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ものづくり探訪
2018.06.29

日本発!モスバーガーが農業の変革に挑む真の狙いとは

モスバーガー(株式会社モスファーム・サングレイス)

 「モスバーガー」といえば、1972(昭和47)年に東京都板橋区で開業し、日本発のファストフードチェーンだ。

 モスバーガーが他のファストフード店と大きく異なるのが、使用する生野菜を全国約2900軒の協力農家によって、できるだけ農薬や化学肥料に頼らずに育てられた国産のものにこだわっている点である。農作物は季節による収穫量の変動が大きく、安定供給を図るためには課題も多いが、モスバーガーでは協力農家と農業生産法人を一緒に立ち上げるなど、この問題に取り組んでいる。そこには、日本発のファストフードチェーンならではの農業に対する想いもあるという。

 モスバーガーと協力農家は、一体どのように生野菜の安定供給を成功させたのだろうか。ものづくりならぬ「野菜づくり」の最前線を訪ねた。

 

不足するトマトを確保せよ!

 モスバーガーの協力農家の一つである農場を訪ね、JR東京駅から東海道新幹線に揺られること、およそ1時間40分。静岡県の西部にあるJR掛川駅に到着した。ここで車に乗り換え、茶畑に囲まれた道を15分ほど走ると、水田の中にたたずむ農業用ビニールハウスが見えてくる。それが、モスバーガーを展開する株式会社モスフードサービスと、株式会社野菜くらぶが共同で設立した、農業生産法人・株式会社モスファーム・サングレイスの静岡農場である。

 モスファーム・サングレイスが誕生したのは、2006(平成18)年のこと。まだ農業に参入する一般企業が珍しかった時代だ。当時モスバーガーは、台風などの影響で秋口になると良質なトマトの生産量が不安定になるという課題を抱えていた。不作になるとトマトの価格も高騰するため、経営面でも大きな痛手となる。

 モスファーム・サングレイスは、一年を通じて良質なトマトを安定供給するために誕生した。この静岡農場以外に、群馬県にも農場を用意しており、冬から春にかけては暖かい静岡農場で、夏から秋にかけては涼しい群馬農場でトマトを生産する体制となっている。

 農地面積は静岡農場が約1.6ヘクタール、群馬農場が約1.2ヘクタールで、両農場におけるトマトの年間収穫量は500トンを超える。しかし、モスバーガーに供給されるのは全体の2割ほどしかないという。なぜなら、モスバーガーに出荷するものは、実のしっかり詰まったLサイズ(180~200g)のものと規格が決まっているからだ。規格を厳選できるのも、安定供給があるからなのだろう。

 

なぜモスファーム・サングレイスでは畑ではなくプランターなのか?

 今でこそ年間を通じたトマトの安定供給を実現しているモスファーム・サングレイスだが、その道のりは決して順調ではなかった。同社の代表を務める杉山健一氏は、創業当時の思いを振り返る。

「モスバーガーが求めるトマトは、実がしっかりしていてジューシーで、食味も豊かなものです。そのおいしさを追求するには、土づくりが大事だと考えました」

 杉山氏はトマトの栽培法として「隔離土耕栽培」という手法を取り入れた。隔離土耕栽培とは、畑でなくプランターでトマトを栽培する手法である。

 本来、トマトづくりは畑で行うのが一般的だが、畑には水を吸収しやすい場所や、吸収しにくい場所など土質にバラつきがあり、そういう土地で育ったトマトは、味にもバラつきが出る。

 もちろん、自分の畑で代々農業を営む農家であれば、そうした土地のクセを知り尽くしたうえで作物を育てられる。しかし当時の杉山氏は、電子機器メーカーの営業職から農業に転身したばかり。トマトづくりの経験や農業への情熱はあるものの、土地のクセを知り尽くすほどの時間も経験もなかった。それでも、隔離土耕栽培であれば、プランターという限られた空間で良質な土を均一に作れるため、バラつきのないトマトが作れる。

 だが隔離土耕栽培は、農業先進国のオランダで生まれた手法であり、当時の日本ではマイナーであった。杉山氏の周りにも相談できる先達はおらず、すべてが手探りだった。

 「最初の5年は本当に大変でした。本当にできるのか、不安な日が続きました」(杉山氏)

 そうした杉山氏の挑戦を支えたのが… 続きを読む… 続きを読む

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株式会社モスフードサービスについて
■ 設立年月 1972年7月21日
■ 本社所在地 〒141-6004 東京都品川区大崎2-1-1(ThinkPark Tower 4階)
■ 従業員数 1,372人(2018年3月現在)
■ ホームページ

http://mos.jp/

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