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リーダーに聞く
2013.07.30

失敗を責めず、独創的な商品開発に挑み続ける

株式会社キングジム 代表取締役社長 宮本 彰 氏

株式会社キングジム 代表取締役社長 宮本彰氏

“市場開拓型商品”へのこだわり

 オフィス内はもちろんのこと、改めて自分のデスクを見渡せば、赤や青、黄色、緑の正方形を黒枠で囲んだマークがきっと目に入ることだろう。それこそが、日本のオフィスのスタンダードファイルとして定着している「キングファイル」の背表紙に記されているマークである。1954年に国内初のパイプ式ファイルを発売するなど、“定番文具”の老舗メーカーとして日本企業のファイリング文化を形成してきた同社だが、一方でラベルライターの「テプラ」やテキストデータ入力に特化したデジタル端末「ポメラ」といった、独創的な製品を次々と市場に送り出すメーカーでもある。

株式会社キングジム 代表取締役社長 宮本彰氏 社長の宮本彰は、オリジナル商品に対する思いをこう語る。「『世の中にない製品をつくる』というのが当社の基本姿勢であり脈々と受け継がれてきたDNAです。新製品といってもいろいろあって、既存の他社製品とサイズ違いや色違いのようなものであっても世間では新製品とみなされますが、当社では違います。市場にはまだ存在していない、ほんとうの意味での新製品を開発することにこだわっているのです」

 そうした製品をキングジムでは「市場開拓型商品」と呼んでおり、現在の同社のビジネスを象徴する存在となっている。新聞や雑誌などの一部をスキャンしてデータ化できる「マウス型スキャナ」、手描きのメモやイラストを簡単にデジタル化できる「ショットノート」、会議を音声と360度の映像で記録できる「ミーティングレコーダー」……いずれも発想の自由さと着眼点の鋭さに驚かされる製品ばかりだ。

 

ファイルの売上の落ち込みを「新電子文具」で相殺

 宮本自身も、自ら市場開拓型商品を成功させ、その実績を受けて社長に就任したという経緯を持つ。創業者の宮本英太郎の孫にあたる彼は、大学卒業と同時にキングジムに入社。材料調達部門や営業、経理部門を経て、84年に常務取締役総合企画室長となった。テプラの開発プロジェクトのリーダーを任されたのはその頃だ。

「社内ではテプラに対する反対意見もかなりありました。でも88年に売り出したところ大ヒットとなり、92年に社長に就任したわけですが、当時はよく『テプラで社長になった』と冷やかされたものですよ(笑)」

株式会社キングジム 代表取締役社長 宮本彰氏 宮本の社長就任後しばらくは、主力製品であったファイルもまだよく売れており、それにテプラというもう1つの柱が加わったことで会社は飛躍的に成長した。しかし2000年を過ぎたあたりから、景気の低迷や海外製の安価な製品に押されて徐々にファイルの売上が落ち始めた。3か所あった国内工場もすべて閉鎖し、生産拠点は東南アジアへと移転。一方のテプラもまた製品として成熟期に入っており、今後の伸びはあまり期待出来ない状態であった。

「新しい商品を生み出さねば会社が縮小してしまう」──危機感を抱いた宮本は、オリジナル商品の開発へとより強く舵を切る決意をする。

 とはいえ、そう簡単にはヒット商品は出てこなかった。小さなヒットはあっても、柱となるような商品がなかなか誕生しなかったのだ。この頃を宮本は「厳しい時代だった」と振り返る。

 そうしたなか、大きな転機をもたらしたのが2008年に発売開始した「ポメラ」のヒットだった。… 続きを読む… 続きを読む

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宮本 彰(ミヤモト アキラ)
1954年生まれ。77年3月、慶応義塾大学法学部卒業後、キングジムに入社。84年、常務取締役総合企画室長、86年9月、専務取締役に就任。92年4月、代表取締役社長に就任し、現在に至る。「ファイル」や「テプラ」といった主力商品のほか、デジタルメモ「ポメラ」やデジタル名刺ホルダー「ピットレック」、スマートフォンでデジタル化しやすいノート「ショットノート」等の新規概念商品を次々と世に送り出している。

株式会社キングジムについて
■ 事業内容 ファイル、電子文具など情報整理用品の企画・製造販売
■ 設立年月 1948年 8月(創業:1927年 4月)
■ 本社所在地 東京都千代田区東神田二丁目10番18号
■ 資本金 19億7,869万円(2013年6月現在)
■ 従業員数 連結:2,305人 個別:414人(2013年6月現在)
■ 業種 製造小売業
■ ホームページ

http://www.kingjim.co.jp/

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