3月は引越しが多くなる季節だが、引越しに欠かせないものの1つが「養生用テープ」だ。養生用テープは、粘着力の強い布粘着テープ(ガムテープ)と違って簡単にはがせて、糊残りも少ないという特徴を持つ。引越しはもちろん建設現場や工事現場といった様々な場面で利用されている。

 今回紹介するのは、そんな養生用テープの1つ「P-カットテープ」の製造工場だ。株式会社寺岡製作所が手がけるこのテープは、コンパクトかつ簡単に手で「ピッ!」と切れる利便性、豊富なカラーバリエーションなどが評価され、2015(平成27)年にグッドデザイン賞を受賞した。

 同社はさらに、電機・電子用や産業用といった多様な粘着テープを手がけている。一体、どのような工場なのか。テープづくりの最前線を訪ねた。

 

改善提案数を激増させた“ちょっとした工夫”

 JR東京駅から常磐線に揺られることおよそ1時間50分、茨城県北部の海沿いにあるJR高萩駅に到着した。

 同駅は、「日本の渚・百選」に選ばれた高戸小浜海岸や、紅葉の名所である花貫渓谷といった風光明媚な観光地の玄関口だ。「P-カットテープ」を製造する寺岡製作所の茨城工場は、駅から内陸部に車で10分ほど走った先にある。

 茨城工場へ足を踏み入れる前に、まずは寺岡製作所について紹介しよう。寺岡製作所は、日本全国に電気の普及が少しずつ進んでいた1921(大正10)年、電線に使われる絶縁用粘着テープの製造販売を開始。以来、時代のニーズに合わせ、幅広い種類の粘着テープを世に送り出している。

 現在では、絶縁用粘着テープや養生用テープをはじめ、梱包・包装に使用する布粘着テープやクラフトテープ、家電・OA機器・自動車・造船・電車、航空機など部品の保護・固定用テープ、さらにはパソコンやスマートフォンの部品を固定するテープまでラインナップしている。粘着テープの総合メーカーとして取り扱う数は1,000種類に及び、顧客の要望に合わせたオーダーメイドの製品づくりにも柔軟に対応している。

 寺岡製作所は、国内に3つの工場を構えている。1967(昭和42)年に大量生産に対応する函南工場(静岡県)、その3年後に多品種少量・高付加価値製品に対応する佐野工場(栃木県)の操業を開始。今回紹介する茨城工場は、多様化するニーズに対応するための新たな量産拠点として1990(平成2)年に誕生した。現在、茨城工場では約120名の従業員が250種類の粘着テープを生産している。

 その中でもメインとなるのが「P-カットテープ」だ。

 「P-カットテープ」の製造ラインに足を踏み入れてすぐに気付いたことは、働く人の姿があまり見当たらないことだった。

 同製造ラインは自動化が進んでいるため、人が関わるのは、原材料の受け入れや製造ラインなどの工程に限られている。品質のチェックも要所要所に配置された検査機が目を光らせ、異物混入のリスクを回避している。

 工場内は材料や設備が整然と配置されており、少人数でも整理整頓が徹底されている印象だ。これは、8年前から取り組んでいる「5S活動」の成果だという。全従業員が一体となって、日頃から5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)を実践し、作業環境からムダなモノ・コトを排除していくことで、清潔かつ整然とした現場が保たれている。

 同工場で5Sが保たれている裏には、… 続きを読む

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株式会社寺岡製作所について
■ 事業内容各種粘着テープ類の製造、加工および販売
■ 設立年月昭和18年5月5日(1943年)
■ 本社所在地〒140-8711 東京都品川区広町1-4-22
■ 資本金50億5712万円(2017年3月31日現在)
■ ホームページhttps://www.teraokatape.co.jp

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