2013.06.04 Tue

「第二創業」を果たし、社員を1つ上の次元へと導く

キンコーズ・ジャパン株式会社 代表取締役社長 須原 清貴 氏

キンコーズ・ジャパン株式会社 代表取締役社長 須原 清貴

社員の臥薪嘗胆が、厳しい環境の中での利益に結びつく

 残業中に突然かかって来た取引先からの一本の電話で、思いがけない商談のチャンスが舞い込む。この案件を勝ち取るためにはなんとしても明日までにプレゼン資料を作成しなければならない──。そんな思いのもと、オフィスの近くにあるキンコーズの店舗に駆け込んだ経験のある方は多いのではないだろうか。いわゆる「ビジネスコンビニ」のパイオニアとして全国に店舗を展開するキンコーズの事業については改めて説明する必要はないだろう。

キンコーズ・ジャパン株式会社 代表取締役社長 須原 清貴 米国キンコーズ社の子会社として1992年に日本上陸を果たした同社は、その後順調に店舗を増やし、オンデマンドプリンティングという新しいサービスをビジネスパーソンの間に根付かせた。しかしそんなキンコーズも、2000年代後半から、景気低迷に伴う業績悪化といった苦しい経営状況に立たされていた。まさにその逆境の最中、須原は、ある上場企業の経営者という立場から転身し、キンコーズの代表取締役に就任した。当時の様子を須原は次のように振り返る。

「就任直後の内部環境ははっきり言って良くありませんでした。私が就任する4年前に親会社になったフェデックスが、当社を売却したがっているのはすぐにわかりましたが、あの時の我々の業績と企業価値では、売りたくても売れなかったはずです」

 しかし、須原が最も懸念したのは、親会社ではなく、自分が率いることになった社員についてだ。当時のキンコーズは、フェデックスからの投資が途絶え、店舗では数年前から同じコピー機が使用されていた。高品質のプリンティングサービスを売りとする同社にとって事業の根幹に関わる問題だ。そしてそんな環境では、社員のモチベーションに影響が出てしまうのも無理はない。

「就任前に聞いていた内容と話があまりにも違うので、本当にうまく行くのかなと不安に思ったこともありました。だが、私が後ろ向きになっても、自分にとっても社員にとっても良い結果にならない。そこで考え方を変えました。与えられている環境が変えられないのであれば、その中で社内それぞれの人間ができることを精一杯やろうと、そう社員に伝えて奮起を促しました」

 須原の号令のもと、全社的に仕事のやり方を見直した。コストカットできるところはないか、顧客への対応はどうか、それらを一つひとつ洗い出したところ、問題点や改善すべき点が次々と明らかになっていく。

「本社から見放された“フェデックス時代”は不遇ではありましたが、その環境に、ある意味で”甘え”、やるべきことをやっていなかった、そう考えられる部分も見えてきました。一方で、ずっと過酷な状況の中で仕事をしてきた現場の社員たちは、しっかりと問題意識を抱いているのがわかりました」

 「これは行ける」──そう感じた須原は、社員へのメッセージに変化を加えた。それは、「設備に投資をしてもらえないことを嘆く前に、まずは自分たちで結果を出す」という厳しいものであった。

キンコーズ・ジャパン株式会社 代表取締役社長 須原 清貴「自分たちが株主や銀行の立場になったとしたら、文句ばかり言って利益を出さないような会社と、厳しい環境の中でも必死に利益を出す会社のどちらを選ぶか、そう社員に問いただしたのです。もちろん答えは明白ですよね。親会社から金をもらえないのならば、金を出したくなるように工夫する、つまり『自分たちで金を持ってくる』ということです。そのためにやるべきことは何かをしっかり見極め、全社一丸となって取り組みました」

 こうして須原のリードの下で3年間奮闘したキンコーズは、ついに利益を出すことに成功する。それからほどなく、コニカミノルタがキンコーズに興味を示し、トントン拍子で買収成立へつながっていくこととなる。

 

買収後の社員の不安を払拭したコミュニケーション

 2012年5月、コニカミノルタによる買収が完了し完全子会社となり、同年5月31日付で、キンコーズ・ジャパンとして“第二創業”を果たした。
 コニカミノルタによる買収が発表されると、自分たちの成果が認められたとして、社内の雰囲気は以前にも増して明るくなった。しかしその一方で、当然ながら大きな不安も漂っていた。なんといっても親会社が変わったのだ。その業種は運輸業から製造業へ、国籍は米国から日本へと、それは従来経験したことのない大きな変化だった。… 続きを読む

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須原 清貴(スハラ キヨタカ)

1966年岐阜県生まれ。慶応義塾大学法学部卒業後、住友商事で営業と事業投資に従事。ハーバードビジネススクールでMBA取得後、ボストンコンサルティンググループを経て、英会話学校GABAの副社長として同社を東証マザーズに上場。2009年からキンコーズ・ジャパン代表取締役社長。プライベートでは、現役サッカー審判としてグラウンドに出るとともに、日本サッカー協会審判委員として、日本サッカーの発展に尽力。

キンコーズ・ジャパン株式会社について
■ 事業内容オンデマンドサービスの提供
■ 設立年月1991年12月24日
■ 本社所在地東京都港区西新橋2丁目4番2号 西新橋安田ユニオンビル7階
■ 資本金137,750万円(2013年3月現在)
■ 従業員数860名  (2013年4月現在)
■ 業種サービス業
■ ホームページ

http://www.kinkos.co.jp/

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