

言い訳をしている限り、人は成長できない

 2007年に鈴木は社長に就任、自らもまた企業のリーダーとなったわけだが、現在もコーチとして15人ほどのクライアントを抱えている。経営者とコーチ、2つの役割を担うなかで、エグゼクティブへのコーチングを通じて自分でも実践できることがあれば、積極的に取り入れているという。

 そして鈴木自身もまた、これまで欠かさずコーチをつけている。昨年は、71歳のアメリカ人のコーチをつけた。… 続きを読む… 続きを読む

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鈴木 義幸(スズキ ヨシユキ)
1967年生まれ。慶応義塾大学文学部卒。(株)マッキャンエリクソン博報堂に勤務後、渡米。ミドル・テネシー州立大学大学院臨床心理学専攻修士課程を終了。帰国後、コーチ・トゥエンティワンの設立に参画。200人を超える経営者、管理職へのエグゼクティブ・コーチングを実施。

株式会社コーチ・エィについて
■ 事業内容 コーチング
■ 設立年月 2001年10月
■ 本社所在地 東京都千代田区九段南2-1-30
■ 資本金 1億円
■ 従業員数 約160名
■ 業種 コーチング
■ ホームページ

http://www.coacha.com/

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