「キング・オブ・ホビー」と称されることもある鉄道模型は、主に大人がたしなむ、言ってしまえばマニアックな趣味である。そのような鉄道模型の国内トップブランドが、株式会社トミーテックが企画・製造・販売を行っている「トミックス」だ。40年にわたり、ファンに支持される製品を世に送り出してきた工場を訪ね、トミーテックのものづくりに迫る。

 

「おもちゃのまち」にある、おとなのホビー工場

 栃木県栃木市と宇都宮市を結ぶ東武宇都宮線に「おもちゃのまち」という駅がある。駅は同県下都賀郡壬生町にあり、1965(昭和40)年、地価高騰などを理由に東京の下町から多くのおもちゃ工場が移転してきたことを契機に新設された。1977(昭和52)年には駅名が住所の町名にもなった。今も日本有数のおもちゃ工業団地が形成され、その一角にタカラトミーグループの模型・ホビー事業を担う株式会社トミーテックがある。

 同社の事業の中核を担うのは、「トミックス」ブランドの鉄道模型。1976(昭和51)年の誕生より、40年にわたり親しまれているロングセラー商品である。これまでの累計販売数は約4,000万両。その鉄道模型をつなぎ合わせれば、日本列島を往復してもおつりがくる長さだ。レールの総販売距離数は約9万キロで、地球2周と4分の1という距離になる。

 多くの支持を得ている商品でありながら、「トミックス」の一般的な知名度は高いとは言えないだろう。それは鉄道模型が「広いターゲットに浅く」ではなく、「狭いターゲットに深く」に的を絞ったコレクターズアイテムであるためだ。ユーザーであるファンは模型の細部にまで目を凝らし、実物と比較するなどして評価を下す。トミーテックは、長年こうしたファンのニーズに対して高いレベルで応えている。

株式会社トミーテック

 玩具メーカー、タカラトミーの子会社で、模型・ホビー商品の企画開発から設計、生産、販売、サービスまで、すべてを一貫して自社内で行っている。なお、安全性を考慮して原則的に工場見学は受け付けていない。

 

鉄道模型ファンの高いニーズに応える製品たち

 トミーテックの主力製品である鉄道模型「トミックス」は、実物の電車を限りなくリアルに縮小したスケールホビーと呼ばれるものだ。製品は、車両側面にある「禁煙」の標示などルーペで確認しないとわからない細部まで、忠実に再現されている。

 なお、発売された製品は売り切れしだい販売終了になる。ファンからの要望を受けて再販がかかることもあるが、型式などの仕様が微妙に変わることもあるため、同じ製品を手に入れるチャンスは少ないということになる。

 また、近年はリアルなミニチュアの世界で鉄道模型を走らせたいという要望に応える周辺製品にも注力している。鉄道車両と同じスケールで町並みを再現できるジオラマパーツ「ジオコレ」は、最近のフィギュアブームに乗って鉄道模型ファン以外の層にファンを拡大している。

 鉄道模型は地域密着型の製品と言える。たとえば東京を走る山手線の模型は関東で売れ、関西では売れにくい。ファンは地元で日常的に目にする鉄道模型を購入するのだ。日本列島を縦断・横断する(した)ブルートレインや新幹線が人気なのは、走行エリアが広範囲に及ぶことが一因と言えそうだ。

 その一方で、ローカル鉄道の模型も人気が高いという。これは逆に… 続きを読む

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株式会社トミーテックについて
■ 事業内容玩具商品等の企画、製造および販売
■ 設立年月1996(平成8)年3月19日
■ 本社所在地〒321-0202 栃木県下都賀郡壬生町おもちゃのまち3-3-20
■ 資本金1億円
■ ホームページ

http://www.tomytec.co.jp/

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